HOME > BOOK

『自閉症――その概念と治療に関する再検討』

Rutter,Michael & Schopler, Eric eds. 1978 Autism: A Reappraisal of Concepts and Teatment, Plenum Press, New York
=19820410 丸井 文男 監訳,黎明書房,662p.


このHP経由で購入すると寄付されます

■Rutter,Michael & Schopler, Eric eds. 1978 Autism: A Reappraisal of Concepts and Teatment, Plenum Press, New York=19820410 丸井 文男 監訳,『自閉症――その概念と治療に関する再検討』,黎明書房,662p. ISBN-10: 4654020373 ISBN-13: 978-4654020379 9800+ [amazon][kinokuniya] ※ a07.

■目次

診断と定義 マイケル・ラター 著 11−39
社会的,行動的,認知的特徴:疫学的接近 ローナ・ウィング 著 42−60
自閉児の文化接触の困難性 ジョン・リッチャー 著 61−77
社会的行動の評価 パトリシア・ホーリン 著 78−83
言語:条件づけを超越した問題 ドン W.チャーチル 著 86−101
言語障害と小児自閉症 マイケル・ラター 著 102−121
言語:何が異常であり,それは何故か ポーラ・メニューク 著 122−135
神経生理学的研究 エドワード M.オルニッツ 著 136−158
イメージと言語 ビート・ハームリン 著 159−176
研究方法論:「正確な統制」とは何か ウィリアム・ユール 著 177−185
生化学及び血液学的研究:評論的概観 E.R.リトヴォー ほか著 188−211
自閉症候群についての報告 メアリー・コールマン 著 212−227
生化学的研究方法と概念 R.ロッドナイト 著 228−233
幼児自閉症の神経生理学的解釈 G.R.デロング 著 234−246
幼児自閉症における双生児研究 スーザン・フォルスタイン 著 247−270
生物学的に等質か異質か エドワード M.オルニッツ 著 271−277
親のパーソナリティ特徴 Wm.ジョージ・マークァドゥー 著 280−298
家族要因 デニス P.カントウェル ほか著 299−324
家族研究における方法論的差異の限界 エリック・ショプラー 著 325−330
精神病児の両親に対する心理治療的働きかけ アーヴィン N.バーリン 著 332−343
遊び・象徴・言語発達 オースティン M.デラウライヤー 著 344−360
原因論と治療法:病因と治癒 マイケル・ラター 著 361−370
薬物療法 M.キャンベル 著 372−387
自閉児の治療 セオドア・シャピロ 著 388−400
治療者としての親 O.I.ロヴァース 著 402−413
家庭生活における自閉児とのかかわり方 R.ヘムズリイ ほか著 414−446
行動療法における両親のかかわり方の変化 エリック・ショプラー 著 447−456
教育的接近 ローレンス・バルタック 著 458−473
個別教育:公立学校のモデル マーガレット D.ランシング 著 474−488
教育のねらいと手だて マリア・カーリアス 著 489−498
正常知能をもつ「非定型」児100名の長期追跡 ジャネット L.ブラウン 著 500−513
追跡研究 V.ロッター 著 514−538
発達上の論点と予後 マイケル・ラター 著 539−550
(被験者)選択の目的に応じたサブグループの多様性について エリック・ショプラー 著 552−564

■紹介・言及

◆佐々木 正美 20061018,19 「追悼、エリック・ショプラー先生 前・中・後」http://www.budouno-ki.net/column/detail.html?id=4http://www.budouno-ki.net/column/detail.html?id=5http://www.budouno-ki.net/column/detail.html?id=6,『ぶどうの木』http://www.budouno-ki.net/

◆トチ タロ 2009 「『自閉症――その概念と治療に関する再検討」http://ameblo.jp/tochitaro/entry-10207690736.html,『私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍』http://ameblo.jp/tochitaro/

 「本書ですでに、マイケル・ラター博士らが論じているように、それまでの自閉症心因論には疑義が唱えられています。まさにそれまで信じられていた自閉症の「概念と治療に関する再検討」です。
 「端的にいえば、手に入れ得るデータでは、家庭環境のストレスが自閉症の原因であるという説を、納得させるには至らないのである。
 ベッテルハイムは、自閉的になる子どもだけに親が幼児期に特別に極端に否定的な感情を向けるというはるかに特殊な仮説を示唆している。そこで自閉児は、世界を危険な場所と知覚して、引きこもってしまう。このことは、子どもの発達の“臨界期”に生じる。・・・・・ベッテルハイムの見解は、経験的支持を欠いており、何人か研究者が多くの根拠に基づいて批判してきている(ウィング 1968、ラター 1968)」
 そしてそれ以後さらに研究が進み、自閉症というものが親の育て方によって引き起こされるのではなく、脳機能障害による発達障害であるというのは多くの研究者により実証されてきました。」

◆夕霧 20061217 「ベッテルハイムとショプラー先生」http://blog.m3.com/ASDInfo/20061217/1

 「[…]今年はショプラー先生が亡くなった年で、忘れられない年になった。ベッテルハイムの自閉症関連の文章を読み直すと、まあ、なんというか「深読み」「身勝手解釈」、「親批判」の連続、やっぱり読んでいて嫌な気持ちになる。[…]頭が良くて、教養もあって文章力もある人なんだと思うけど、現実をきちんとみれなかった。精神分析というスキーマに毒された見方しかできなかったので、自閉症の子どもと家族に不利益を与えた。彼が活躍した1960年代の科学的知識とか精神医学や心理学の状況を考えれば、彼が自閉症を誤解したのも、多少はやむをえない点もあったのだろう。ただ、彼は多くの研究・臨床成果があがった90年代になっても自説を曲げなかった。ショプラー先生がこだわったのは、さまざまな根拠があるのに、自分の間違いを正そうとしないベッテルハイムのようなあり方が許せなかった、あるいはベッテルハイムのような人を認めると(批判をきちんとしないと)、自閉症の子どもと家族に不利益を与えるということを、我々のような次ぎの世代にきちんと伝えたかったのではないかという気がしてきた。日本でもベッテルハイムと同じようなことを言っていた人が自己批判もしないで、そのまま活動をしていることがある。「だめなものは駄目」ときちんと表出することが大切だ。
 […]ベッテルハイムの影響は、水面下で今の日本でも根強くあるのですね。僕も最近色々な意味で危機感を感じることがあり、ぼんやりしていないで、きちんと言うべきことは言わなければいけないと思うようになりました。ショプラー先生はいつも温厚で優しい笑みを浮かべておられたが、批判すべきことはきちんと批判しなさいと仰りたかったのではないかと、最近しきりにそんな気がするのです。」(夕霧[2006])

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


UP:20090406 REV:
自閉症  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)