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『分裂病の生活臨床』

臺 弘 編 19781215 創造出版,277p.

last update:20130725

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臺 弘 編 19781215 『分裂病の生活臨床』,創造出版,277p. ASIN: B000J8HLZ0 欠品 [amazon] ※:[広田氏蔵書] m. m01h1958.

■目次

1.解説  臺弘………1
2.精神分裂病寛解者の社会的適応の破綻をいかに防止するか  江熊要一………8
3.転換期に立つ精神分裂病の医療――特に群大精神科の予後改善計画について  臺弘………16
4.生活臨床より見た精神分裂病の異常と治癒の概念  臺弘………23
5.分裂病者の杜会生活における特性(精神分裂病の生活臨床第1報)  加藤友之,田島昭,湯浅修一,江熊要一………28
6.社会生活の中での分裂病者に対する働きかけ――職業生活鳩面を中心にして(精神分裂病の生活臨床第2報)  田島昭,加藤友之,湯浅修ー,江熊要一  ………44
7.生活臨床より見た薬物療法――薬物と精神療法についての討論  江熊要ー………78
8.薬物療法の役割――シンポジウム「薬物療法の検討と反省」  国友貞夫,田島昭………81
9.集団歩行時の縦並びと横並び――精神病院における生活療法の行動学的検討  菱山珠夫,越沼重雄………87
10.分裂病者の復職について  石川辰夫,田島昭,湯浅修ー………95
11.分裂病者に対する私の接しかた――診察室場面を中心にして  江熊要一………104
12.長期入院者の社会復帰促進のための実験的試み(第1報)――小「中間宿舎」の試みを中心に  菱山珠夫,小池金太郎,長沢栄一,香内信ー………121
13.長期入院者の杜会復帰促進のための実験的試み(第2報)――中間宿舎での「働きかけ」を中心に  菱山珠夫,小池金太郎………131
14.精神分裂病者の杜会的条件と適応状況――医療保護分裂病者の実懸調査を資料として  渇浅修ー,国友貞夫,丸山南,白川辰夫,関口温子………135
15.群馬県佐波郡東村における精神障害者の働態  中沢正夫………155
16.我が国における地域精神衛生活動――大学精神科の立場から  中沢正夫………165
17.精神医療における精神科診療所の位置づけ  山越剛………173
18.地域におけるリハビリテーション――精神科診療所の立場から  桂アグリ………176
19.精神科診療所における在宅医療  香内信ー………186
20.生活臨床概説――その理解のために  庄熊要一………193
21.畳間病室における精神分裂病治療の経験――生活臨床の立場から  伊勢田尭,石川辰夫,中沢正夫………198
22.精神分裂病者の結婚について  中沢正夫,伊勢田堯,湯浅修ー………208
23.分冴裂病者と結婚場浅修一,立石ひかり………217
24.日常生活(在宅)における生活療法――その理念とプログラム  菱山珠夫………227
25.印刷工鳩における職能訓練  山田禎一,安藤晴延,臺弘………235
26.精神分裂病をどう治療するか――生活臨床の立場から  湯浅修ー………246
27. 「生活臨床の歩み」座談談会  (発言順)横井晋(座長),量弘,湯浅修一,加藤友之,菱山珠夫,中沢正夫………254
「生活臨床」関連文献目録………274

■引用

◆2.精神分裂病寛解者の社会的適応の破綻をいかに防止するか  江熊要一………8

「8.まとめ
 1)分裂病者に対して1958年以後,われわれが実施してきたー連の「働きかけ」の結果をそれ以前と比較した場合、この方針を続けることによりつぎのことはいえそうである。i)持続的に杜会的適応が不能とか、しだいに悪化して、いわゆる荒廃状態に陥ってしまう患者をなくすことは可能である。i)分裂病のいわゆる病勢増悪(Scbub)といわれるものを完全にくいとめることはできないとしても、少なくもその期間を短縮してすぐ社会復帰させることは可能である。ii)分裂病の「治癒」と「杜会復帰」とは別に考える必要がある。「精神症状」が消失しなくても「働きかけ」により相当程度の社会復帰は可能である。
 2)陳旧化した分裂病者の社会復帰は一定の段階を経る必要があると思うが、陳旧化していない患者はできるだけ杜会生活のなかで治療する必要かある。そのために外来治療あるいは短期入院が重要視される。

9.おわりに
 われわれが分裂病者に対して意識的に「働きかけ」を始めてからまだ4年を過ぎたばかりである。分裂病の予後について手ばなしで楽観的なことをいうつもりはない。またこのような方針をそのまま精神病院で実行することは、現在の精神病院の種々な条件を考えた場合はとんど不可能なことかもしれない。われわれのこの方針は大学病院という特殊な条件ではじめて可能な、いわば「実験的研究」というべきことかもしれない。けれども、われわれが行なってきたことは社会の精神衛生対策が整備されればけっしてむずかしいことではなさそうである。われわれが、ひとりびとりの患者にねばり強く働きかけているうちに、自分たちの悲観的な考えかたが少しずっ薄らいでいくことはたしかである。
 われわれはこの働きかけを持続し、今後5年間の経過をみていくのであるが、その成果に大きな期待をもっている。
 さらにもうひとつつつけ加えたいことは、社会復帰のための諸活動が治療とか予後という立場から重要であるばかりでなく、分裂病というものを追求していく場合にも重要ではないかと考えさせられたことである。今まで病室や診療室でただ患者を眺めていただけではみられなかった分裂病の病像の変化がみられ、分裂病者の種々な状況に対する反応などについて、あらためて見なおしたくなるようなことも少なからずあった。この「生活病理」「生活臨床」についても別に方向する予定である。

 本論文は臺教授指導のもとに医局、看護婦、そ他精神科職員全員の参加によってすすめられているものを著者がまとめたのである。

 […]
 精神神経学雑誌第64巻921〜927,1962年」(p.15)

◆5.分裂病者の杜会生活における特性(精神分裂病の生活臨床第1報)  加藤友之,田島昭,湯浅修一,江熊要一………28-43

◆6.社会生活の中での分裂病者に対する働きかけ――職業生活鳩面を中心にして(精神分裂病の生活臨床第2報)  田島昭,加藤友之,湯浅修ー,江熊要一  ………44-77
 初出:『精神神経学雑誌』69:323-351

1.はじめに
2.対象
3.生活特性と働きかけ
 1)生活類型と働きかけ
 (1)能動型に対する働きかけ
 「職に就いた能動型の患者には,まず何よりもその職場生活の変化と拡大を抑えることが重要である。当初自ら希望した職業であるにもかかわらず,自分の職業に絶えず不満をあらわし,職を変えたり,多方面に手を出そうとし,治療医の言うこともなかなかきかず,自分の考えのまま進もうとし現在の生活を拡大しようとする。そして破綻する。そこで,治療医は,積極的にその生活に関与して,本人を一定の枠に他動的にはめ込むことが必要であり,可能なあらゆる手段や自ら生活圏を拡大しようとするのを抑えなければならない。能動型の患者は,生活の破綻にっながる生活特徴が,頻繁かつ豊富に生活の中にあらわれるから,この場合働きかけの主眼は生活特徴の制御をいかにするかにしぼられる。しかも,生活特徴は簡単に変わるものではないから,安住にいたるまで長期間持続的な関与が必要である。現状に安住するようになってから徐々に規制をゆるめ生活範囲をひろげ,level upを行なっていく。」([45])
 (2)受動型に対する働きかけ
 症例:
 症例〔1〕
 「[…]縁談をことわられても自分からことわったように言うのに”逆じゃないか”とひやかしながら水をかけ,見栄を自覚させようとし,洋裁学校出身の女性との縁談をすすめられて本人も乗り気になったが,時期尚早と判断し,本人が将来相手の学歴が定時制卒という点にこだわる可能性を考え,大学中退だという本人の誇りを利用して"大学中退のあなたとは釣り合いがとれない”とやめさせ,病室の風呂場に扇風機を寄付したいとの申し出にも”いい子になろうとするな”と,ささいなことがらを利用して常に見栄やうぬぼ
に水をかけ,婚約解消や自分で貯めた金が浮いたのを父母にあげたいと言うのに対し”芸者でもあげろ”と小さな倫理感にこだわるのをはぐらかすなど,現在なし得るあらゆる手段で生活の拡大を防ぎ,特徴による反応を抑え,治療医の手のうちへ入れようと働きかけてきた。」([48])
 症例〔2〕
2)生活特微と働きかけ
(1)「憂け容れる」*度
(2) r受け客れない」旧度
 症例〔3〕
 症例〔4〕
 症例〔5〕

◆27.「生活臨床の歩み」座談会
(発言順)横井晋(座長)、臺弘、湯浅修一加藤友之、菱山珠夫、中沢正夫

「1.始まりと歩み
横井 私は生活臨床では門外漢なんですけれども、教室ですっと臺教授以来やられておったお仕事を見たり聞いたりする機会が非常に多かったもんですから、陰ながらその成長を楽しみにしておったんです。今回臺先生の御発案で「生活臨床の歩み」という座談会が計画されまして、過去から将来、未来に至るまでの全過程をここで皆さんに発言していただこうということになりました。まず、ことの順序として、最初どんな状況でこの生活臨床――その当時はまだ生活臨床という名前はなかったかと思いますけども――というものが始まったかというところから始めたいと思います。よろしくお願いいたします。まず御発想は臺先生だと思いますので……。
臺 私が前橋に参りましたのは昭和32年ですから、今から丁度20年前になるわけですが、そのころ分裂病の治療について薬物が使われ始めたころですね。しかし生活臨床のもとになる再発予防5力年計画というのは、薬とは直接には関係なかったんです。ただ松沢病院で古い患者が作業療法や生活指導で外へ出ることができるようになったという経験から、大学病院の割に新しい人たちに初めから積極的な働きかけをやったならば、もっといいんじゃないかと。具体的に一番間題になっているのは、分裂病の再発ですから、それを予防できるんヒゃないかと思ったんですね。
 そこで33年のお正月ですけれども、前橋の自宅でごろごろしながら、再発予防5力年計画というのを考えたわけ。つまり、5力年間、分裂病の入院患者全部に退院してからもずっと治療、生活指導を続けて、それで再発をどこまで予防できるかをみようと考えた。こういうことを正月が明けてから、皆さんに話したんですね。とは言うものの実瞭にそれがどこまでできるか、自分でも自信がなかったし、それから若い諸君がどれだけ協力してくれるかもよく分からなかった。
 そしたら、みんなでやろうやろうということになって、そのためにはまず病室の中の状態を変えなくちゃならないと。というのは閉鎖病室で窮屈を思いをした人たちはみんなもう2度と病院に帰ってくる気がなくなるだろう。そこを病院の中で十分開放的に治療してめんどうをみたら、その次は相談に来やすくなるだろうということで、病院の開放からぽつぽつやることになったわけですね。そして1年ぐらいたって江熊さんが佐久病院から転任して来てから、江熊さんはもう既に佐久で似たようなことをやっていたもんですから、結核の安静度に似たような形の自由度というのを作って、病室の入口に、みんなの名札をぶら下げて、だんだんに自由化していったわけですね。
 それで戸を開け、かぎを外し、格子をとるっていうようなことは、病院全体の応援を得なくちゃなりませんし、何よりも看護婦さんにも協力してもらわなくちゃならない。丁度江熊さんより早く武蔵療養所から大塚ますさんが婦長として来てくれましたね。とにかく看護婦さんには開放看護っていうのは非常に労働強化になりますから、大塚さんや中西よしさんやその他の人たちがみんなそれに参加してくれたんで、うまくいったわけですね。」(p.254)


UP: 20130503 REV:20130505, 0708, 0725, 0802
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