『開かれている病棟――三枚橋病院でのこころみ』
石川 信義 19780425 星和書店,381p.
last update:20101230
■石川 信義 19780425 『開かれている病棟――三枚橋病院でのこころみ』,星和書店,381p. ISBN-10: 4791100182 ISBN-13: 978-4791100187 2284 [amazon]/[kinokuniya] ※+[広田氏蔵書] m
*19790714 新装版(中味は変わっていない?)
■目次
第1部 私の考える精神病院の治療的環境
開かれている病棟
外出・外泊の多い病棟
男女がともに生活する病棟
制限・禁止の少ない病棟
患者の立場から設計された病棟
第2部 私の考える精神病院の治療的活動
あそびの場での治療的活動
働く場での治療的活動
個人の場での治療的活動
集団の場での治療的活動
社会復帰を考える
■引用
「君、N病院から、医者が留守になるんで受持病棟担当の代わり人を廻してくれと言って来ている。半月ほどなんだけど君が行ってくれないか」
医局長に言われて私は胸を踊らせた。まだ医師免許をとったばかりの頃のことだ。[…]
「T県で最大の規模を誇る総合病院」である。」(石川[1978:1])
「生まれて初めての精神病棟のなかの印象。それは<ひどいところ>の一言につきた。あまりのことに心が凍りついて、私は声も立てられなかった。
<精神病院とはなんこところだったのか。これはとてつもなく非条理な世界だ!>
心の底から、私はそう思った。
この日のことが忘れられなくなった。」(石川[1978:5])
「私はその時、大学病院のことを思い出していたのである。<0002<
<あそことと、ここはおんなじだ>
[…]
赤レンガは年を経てすっかり黒ずんでしまい、いかにも陰気くさい建物である。大震災の後建てられたというから、建物自体がかなり時代物のうえ、精神病棟はそこの半地下のようなところにあるので、中に入っても昼なお暗い。
私はこの「赤レンガ病棟」に入ってゆくたびに、これは医学に占める精神医学の地位を象徴しているようなものではないか、とよく考えたものだ。」(石川[1978:2-3])
「<やっぱり、すべてをひっくりかえしたところから出発するのでなければ駄目ではなのではないか。
とにかく、このままでは絶対に駄目だろう。鍵も格子も、そしてまた、そのなかの患者の生活も。
みんな一度ひっくり返してみなければならない。そうしなければ変わらないのだ。絶対に何も変わらない…………>
私が、T病院をやめて新しく病院を作ってみようと思い、実際にそれに向かって走り出したのは、この日の、この思いがきっかけとなった。
N病院でのこと。
T病院でのこと。
これらは随分、昔の話になってしまった。
随分昔の話だが、しかし、それはずっとこれまで私の中に生きつづけ、今もなお鮮やかに生きつづけている思いでもある。
大学病院のうす暗い赤レンガ病棟と、N病院の朽ち果てんばかりの精神病棟の内部と、そして墓石林立するなかをうつ向いて歩くT病院の患者達と、それらの光景は私の脳裏でひとつに重なり合って、一枚のおそろしい心象風景をつくっている。」(石川[1978:8])
■言及
◆立岩 真也 2011/02/01 「社会派の行き先・4――連載 63」,『現代思想』39-2(2011-2): 資料
◆立岩 真也 2011/05/01 「社会派の行き先・7――連載 66」,『現代思想』39-5(2011-5):- 資料