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『精神病院――その医療の現状と限界』

仙波 恒雄・矢野 徹 19770310 星和書店,345p.


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仙波 恒雄・矢野 徹 19770310 『精神病院――その医療の現状と限界』星和書店,345p. ASIN: B000J7TT42 3300 [amazon]※ m i05

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星和書店ホームページより
本書は、精神病院の日々の活動を記録し集積したいわば「精神病院白書」である。日本語で書かれたはじめての精神医療「実学」の書であり、深い意味で倫理的な医学の書でもある。

■目次

第一章 日本の精神病院の特徴
第二章 精神病院の門を訪れる――外来受診
第三章 入院に関すること
第四章 閉鎖から開放へ
第五章 行動制限について
第六章 くすり・作業・レクリェーション
第七章 病院組織とスタッフ
第八章 開放に伴う諸問題
第九章 医療と経済
第十章 精神医療のなかでの動き
第十一章 まとめ――精神医療の今後の方向と問題点
資料1 関係法律
資料2 その他――学会関係
文献

■引用

第六章 くすり・作業・レクリェーション

 「やがて三〇〜五〇年服用することになれば、その結果は精神外科におけるロボトミー批判の如く、薬物療法批判をうける時期が来るであろうと考える。
 故に、薬物は必要な時期(比較的短期間)には十分に吟味しつつ使用し、常に症状に合わせて、できるだけ最小限量を使うことに医師は強い関心をもっていなければならない。長期にわたり、薬物治療指針の許可範囲であるからといって、安心して大量の薬物を使用することは慎むべきである。」(仙波・矢野[1977:156])

 「最も大きいのが保健医療費体系の不備と言え、医療の中での技術料の評価が著しく低く、特に精神科では、技術料の低さ、または全く支払いの対象になっていない部分があり、病院経営を維持するためには、自衛的手段として、薬物にその利潤を求めざるをえないというところにある。また、日本の保険医療制度の中では、出来高払い制であるために(保険診療の審査はあるが)、薬づけの方向に流れ易く、それが精神科では薬づけという悪徳にもつながっていくのである。薬を使えば使う程、儲かるという仕組みであり、武見会長をして“物言わぬ患者の牧畜業者だ”と精神科医を評させたところである。更にそれを助長しているのが、医薬業者のシステムである。製薬会社としては企業であり、利潤追求の性質をもち、売上高を上げるべく各社が競うことも当然である。」(仙波・矢野[1977:158])

■言及

◆立岩 真也 2013/11/ 『造反有理――精神医療の現代史 へ』,青土社 ※


*作成:松枝亜希子
UP:20071207 REV:20080402, 20110806
仙波 恒雄  ◇精神障害/精神障害者  ◇施設/脱施設  ◇身体×世界:関連書籍BOOK
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