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『精神衛生をはじめようとする人のための100ヶ条 改訂版』

中沢 正夫 19770810 創造出版,121p.


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中沢 正夫 19770810 『精神衛生をはじめようとする人のための100ヶ条 改訂版』,創造出版,121p. 500 ※:[広田氏蔵書] m.


■目次

まえおき

〈一般的なこと〉
第一条 怖くて訪問できをいと考える方へ
第二条 精神衛生はとっっきにくく、むずかしいという方へ
第三条 まずケースをもて!!
第四条 アリナミン保健婦と交通整理保健婦
第五条 医師の指示なくして、やっていいかどうか
第六条 約束を破らない、だまさない
第七条 他の業務とのくみ合せ
第八条 患者さんはどこから来て、どこへ行くのか
第九条 病気だからといって全部おかしいわけではない
第十条 「病気」と「異常」のちがい
〈訪問〉
第十一条 初回訪問のしかた:
第十二条 横ならぴのポジションをとる
第十三条 攻めの訪問をしよう
第十四条 外泊時訪問と病院訪問
第十五条 訪問拒否に出あったとき
〈接しかたと働きかけの基本〉
第十六条 あせらず じっくりと接触せよ――なれぬケース
舞十七条 もじもとときり出さず、さらりときく
第十八条 3分間沈黙できるか
第十九条 体の訴えを重視せよ
第二十条 患者にほれられたときの注意
第二十一条 患者もまた社会人であるミ
第二十二条 及び腰では信用を失う
第二十三条 働きかけの段階論にとらわれない
第二十四条 保健婦は裁判官ではない
〈八生活臨床〉
第二十五条 猫なで声の御機嫌とりでは治らない
第二十六条 アキレス腱をさがそう
第二十七条 生活特徴のつかみ方
第二十八条 能動型・受動型について
第二十九条 分裂病者の生活のしかたのくせをさがそう その1 現実にもどす
第三十条 分裂病者の生活のしかたのくせをさがそう その2 迷わせないこと
第三十一条 再発の予測と予防的な働きかけ
第三十二条 働きかけ方の5原則
第三十三条 患者係選定の重要さ
第三十四条 当面の働きかけのくみたて方
〈労働〉
第三十五条 「働く」ことのもつ治療的役割
第三十六条 就職のときの注意
第三十七条 職安へのいかせ方
第三十八条 職場でのつきあい
第三十九条 職えらび (1)内容と手順の決まったもので
第三十九条 職えらび (2)内容と手順の決まったもので
第四十条 職えらび (2)順応と訓練のかねあい
〈性V〉
第四十一条 恋愛時の注意
第四十二条 分裂病と結婚 (1)結婚していいかどうかの判断
第四十三条 分裂病と結婚 (2)病気を秘密にするか否か
第四十四条 分裂病と結婚 (3)どんな段階で悪化するか
第四十五条 小さな壷には小さな蓋(?)
第四十六条 妊娠〜バスコントロールなど
第四十七条 分裂病者の育児のかたより
〈家族に対して〉
第四十八条 不治でないことを家族に説くこと
第四十九条 退院は治療のはじまりなることを説くこと
第五十条 病名を家族に云うべきか否か
第五十一条 家族の患者扱いの間違い ―その(1)
舞五十二条 家族の患者扱いの間違い ―その(2)
〈保健婦の作戦〉
第五十四条 ケース検討会を組織せよ
第五十五条 もっとも目立つ患者をまず治せ
第五十六条 たて、よこ十字路にたて
第五十七条 まず外来治療を心掛けよ
第五十八条 医療機関ごとの特徴を知ること
第五十九条 医療費の相談を重視せよ
第六十条 どんなときに入院させるか
第六十一条 早期発見の手引き
第六十二条 知らずに果たす損な役割
〈看護〉
第六十三条 生活リズムの回復と日課表の利用
第六十四条 ふとりすぎに対して
第六十五条 不眠と夢
第六十六条 あいさつを教えよ
第六十七条 くすりは万能ではない
第六十入条 薬の副作用と精神症状
第六十九条 妊娠・飲酒などと「くすり」
第七十条 服薬管理が必要なとき
〈いろいろな状態像〉
第七十一条 拒薬患者をみたとき
第七十二条 拒薬の理由を知ること
第七十三条 不食患者に出会ったとき
第七十四条 何も喋らぬ患者にあったとき
第七十五条 いわゆるだらだらダウンの患者
集七十六条 興奮患者について
第七十七条 放置患者を手がける時の注意
〈てんかんについて〉
第七十八条 てんかんの発作がうまくとまらぬとき
第七十九条 てんかんの薬の副作用と脳波検査
第八十条 てんかん患者に対する生活指導を怠るな
第八十一条 てんかんと職業・進学・スポーツなど
第八十二条 てんかんと結婚問題
第八十三条 てんかんの性格変化と扱い方のまちがい
〈その他の病気など〉
第入十四条 うつ病に対する働きかけ
第八十五条 うつ病の治療について
第入十六条 ”年をとること”と精神衛生
第入十七条 アルコール中毒について
第入十八条 ノイローゼの扱い
第入十九条 ノイローゼの社会学
第九十条 乳児検診及び3オ児検診で何をみるのか
第九十一条 どんなとき精薄は精神科治療の対象となるのか
〈穂遣〉
第九十二条 デイ・ケア、中間施設について
第九十三条 職場の精神衛生と保健婦
第九十四条 学校精神衛生
第九十五条 家族会に対するかかわり方
第九十六条 断酒会について
第九十七条 自殺について
第九十八条 有病率
第九十九条 精神衛生活動における啓蒙とは何か
第百条 冶すことは人権を守ることである
〈あとがき〉

■引用



◆まえおき(全文・頁数無)

 「この小冊子は地域精神衛生業務の、ごく初歩的な手引きです。全部で100ヶ条あります。これから精神衛生業務をはじめよつとする人あるいは始めたばかりの人達を対象にこの100ヶを考えております。断定口調が多くなりますが、精神衛生の仕事はあくまで、ケース・バイ・ケースで臨機応変に行なわれなければならないわけです。したがって本当は断定的な書き方は正しくないわけですけれども、皆さんに、すぐ役立っよつな指針にするため、あえてこうしました。皆さんの今後の豊かな実践の中で、一つ一つの項目が再検討され、否定されたり修正されたりして、真に我国の実情にふさわしい、精神衛生の手引きが、集団的に創作されることを願っています。その意味で、これは、一つのたたき台で、ドグマではありません。あなたのケースに応じて工夫してつかって下さい。
 なお、この100ヶ条の語りロとしては分裂病が多くなっています。なぜなら、分裂病に対するとりくみがこの業務の中心だからです。」

◆第二十六条 アキレス腱をさがそう 31-33(全文)

 「以下社会生活をしている分裂病者を対象としてのべます。
 21条でのべた生活上の悩んでいる問題が解決したり、更にひどくなったりしたときどうなるでしょうか…それによって病状がよくなったり悪くなったり、うごくのです。それもすばやく…時には瞬間的に…。精神病は慢性病です。しかしだからといっで環境の<0031<変化に鈍感なのではありません。患者をとりまく生活環境(人間も
含めた)がうごくとき、急性に増悪したり軽快するのです。それはちょうどリュウマチににています。だから病状の変化とその人の生活の変化を因果的にみることが必要です。さてどういう生活上の変化が、いったい、患者の病状を悪化させるのでしょう。その人の再発をひきおこすアキレス腱は何でしょうか。
 親が死んだとたんかえって病気がよくなったり、失恋してケロッとしていたり、どうも、”天下国家一大事””ショック”に対しては全部の患者が反応しません。逆に私達から考えるととるにたらないようなことであっけなく病気が悪化します。このとるにたらないような”生活の変化”をまとめてみますと患者さんのアキレス腱がうかび上ります。たとえ、他からみてもとるにたらぬことでも、そこをつかれるとあっという問に悪化してしまうのです。それを「生活特徴」といいます。大きくわけると三つあります。@縁談、恋愛、性生活など主に異性とのかかわりあいによって生じる出来ごと、(「イロ」といわれています)A財産、損得、借金など…生活の経済的側囲を代表するもの(「カネ」)B字歴、資格、男らしさ、出世など社会的地位に関する出来ごと(「プライド」)です。これらは患者にとっても我々にとっても生きるよりどころ、張りあいであり評判をおとしたくない点です。お金を損してがっくりする人もいるし出世しそこなり、しょげる人もいる…しかしそのことで我々は多少うつ状態になりますが、すぐなおります、分裂病音はここをつかれるとあっという間に再発します。そしてこのことに患者自身は気づきませ<0032<ん。だから一人一人の患者さんのこの生活特徴をつかまなくてはなりません。これが在宅生活のキーポイントです。それがつかめないうちは、いくら熱心でも「手さぐり訪問」です。つかめたとたん「働きかけ訪問」となります。家族がおしてもひいてもどうにもならぬ患者が保健婦の働きかけでパッとうごくようになるのです。」([31-33])

◆第三十五条「働く」ことのもつ治療的役割 45

「訪問したら患者さんが家でゴロゴロしているというような例が随分あります。そんな患者を実際治してゆく場合に「働く」ということを非常に重視する必要があります。外に働きにでるのもよし…自営業で働くもよし。治してから働くのでなく、働きながら、薬を飲みながら治してゆくというやり方が必要です。既に述べた如く、分裂病者というのは融通がきかず臨機応変にやれないという点があります。そういうところを治すのは薬ではどうにもをりません。また、ただ体を動かすことだけでもだめです。一定の人問関係のもとで働いてそれにみ合った賃金をとるという形態の、つまり労働の中で、そういう風な融通のきかないところを改めていく必要があります。分裂病のリハビリテーションにおける労働の役割とも云うべき訓練のプロセスを、どうしてもくみこまなければなりません。」([45])

◆第一〇〇条 治すことは人権を守ることである 118-119

 「精神科領域では人権を守ることが強調されています。勿論どんな病気の人の権利も守らねばなりません。しかし、精神科の患者さんは守るべき権利がないほど既に権利をはくだつされています。公衆浴場主は精神病者を入浴させてはいけないというのからはじまり、働くこともできないし、公務員にも競馬の馬主にもなれないわけです(欠格事項といいます)これらの点で、相応した、扱いを要求していくことは非常に大切なことです。しかし、昨今、強調されている守るべき人権はブライバンーに代表される類のものが多い。守るべき、要求すべき権利には生存懽、健康権ともいうべき社会人として並の生活をやっていける保障や、十分な医療をうける権利、残された機能を十二分にのばしてもらう権利(リハビリテーシヨン権)それをもって生産に加わる権利などがもっと強調される必要があります。また、人権を守ることよりも治すことの方が先きです。すぐ
冶ってしまう病気については人権侵害はそうおこらない。長びくために劣位処遇がでてき、人権侵害がおこるのですから、治すすべがある以上全力をあげることが医療する側の第一のつとめです。治療がうまくいかぬ中でどうしても串筈さんの人権擁護に直面せざるをえ<0118<なくなるのです。それを逆に人権を守っているとあたかもすぐれた精神科医であったり優秀な保健婦であると思うのはまちがいです。第一、家族も患者さんも皆さんに「人権を守ってくれ」とたのんではいない。「治してくれ」とたのむはすです。」([118-119]

◆あとがき(全文)

 「この小冊子は群馬県に限らず、いろいろな地区での精神衛生活動からみた知見、教訓などを私の勝手な判断で収捨し、整理したものです。とくに「働きかけ論―生活臨床」「労働」「性」に関した部分は、生活臨床第一報(加藤ほか)、第二報(田島ほか)を中心とする群大生活臨床グループの論文や経験によっています。なかでも「性」に関した項は同グループの九山・関口両先生が、薬と働きかけに関した項は同グループの国友先生が鋭意研究中の成果を使わせていただいております。また、この100ヶ条はもともと、群馬県の保健婦学院の講義で折にふれ喋ったものをまとめたもので、行きすぎ、独善、不完全、引用間違いを含め、これによって派生する一切の間題は私個人に責任かあります。
 一九七〇年、私は、この100ヶ条を限定出版しました。つくるとき、群馬の保健婦さんたちは、自分たちの経験を示してくれるとともに、言葉遺いまで注意してくれました。本当は、集団創作といった方がよかったのです。おかげ様であっという間に全国の精神衛生の現場に働く保健婦、PSW、医師など多くの仲間にひろがりました。それから六年たちました。少し古くなりましたし、たらない点が目につきだしました。恩師臺弘先生のおすすめもあリマイナーチェンジをし、本らしい本にすることにしました。例によってどの項目が不足か項目ごとの内容はどこが不備か…群馬や東京の保健婦さんに、検討してもらいました。ですから今度も集団創作です。とても感謝をしています。
      一九七七・五・一 群大 中沢正夫」


UP:20130622 REV:
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