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『経済原論――資本主義経済の構造と動態』

富塚 良三 19760430 有斐閣,有斐閣大学双書,491p.

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last update: 20191226

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■富塚 良三 19760430 『経済原論――資本主義経済の構造と動態』,有斐閣,有斐閣大学双書,491p.ISBN-10: 4641093148 ISBN-13: 978-4641093140 欠品 [amazon][kinokuniya]

■内容

【内容紹介】「はしがき」より(本書:@-Aより)

 インフレーションと不況との同時進行という異常な事態に直面することによって、「高度成長」を遂げてきた戦後の資本主義も、いまや大きな転換期を迎えつつあるようにみえる。「管理通貨制度」とも呼ばれる不換銀行制度下の独自の財政・金融機構を通じての、国家の経済過程への積極的介入――それは、「有効需要」創出政策であると同時にインフレ政策である――と、「第二次産業革命」とも呼ばれるほどの飛躍的な技術革新とによって、急速な発展を遂げてきた戦後の資本主義は、ようやくにしてそれに固有の構造的矛盾を露呈しはじめたのである。それは、「高度成長」という急速な資本蓄積の過程それ自体のなかに構造的に内包され成熟してきた矛盾であり、また、資本主義的生産に本来的な矛盾が、独占段階の構造変化とインフレ政策とによって、屈折と変容をうけながら発現しているものにほかならない。それゆえに、現今の状況をその必然性において認識し、現代資本主義をそれに固有の問題性において把握するためには、資本主義経済の構造と動態を《資本一般》の理論として原理的・体系的に明らかにする《経済学の原理論》についての正確な理解がまず前提されなければならない。マルクスの『資本論』は、そういうものとしての《経済学の原理論》の古典として、いまなお新鮮な魅力をもつ書物である。体制を与件として前提してその機構のもとで展開される経済現象を記述し定式化するだけでなく、与件である体制そのものを分析対象とする・その意味での構造分析(経済的な諸範疇の内的編成の解明)にもとづく動態分析(運動法則の展開)たるところに、マルクスの『資本論』の経済学の古典としての不滅の意義があるのであるが、本書は、その『資本論』の全体系の論述を整序し要約し、主要な諸論点についてそれをさらに明確化し発展させようと試みたものである。 △@
 本書は《経済原論》のテキストとして企画されたものであり、また、現今の社会経済的な諸問題をその根源にさかのぼって深く考えてみようとする一般社会人によっても広く読まれることを期待し念願している。したがって叙述はできるだけ簡潔・平明になるように努めたが、しかし内容的にはかなりに高度な、専門的な研究社にも充分役立つものになっているとおもわれる。わが国におけるマルクス経済学の研究は、今日、世界的にみて最も高い水準に達しているといってよいであろうが、しかし、あの厖大な『資本論』の全体系を完全に読みこなしている人は、それほどは多くないのではないかとおもわれる。私自身はまた、本書を書くことによってはじめて、「商品」にはじまり「諸階級」で終わる『資本論』全体系を、ようやく私なりに「わが物とし (aneignen) 」えたように感じている次第である。そうしてまた、誰も彼もが『資本論』と現理論の研究にのみ没頭しているわけにはいかず、むしろそれを理論的な基準としてヨリ現実的・具体的な諸問題の解明にむかうべきであろうが、それゆえにこそ『資本論』の全体を綿密・正確に、かつ体系的に再現し、さらに未完成な部分を敢て展開した書物が必要であるようにおもわれる。だが、果して本書がそうした意図と念願を実現したものとなりえているかどうか、それは読者の判定にまつ以外にない。
 本書は、私の理解しえたかぎりの『資本論』の精髄を伝え、それに前著『恐慌論研究』(1962年初版、1975年増補再販、未来社刊)および『蓄積論研究』(1965年、同上社刊)でえられた成果を加え、さらに、前著への諸批判等をも考慮しながら、若干の理論的前進を試みたものとなっている。なお、インフレーション等の現代的な諸問題についても、関連個所において(補論として)必要最小限の叙述があたえられている。


【著者紹介】(本書奥付より)


富塚 良三(とみづか りょうぞう)
1923年 千葉県に生まれる
1949年 東京大学経済学部卒業
      大原社会問題研究所研究員、福島大学経済学部助教授を経て
 現 在  中央大学商学部教授(経済原論担当)
      経済学博士
 主 著  『恐慌論研究』(未来社)1962年、『蓄積論研究』(未来社)1965年
 編 著  『経済分析入門』(有斐閣双書)1972年


■目次

第T編 資本の生産過程
 第1章 商品
 第2章 貨幣
 第3章 資本
 第4章 資本の蓄積過程
 第5章 本源的蓄積

第U編 資本の流通過程
 第1章 資本の循環
 第2章 資本の回転
 第3章 社会的総資本の再生産と流通

第V篇 資本の総過程
 第1章 剰余価値の利潤への転化
 第2章 利潤の平均利潤への転化
 第3章 資本蓄積と利潤率の変動
 第4章 商業資本と商業利潤
 第5章 利子生み資本と信用
 第6章 土地所有と地代
 第7章 所得とその源泉
 


■引用



■書評・紹介



■言及





*作成:岩ア 弘泰
UP: 20191226 REV:
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