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『現代の「低所得層」』

江口 英一 1979-1980 未来社
[Korean]


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■江口 英一 197909 『現代の「低所得層」』(上),未来社,470p. ISBN-10: 4624320905 ISBN-13: 978-4624320904 \6090 [amazon][kinokuniya] e03 p0601
 198001 『現代の「低所得層」』(中),未来社,446p. ISBN-10: 4624320913 ISBN-13: 978-4624320911 \6090 [amazon][kinokuniya]
 198010 『現代の「低所得層」』(下),未来社,580p. ISBN-10: 4624320921 ISBN-13: 978-4624320928 \7140  [amazon][kinokuniya]

■内容

〔「貧困」研究の方法〕長年にわたる社会調査・研究によって現代日本における「層」としての貧困の実態を明らかにした労作。上巻には序章「課題と方法」以下第四章までを収録。

〔「貧困」研究の方法〕「低所得層」の厖大な存在を明らかにした上巻につづき、中巻には第五章「不安定雇用」労働市場の展開、第六章“貧乏線”以下生活の構造を収録する。

■引用

「さて、現代の「低所得階層」=“現代の貧困の作用を最も強くうけている階層”をどのように限定し、どのようにして取り出すか。もともとわれわれが複雑で高度な現代社会の「貧困」をとらえるために「社会階層」という用具を用い、一定の「階層」としてとらえようとするのは、現代の「貧困」のもつさまざまな要因を、総合し一括して把えるためである。すでにのべたように、異質的な生活スタイルによって構成される重層的階層的構造によってなりたつ今日の社会での、社会的文化的慣習的生活の中で考えられる今日の「貧困」は、かつてC・ブースや、S・ラウントリーが考えたような所得―消費の視点のみからでは把握できないのであって、多様な生活における文化的慣習的場面での一定の状態を、同時にふくめて考えなければならない。多要因による今日の「貧困」を具体的に把握するために、ここに「社会階層」という用具を用い、「一定の社会階層」=「低所得階層」として、これをとらえようとしたのであった。」(p.24)

「(…)しかし、これらの状態の全部を総合計して、それを「現代の貧困」=「広い包括的な意味での貧困」とよぶことはよいけれども、これらを総括して、一つのさらに高い共通の集約するとすれば、われわれはそれをいかに表現したらよいのか。それを積極的にどのようにイメージしたらよいのか。その本性は何か。この点については欧米の「貧困」研究者は何もいっていないようであるが、わたしは、それを「生活不安定」という言葉―概念によって表現したいのである。この「不安定」は、もちろん一般的な意味の「生活不安定」ではない。近代資本主義社会の生活では、ある意味で、すべての生活は「不安定」でしかあり得ない。そうではなくて、私の考えている「生活不安定」とはすでにのべてきたように、近代社会における社会保障と労働組合運動が盛行する中で、何の支えも事実上なく、その当然の権利も事実上剥奪されたままに、つねに公的扶助層と相隣接しながら、すなわちその大きな給源母体として存立している状態そのものを意味するものとして考えたいのである。そのような極限状態として「不安定」という言葉を用いたい。それはまさに先にのべたDeprivationそのものに他ならない。私はその意味で現代の「低所得階層」を「不安定就業階層」とも称し、その所在、性格、その生成、などを明らかにしたい。」(pp.30-31)

■紹介・言及

◇加藤 佑治 19870801 『現代日本における不安定就業労働者(増補改訂版)』,御茶の水書房,582p. ISBN-10: 4275013891 ISBN-13: 978-4275013897 \8925 [amazon]

◇橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也編『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


*作成:橋口 昌治 
UP:20090806 REV: 0811
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