この本は、囚人たちの運動に関する本である。つまり、被収容者たちがみずからの物質的な状態についてばかりでなく、投獄されているという事実についても、抗議運動を組織しようとする努力をえがく。囚人たちは、ますます、かれらを刑罰施設に収容しておくひとたちの意図を問題にし、その意図を社会的な問題として検討することばを変革するこころみをしている。スウェーデンにおける最初の「組合」につづいて、アメリカのおおくの州、西ヨーロッパのいくつかのくにぐにでも、組合を結成するための調整のとれた努力がなされてきた。この本では、一九七二年五月に成立したPROP(プロップ、"Preservation of the Rights of Prisoners" [囚人たちの権利保存])というイギリスの囚人組合の出現を特に強調した。これに対する理解をふかめるために、アメリカ合州国の運動との比較分析をこころみた。この本の全体はトーマス・マティーセンの著作[Thomas Mathiesen, <<The Politics of Abolition>>, London, Martin Robertson, 1974]とスカンディナヴィアの経験によって方向づけられている。