HOME > BOOK >

『都市問題――科学的理論と分析』

Castells, Manuel 1977 La Question Urbiane,Maspero,526p.
=19841125 山田 操,恒星社厚生閣,463p.


このHP経由で購入すると寄付されます

■Castells, Manuel 1977 La Question Urbaine,Maspero,526p.
=19841125 山田 操 訳『都市問題――科学的理論と分析』,恒星社厚生閣,463p. ISBN-10: 4769905246 ISBN-13: 978-4769905240 \5800 [amazon][kinokuniya] u02 sm02

■目次

使用法、あるいは認識論序説
第一章 都市化の歴史的過程
 第一節 都市現象、その概念的規定と歴史的現実
 第二節 資本主義工業社会におけるメトロポリタン地域の形成
 第三節 都市化、発展、従属
 第四節 生産様式と都市過程、社会主義国における都市現象の考察
第二章 都市イデオロギー
 第一節 都市文化の神話
 第二節 都市社会から都市革命へ
 第三節 都市社会環境
第三章 都市構造
 第一節 空間理論に関する論争
 第二節 都市構造の諸要素
 第三節 空間の研究から《都市》分析へ、都市システム
第四章 都市政治
 第一節 都市政治の理論的分野の出現
 第二節 都市政治の研究のための理論的用具
 第三節 都市計画に関する調査
 第四節 都市社会運動に関する研究、重要な観察
 結論
あとがき

文献
訳者あとがき

■引用
「支配的イデオロギーへの労働者階級のイデオロギー的一体化は、労働という活動、居住という活動、《レジャー》という活動のあいだの実際上の分離と共存しており、その分離がメトロポリスの機能的地帯制の基礎になっている。核家族がもてはやされ、マス・メディアが重要になり、個人主義イデオロギーが支配的になるのは、諸関係の細分化や諸利害の分割化の意味で、特殊戦略として機能する。これは、空間の分野では、個人主義化された住居の分散つまり個人住宅での孤立あるいは団地での孤独に当っている。」(p.16)

「われわれは労働力の再生産の社会過程から派生した空間的に実現された全体を、構造の消費要素(C)と呼ぶ。《この名称の下に、人間の肉体や生きているパーソナリティとして存在している物質的、精神的能力の全体、それはまた有用なものを生産するために動員しなければならないものであるが、を理解せねばならない》。この再生産は単純なものもあるし(たとえば、住宅、最小の施設)、広いものもある(社会−文化的環境など)。」(p.120)

「B 消費の空間。つまり労働力の再生産の空間過程。

 この見出しによって、空間と関係して労働力の単純、拡大再生産に関連する複雑な過程の全体、たとえば居住、緑地空間、諸施設、また社会的、イデオロギー的再生産の次元での学校や社会―文化機関を表現することができる。」(p.137)

「こうして、たとえば被支配階級に対する統合−抑圧の二重の運動は、一方では共同体的自治、住民の直接的影響のもとで一定の決定能力を備えた地域集団として空間を区画すること(統合)として現われる。また他方では、諸地域集団の行政的ヒエラルキー、制度的装置の論理にますます依存する諸次元全体への地域集団の従属、各種の共同体の孤立化として現われ、水平的関係はきわめて制限され、集中された主導権への上下関係的結合が支配する(抑圧)。
 さらに権力を握る階級の表現として、支配−規制の諸過程は、一方でその区画全体の機能の規範を定め、また地方集団の空間を直接変える集中的主導権の可能性を保持し、空間を組織する(支配)。他方ではまた、社会関係を空間に適応させるための介入によって空間を組織するが、そこでは支配的集団の内部の利害矛盾あるいは発生した構造的ズレが危機を爆発させ拡大させる危険がある。つまり都市計画や新しい行政的境界(メトロポリタン政府や地域区画のような)はそのよい事例である(規制)。」(p.198)

「都市実践は、労働力再生産の集団的単位の内部組織に関係するすべての社会的実践であり、あるいは集団的消費の総合的問題を対象として、都市単位(したがって消費過程の単位である)を活動分野とするすべての社会的実践である。」(p.256)

「社会運動は、いくつかの矛盾をふくむ一定の構造的組合わせが一定の型の組織と出会うことから生れる。すべての社会運動は、秩序の維持を目指す政治機関の介入(統一−抑圧)の表現である対抗運動を、システムの側からうながす。」(p.261)

「都市システムにおける基礎的な構造的矛盾と他の実践の結晶化から形成された組織の正しい方針とが一致するときに、都市社会運動は存在する。正しい方針とは、一定の局面において組織によって代表される階級的利害にそれ自体依存している組織の対象と構造的展望が一致している政治的実践である。」(p.264)

「(三)都市社会運動とは、行為者−支持者を都市構造や社会構造に組みこむことによって明らかにされた状況の接合関係から生れる実践のシステムである。その運動の発展は都市組織の構造的変動や階級闘争における、つまり最終レベルでは国家権力における力関係の実質的転換を目指すかぎりで都市社会運動として理解される。」(p.382)


*作成:橋口 昌治 
UP:20081211 REV:
都市・空間・場所 ◇社会運動/社会運動史  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)