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『はるかなる視線2』

Levi-Strauss,Claude 1983 Le Regarad Elogine,Plon=19880718,三保 元 訳,みすず書房,202+31p.


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Levi-Strauss Claude [クロード・レヴィ=ストロース] 1983 Le regard Elogine,Plon.=19880718,三保 元 訳,『はるかなる視線2』,みすず書房,202+31p. ISBN:4622004607,ISBN:978-4622004608 1859 [amazon] b


■目次

環境と表象
第9章 言語学の教訓
第10章 宗教・言語・歴史-フェルディナン・ド・ソシュールの未刊原稿をめぐって-
第11章 神話の可能性から社会的実存へ

信仰・神話・儀礼

第12章 宇宙性と分裂症
第13章 神話と失念
第14章 アメリカのピタゴラス
第15章 双生児出産の解剖学的余示
第16章 神話=文学のある小さな謎
第17章 クレティアン・ド・トロワからリヒアルト・ワーグナーへ
3部作についての覚書き

拘束と自由
第18章 ある瞑想的画法
第19章 ある若き画家へ
第20章 ニューヨーク・あと追いと予示の町
第21章 創造的児童あと追いの記
第22章 自由についての考察

訳者あとがき
索引・参考文献

■引用

「概念の関係に刺激された神話の思考は、その関係に平行あるいは対立する新たな関係を生み出す。上が正で下が負であれば直ちに逆の関係が誘発され、同一の集合に属する事項の複数の軸上の置換が精神の自律的な働きであるかのようだ。したがって結合関係の一つの状態が示されるだけで、精神が始動し、連鎖反応で、新しい状態を連続的に生み出していく。」p258 (*作成者注:ページ数は『はるかなる視線1』から連続している)

「在来の心理学は知覚の錯覚を、感覚または精神の過剰な作用によるとしていた。私の視点に立てば、過剰な作用があるのではなく、精神作用すべての厳選である内在的な力の基本的な表示があるだけだということになる。そうであれば精神の基本的機能は、可能性を生み出し論理的に配置することであり、経験と教育がその中で取捨選択する役割を担っていくはずである。」p260

「精神異常について神話がこのように明確に記述していることと、神話の言述と精神異常者の言述に類似のテーマが現れることととを、同一視することはできない。前者では、実際に神話が精神異常を臨床的に扱っているが、これに対し、後者の場合は、神話は精神病の臨床医にとっては単なる妄想の一種に過ぎない。」p265

「言語、生活様式、文化の異なる部族と絶え間ない多様な交渉を持たざるを得なかった値ヌーク族の神話は、独創的な集大成としてよりも、二次的は編纂の結果-その意味ではまず体系的な編纂-としてあり、当初は雑多であった神話資料を相互に適応させ融和したものだったと考えられる」p273

「この小論では、時間的にも空間的にも隔たった民族どうしが、かつてのマメ科―今日ではマメ目―のソラマメ亜科の中で特定の植物の種子について、特殊な位置づけをしていることについて述べる」p285

「自分がその一部である世界を、人間がどのように生き、考えてきたか、そして今それをどのように生き、考えているか、ということは、いつでもどこでも差異があり、この世界の感覚的側面と知的側面の間の障壁を、短い詩の意味を見極めるためだけであるにしても、わずかにでも押し開くには、精密科学、自然科学、人文科学を統合的な形で用いるしか道はない、ということなのだ」p324

「まったく別のものであった二つのモノは、一方が他方に対して反転した隠喩に変わる。この隠喩を直観することは、マックス・エルンストのことばによれば、「古来からの知性の欲求に応える・・・あらゆる変身が成就するときに味わう悦び」を生む。
この欲求について、マックス・エルンストはメルロ・ポンティの考え方を先取りし、その本質を明らかにしている。絵画は、外界と内界の境界を打ち破って完成の域に達する、とこの二人は考え、マックス・エルンストによればそれは「芸術家が自由に大胆に、のびやかに動く」あの中間的領域―アンリ・コルバンがいう古代イランの哲学のmundus imaginalis(想像の世界)―への道を拓く。そのとき、伝統的哲学と凡俗な良識では、結びつけるという役割しか与えられていなかった接合部が物理的、心理的部分じたいよりも実在性をもって現れる。」p361

「エルンストの絵はどこから見るとしても、他のどの画家の場合よりも、すべての相が声を合わせ、ゲーテが植物界についていったように、その歌は「隠れた法へと導く」。」(p364)

「画家が力の限り現実に身をまかせると、現実の模倣者ではなくなる。画家は自然に借りたイメージを自由に使って思いがけない構成を生み出し、モノとモノとの新しい関係をしめしてモノについての私たちの認識を豊かにする。」p373

*作成:近藤 宏
UP: 20080506  
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