HOME > BOOK >

『精神障害者解放への歩み――私達の状況を変えるのは私達』

友の会 編 19811116 新泉社,259p.


このHP経由で購入すると寄付されます

■友の会 編 19811116 『精神障害者解放への歩み――私達の状況を変えるのは私達』,新泉社,259p. ISBN-10: 478778112X ISBN-13: 978-4787781123 \1575 [amazon][kinokuniya] ※ m

■広告

 「病」者と呼ばれる者の内実を如何に世に打ち出して行くかということに焦点をしぼり、友の会の機関誌『友の会会報』、全国「精神病」者集団の機関誌『絆』その他から、手紙、生活報告、論文、座談会など数編を収録した一冊。

■目次

患者運動九年に思う 山田靖子

I 解放への歩み
私達の状況を変えるのは私達 菅原ぺて呂
苦悩と放浪の日々 木村正雄
「病者」らしく、人間らしく純粋に生きていこう 水上潤
ある行脚 C・C
一人の人間として生きたい X
精神科医に「人間ではない」と言われて M・O
我が内なるファシズム 青木照武
地域での自立生活を送る上での課題 山本深雪
反映 ジュダ・イスカリオット・ヒエラルキィ
内なる健常者性を撃とう 吉田おさみ
私の“キチガイの立場” 菅原ぺて呂

II 友の会と共に
入院の意味するもの ふじしづの
「キチガイ」の「キチガイ」観について 香川悟
これからの患者運動に望む 西山
実体ある主体づくりを! 多田真
精神障害者家族会と友の会 萩原一昭
田村亮さんを悼んで 吉田美恵子
在りのままの姿で闘いたい(A氏へ) 匿名
私たちは変わりはじめている 菊本慶治
私の思い(Y氏へ) Y・I
虚しさを越えて 篠原裕二
私の「生」 S・K
新しい旅立ちへ H・H
一度しかない人生を W・J
病気の体験に恥しいことはないはず J・M子
“社会復帰”して S・S
孤独の時にこそ T・H
五年余の“友の会”に思う 鈴木熙一郎
ある一日 匿名
中古のラジオ 奥氷川陽
炎の抄 船見博明
きょうから明日へ 中村繁
III 座談会

あとがき

■引用

精神障害者家族会と友の会 萩原一昭 121-123 全文

 「私は自分の経験から「全家連」(全国精神障害者家族連合会)より「友の会」のほうがはるかに利益になるのを知る。なるほど、全家連は強力強大であり、毎年開かれる全国大会には、来賓に厚生大臣とか医師会代表を招く大がかりなものである。そして、患者のほうは保護者が全家連に入会することにより、国家公認の精神病者として家族から御墨付をもらうことになる。全家連に肉親が入会している限り、当の患者は社会人として自立することはおろか、家庭でも一人前とみなされていないことが分る。地方自治体や病院との取り引きはすべて涙の谷の頭ごしにされるのである。これに反し、友の会のほうは当事者が、それぞれの悩みを持って自分の意志で入会し、その総意によって会は運営されてゆくのである。
 友の会の性格を示すこんな出来事が最近あった。『鉄格子の中から』にも書いておられるKさんのことであるが、義兄夫婦がどうしても退院を承知しないので、会員Sさんに身元引受け人に<0121<なってもらい無事退院した。事はそれに止まらない。Kさんはその後Sさん宅から会社に通いはじめたが二度とも長続きせず、最後にSさんのつとめる福祉関係に職を得たようである。これが家族会ならどうであろうか。精神病院にたのんで勤めさせるのが関の山で、そこで労働ができねば再び病院へ舞い戻りという手順になるだろう。Kさんがこの恩を忘れぬ限り、友の会にその徳を新たに還元してゆくことであろう。Kさんにとってこの会がありこの会に入会したことによつて、運命は明るいほうへ覆りつつある。私はこの一件を見ても友の会の存在価値を疑うことはできぬのである。全家連に家族が入っている限りはどんな場合でも精神病院がついてまわるのである。
 私の地方の全家連は政治に食い込み、府会議員に会ったり知事に会ったりして、精神病院をひとつでも多く建設してもらえるよう奔命している。とどのつまりニつに分裂し、一九七〇年に地元で開催された全国大会にはその一方だけが参加ということになった。NHKローカルなどは精神障害音の不幸のように報じていたが、京都府の入院患者にとっては全く無関係のことだったのである。患者の多くは厚生大臣の名もでる全家連全国大会の、悲壮劇とも猿芝居ともとれるものにあきあきしている。友の会のKさんの場合にみられたこまやかな人間愛のひとかけらもこの大組織にはないのであろう。それとも、国の続く限り不沈の大戦艦全家連は小回りがききにくいというのか。
 これに対し、私たち「友の会」はその人間愛によって、将来ますます悩める者ら苦しむむ人々へ<0122<のその存在価値を発揮してゆくことになろう。(『会報』8号、一九七六年一月)」

■書評・紹介

■言及

◆立岩 真也 2013/11/** 『造反有理――身体の現代・1:精神医療改革/批判』(仮),青土社


*作成:角田 あさな
UP: 20100111 REV:20130804 
精神障害/精神医療  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)