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『母原病――母親が原因でふえる子どもの異常』

久徳 重盛 19790701 教育研究社,205p.


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久徳 重盛 19790701 『母原病――母親が原因でふえる子どもの異常』,教育研究社,205p. ASIN: B000J8F3LO [amazon] ※

■目次

まえがきにかえて
 原因不明の病気や異常で悩む親子

I 母原病とは何か
 昔は伝染病、今は文明病
 病原体が母親にある「母原病」
 壊れてきた母親の育児本能
 子どもはこうして成長する
 母原病の仕組みとは
 構造的育児不能になったわが国

II 母原病のカルテから
 ぜんそくの原因は「20年前の母子関係」だった
 溺愛された娘は外出もできない慢性腹痛に
 家庭内暴力にまで発展させた「悲劇の愛情」
 母親の不安から重症の「文明カゼ」に
 わが子を食欲不振にさせた「こわい母親」
 離婚した母親への幻滅から足痛になった少女
 四ヶ月も下痢させた病原体は「育児の緊張」
 母と子の対話不足で「ことば遅れ」の子に
 過保護ママと甘えん坊の合作が夜尿症

III お母さんへのアドバイス
 母原病を防ぐためのチェック
 これからの育児のために)

〇〜三歳児保育にひそむ危険な問題
わが国には合わない『スポック博士の育児書』

■引用

*母原病
「ぜんそくや胃潰瘍の子、熱を出しやすい子などの症状と、家庭内暴力ややる気のない子などの症状とは、表面的に見た現象は随分異なります。しかし病根は同じなのです。いずれも親の育て方の誤りに原因があって、子どもの心身形成・人間形成にひずみができ、その結果、子どもたちに病気や異常があらわれたのものです。育児の中心的役割を果たすのはやはり母親なので「母親が原因の病気」という意味で、私たちは「母原病」といっています。」p.4

*文明病
「[文明が発達して伝染病などはなくなったが、ミルク嫌いや食欲不振、低体温児など、新たな原因不明の子どもの異常があらわれてきた:引用者]これら一連の症状は、間接的な原因としては、世の中が文明化し、都市化が進み、子どもの育つ環境が“自然さ”をなくしてしまったこと、直接的な原因としては、親の育児感覚が狂ってしまって間違った親子関係を続けてきたことによって、子どもの心身のたくましさが失われ、その結果としてあらわれてきたものであるということです。いわば「文明病」とでも呼ぶべき病気です」p.19
「これまでの私の臨床経験からいって、現代の子どもの異常の六〇%はその母親の育児が原因となった病気や異常、つまり母原病で、伝染病などが原因のものは四〇%にすぎません。したがって、現代では、何か子どもに異常や病気があらわれたら、一度は親自身が原因ではないかと疑ってみる必要さえあるのです」p.34

*母原病の背景
「このようにいうと、お母さんの責任だけが問われるかのように思われるかもしれません。ところがそのお母さんにしても、文明の進歩や教育、家庭のあり方が変わったことの影響を強く受けており、ある意味ではその犠牲者だともいえるわけです。母原病の病巣は、お母さんよりもっと大きなもののなかにあるのです。」p.62
→一九五二年ボウルビーの文明国における「育児についての精神的崩壊家庭」についてのWHOレポート(社会保障制度の充実が「精神的崩壊家族」を引き起こすというもの)をひきながら、日本においては急速な経済成長によって、頭でっかちの“飼育”的育児が蔓延していると述べる。
「このように、、経済・社会・教育などがすべて構造的に育児不能を助長しているわけですが、結局その根幹をなすものは、先に述べた通り、急激な経済成長、文明化にあったといえます。したがって文明病の一つのあらわれである母原病について考える場合、たえず構造的な問題を念頭におく必要があるでしょう」p.68

「世の中が便利になる。すると、親の育児を行う脳の調子が乱れてくる。そして、母原病の子どもが多くなる。これが、文明の進歩したわが国の図式なのです」p.87
「結局、親が身を正し、正しい育児にもどらなければ、子どもは「母原病」から救われません」p.88
「家庭というものは、しっかりした働き者の父親と、やさしい母親がいてはじめて成り立つこと、子どもはいつも両親に温かく見守られてはじめて正常に育つことを、ここでもう一度理解しなおすことが大切です」p.188

「[高度経済成長によって:引用者]親が子を離すこと(精神的に捨てること)が悪くないという価値観が、一部の人にできてしまいました。そのような狂った価値観をもつにいたった母親がごく一部にしかすぎなかったことは、せめてもの幸いでしたが、逆にいえば、そんな重大なこととは知らず、母親が職場で働いて、子どもを不幸にしてしまったというように、犠牲者もたくさんあらわれたことも事実なのです。(…)私は、理想をいえば、保育所が今のような状態では、〇〜三歳児は母親が子連れで働くのがいちばん好ましいと思っています」p.199

■言及

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※

◆立岩 真也 20020601 「生存の争い――医療の現代史のために・3」,『現代思想』30-7(2002-6):41-56 ※資料


*作成:山口 真紀 


UP: 20090626 REV: 20120615  QLOOKアクセス解析
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