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『はるかなる視線1』

Levi-Strauss, Claude 1983  Le Regard Elogine, Plon.=19860620 三保 元 訳,みすず書房,203p.


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Levi-Strauss, Claude [クロード・レヴィ=ストロース] 1983  Le Regard Elogine, Plon.=19860620 三保 元 訳 『はるかなる視線1』,みすず書房,203p. ISBN 4622004593,2800 [amazon]

■内容

内容(「BOOK」データベースより) 構造主義人類学の本質と独創性がみごとに発揮されたすぐれた民族学入門。文明社会の《自由=非拘束》の幻想をうち破り、真の自発性を確保する画期的文明論。

■目次

まえがき

生得性と獲得性
第1章 人種と文化
第2章 民族学者と人間の条件

家族・結婚・親族関係
第3章 家族
第4章 オーストラリアの《原始家族》
第5章 おちこちに読む
第6章 近親等者の婚姻

環境と表象
第7章 構造主義と生態学
第8章 構造主義と経験主義
■引用

「まず文化が遺伝的資質の強化に寄与し、その資質が各文化によって選択され、さらに、フィードバックして、選択された資質そのものが文化に影響を及ぼすといえるはずである。」(p27)

「特定の地域で採用される文化の形態や、現在あるいは過去において支配的な生活様式などが、ヒトの生物学的進化の速度や方向を決定している度合いのほうが、進化が文化を決定する度合いよりもはるかに高い。したがって、文化が遺伝的な要因に依存するか否かを問う必要は毛頭なかった。遺伝的な要因の選択、その相対的配合と相互の秩序立ては、文化の多くの作用のひとつに過ぎない。」(p49)

「生殖本能も母性本能も、夫と妻、親と子の情愛も、これらの要因の組み合わせも、家族とは何かを知る手立てにはならない。これらの要素がどれほど重要でも、それだけで家族が誕生するわけではない。その理由はいたって単純だ。ヒト社会では、新しい家族の創造には二つの家族が前もって存在することが絶対としてあり、この二つの家族がそれぞれ、男性、女性を供給して、その婚姻によって第三の家族が生まれ、その過程が無限に繰り返される。いいかえれば、ヒトが動物と異なる点は、人類では、まず社会が存在しなければ、家族が存在し得ない点である。家族が多元的で、血縁関係以外の関係の存在を認め、親子関係が自然に成立するには、姻族関係の社会成立過程に統合されなければならない、と認めなければならない。」(p78)

「社会が文化に基づくのであってみれば、社会生活の中で受け入れざるを得ない自然の発現が家族なのである。」(p89)

「社会は個々の成員と、誕生によっておのおのが帰属する集団に、絶え間なく交差し触れ合うことを強制している。この側面から見ると、家族生活はただ、交差点で歩調をゆるめ、一時休息する必要に応えているだけなのである。しかし、歩みを続けよ、というのが命令である。一時旅が中断される宿営地だけが旅ではないのと同じように、社会は家族によって成り立っているのではない。社会における家族は、旅行における一時休止と同じように、社会の条件であると同時にその否定であるともいえよう。」(p90)

「通俗唯物主義・感覚主義的経験主義は自然と人間を直接的に対峙させている。しかし、この立場は自然の構造的特性が、それらの解読に神経系統が用いる記号や、現実回の構造を探り当てるための理解力が作り上げるカテゴリーに比べ、より豊かではあっても、本質的には異ならないことを看過している。精神が外界の所産であり一部であるからこそ外界を理解できると認めることは精神主義や観念論のあやまちを犯すことにはならない。それは外界をわずかでもよく知ろうとする精神の作用が、この世の初めから外界に展開されている作用と本質的には異ならないということについて、日々、より正確に検証していくことなのである。」(p173)

「構造分析が志すものは地味である。問題を発見し、絞って体系的秩序を立て、その若干のものを解く・・・。むしろ重要なことは、後続の研究者に、いまだ未解決で、今後も長期にわたって懸念となるであろう問題を取り上げるにあたって、とるべき有効な道を示唆することにある。」(p203)


*作成:近藤 宏
UP: 20080504 
Levi-Strauss,Claude  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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