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日本経済新聞社 19751128 日本経済新聞社,192p. ■日本経済新聞社 19751128 『失業時代は来るか――低成長と雇用不安』,日本経済新聞社,192p. 480 ■編者のことば 昭和三十年以降の高度成長期の間変わることなく続いてきた"労働力不足"が、最近大きく様相を変えつつある。大量の失業者があふれ、雇用不安が急速に高 まってきた。しかもこの雇用問題は、わが国だけでなく世界の多くの国にとって共通の悩みとなっている。日本経済が低成長時代に入っていった場合、一転して "労働力過剰"に変わってしまうのだろうか、あるいは完全雇用と物価安定の両立に苦しむのだろうか、これからの行方を探ってみた。 ■目次 まえがき 1 しのび寄る失業 1 高度成長から安定成長へ 2 減少した雇用労働者数 3 雇用停滞の四つのタイプ 4 雇用減少の原因 5 雇用調整の多様化 6 女子労働力率の低下 7 失業の状況 8 求人倍率の低下 2 雇用を決める条件 1 経済成長率 2 雇用吸収力 3 労働時間の短縮 4 交替補充 5 人口 6 労働力率 7 日本の労働力率の特徴 8 三つの供給源 3 失業問題の考え方 1 甘い日本の失業観 2 失業の分類 3 わが国の失業統計 4 わが国の失業者 5 各国の失業統計 6 外国の失業者 7 失業水準の国際比較 8 完全雇用失業率 4 完全雇用政策の限界 1 完全雇用の中身 2 完全雇用政策の歴史 3 ケインズ理論の批判 4 米の完全雇用予算 5 完全雇用とインフレ 6 わが国の完全雇用政策 5 欧米の雇用情勢 1 政策選択に悩む米国 2 悪化するばかりの英国 3 優等生ぶりを示す西独 6 雇用不安の行方 1 景気回復の歩み 2 緩やかな雇用増加 3 ホワイトカラーに厳しい見通し 4 むずかしい長期見通し 5 労働力供給の長期見通し 6 労働力需要の長期見通し 7 労働力需給の長期バランス 7 これからの雇用政策 1 三つの問題点 2 雇用指標の確立 3 高齢者対策などの強化 4 産業構造の転換と雇用政策 5 労働組合の役割 ■引用 「年齢別には、男女とも若年層の失業者が多く、八七万人のうち三十歳未満が三八万人(四四%)を占め、比較的年齢の高い、たとえば五十五歳以上になると全 体の一六%に当たる一四万人と少ない。もっとも男女別にみると、男子は女子より高齢者が多く五十五歳以上の失業者は、大部分が男子である。 年齢階級別に失業率をみると、三十歳未満の若年層と五十五−五十九歳の高齢層が全体の平均よりかなり高く、一方、三十−五十四歳の中年層では低くなって いる。若年層に失業者が多いのは、新規学卒者のうち就職後、短期間に離職する者が多いなど、職業が安定していないことによるものであり、国際的にも共通し てみられる。一方、高齢者の失業率が、男子の場合目立って高くなるのは、定年制の影響などで、高齢者の職業が不安定になりがちなことを示すものである。」 (p.81-82) 「以上のような失業者の年齢構成の変化は、労働力人口の年齢構成変化によるところが大きい。失業者数を労働力人口で割った失業率を「国勢調査」によってみ ると、男子の十五−十九歳層の失業率は三十五年の一.九八%から四十五年の三.八%へと大幅に上昇している。女子についても一.四二%から一.九九%に上 昇している。このように失業率が上昇しているのに、若年層の失業者の割合が少なくなっているのは、この間に若年層の労働力人口が相対的に減少しているため である。」(p.86) 「その影響が集中的に現れているのが、五十一年の大学生の就職問題である。五十一年三月卒の大学就職希望者数は、短大を入れて約三四万人といわれている。 このうち約一〇万人を占める女子の短大卒については、従来から企業が高卒女子との兼ね合いで採用する傾向があり、その高卒については求人倍率が二倍を維持 することはほぼ確実であるので、最終的には何んとか就職できるようになるものと見込まれる。 問題は四年制大卒である。この場合にも労働省が九月末現在で全国の主要一三大学について調査した結果からみても明らかなように、就職希望者数に見合うだ けの求人数は一応確保することは可能である。しかし、大学関係者や就職を希望する学生たちの意見を聞くと、大卒には大卒にふさわしい会社でなければならな いということが強く主張されており、単に求人の数だけで判断できない問題があるようである。そうなると大卒の就職問題は最後まで困難な状態が続く恐れもあ る。」(p.158) 「こうした予想される産業構造の変化に対しては、二つの面から雇用政策を強化する必要がある。一つは衰退部門から発生する離職者に対する対策であり、もう 一つは成長を続ける部門に対する労働力の流動対策である。」(p.189) 「これからの雇用問題は@経済の低成長下でいかにして雇用機会を確保するか、Aその場合、日本的雇用慣行である終身雇用制や年功序列制を維持することがで きるか、B賃金、物価の安定と完全雇用の両立は可能か、C増大する高年齢者の雇用をいかに確保していくか、特に労働力需給が緩和に向かう中で定年延長など をどのように進めるかなどが焦点となっていくる。 (…) そうするためには、労働組合が労働者の働き方について考え直してみることが必要である。労働組合幹部の中にも、これまでは労働のアウト・プットのみに関 心を持ち過ぎたが、これからはイン・プット、つまり働き方についても考えていく必要があるという意見を持っている人がある。これは企業の合理化計画に、労 働組合が協力しないということではない。企業の合理化努力が必要でないということでもない。資源の乏しいわが国が、今後も経済の発展を図り、生活水準の向 上を達成していくためには、世界のどの国にも負けないような努力をこれからも続けていかなければならない。しかし、これまでのように欧米主要国の二倍も三 倍ものスピードで合理化をし、生産性をあげていく必要はないということである。 その場合に、どの程度の生産性向上テンポにするかについては、労使が話し合いで決めればいい。全体として雇用不安が起きないようにし、高年齢者には定年 延長もやるという生産性の上昇テンポを見い出すのは決して不可能ではない。」(p.191-192) 作成:橋口 昌治(立命館大学大学院先端総合 学術研究科) UP:20071106 ◇平等/不平等/格差 ◇本 |