『日本語をどう書くか』
柳父 章 198112 PHP研究所,214p.
■柳父 章 198112 『日本語をどう書くか』,PHP研究所,214p.=20030301 『日本語をどう書くか』,法政大学出版局,216p.ISBN-10: 4588436074 ISBN-13: 978-4588436079 ¥2625 [amazon]/[kinokuniya]
■内容(新版)
(「BOOK」データベースより)
日本語は漢語や西欧語の翻訳の影響によって作られたという視点から、書き言葉としての日本語の成立事情を考察しつつ文章語の問題点を鋭く摘出し、未来の日本語への可能性をさぐる明快な文章読本。話し言葉と書き言葉のちがい、句読点や文末語の使用法、段落の切り方、語感と文体との関係などを、作家や翻訳者たちの豊富な文例を示しながら平易に説き、混迷する日本語表現に明快な指針を示す。
(「MARC」データベースより)
書き言葉としての日本語の成立事情を考察しつつ文章語の問題点を鋭く摘出し、未来の日本語への可能性を探る明快な文章読本。作家や翻訳者の豊富な文例を用いて、混迷する日本語表現に指針を示す。PHP研究所81年刊の新版。
■目次(新版)
第一章 作られた日本語
翻訳で作られた日本語
もう一つの日本語―書き言葉/翻訳が書き言葉を作った
翻訳語、翻訳的用語の使われ方
「彼女」を独占する「彼女」/漢字二字に預けられた無量の想い/観念的世界の構築
翻訳で作られた日本「文」
句点に苦心した歴史/新しい日本「文」の出現
第二章 日本文の二重構造
日本語の二重構造
「分るはずがない」という確信/分るはずの言葉、分らないはずの言葉/書き言葉と話し言葉の構造的対立
日本語の国際性
日本語の国際性と閉鎖性/ヨソユキの日本語/ヨソユキ・フダンの二重構造
第三章 句読法の歴史
センテンスをお手本にした日本語句読法/蘭学者の句読法の見方/小学読本における句読法の試み/句読法の形成/句読法の先駆けと定着との間/歓迎されなかった句読法/句読法のさまざまな試み
第四章 日本文と文末語
常体と敬体の混用文体
文末語はなぜ必要なのか
「である」文の表現力
『吾輩は猫である』の文体/「である」の哲学/蘭学者の造語「デアル」
「現在形」としての動詞止め文
漱石の動詞止め文体/特異だった動詞止め文体/動詞止め文の始まり。ト書き/書き言葉日本文における敬語/ト書き、「黒子」としての文/ト書き文体の形成と、その限界/『和蘭字彙』における動詞文/英学における現在形の翻訳/約束としての現在表現/漱石の「現在形」」文体
第五章 日本文をどう書くか
難しそうな言葉を警戒する
文字と言葉とは別だ/語感の鈍い言葉・翻訳語/言葉の魔術・カセット効果
言葉感覚に欠けた言葉
言葉感覚の必要/言葉感覚と日本語感覚のずれ/書き言葉日本語の原型/書き言葉における感覚無視/書き言葉への期待
段落の切り方について
日本文に段落の必然性はあるのか/段落がない伝統的日本文/短い段落の日本文・漢文脈系/人為的な切れ目としての文、段落/分りやすい短段落の文章/声にうったえる文章
文末に変化を持たせること
近代日本文における文末語の乏しさ/「た」で終る文体/余韻をひびかせる文末の変化
〈付録〉対話助詞と新しい口語文
(対談=寺村秀夫/柳父 章)
あとがき
新版へのあとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:岡田 清鷹