HOME > BOOK >

『裁かれる製薬企業――第2・第3のスモンを許すな』

坂本 久直・高野 哲夫 編 19750830 汐文社,325p.

Tweet
last update:(最後に更新した日付 ex.20150714)

このHP経由で購入すると寄付されます


■坂本 久直・高野 哲夫 編 19750830 『裁かれる製薬企業――第2・第3のスモンを許すな』,汐文社,325p. ASIN:B000J9OGXE 980 [amazon] ※ d07. d07smon

■目次

はじめに
第一章 薬、薬、キノホルムが憎い
 薬・薬・キノホルムが憎い
 不自由な足で歩み続けて十年
 小さな小川のような流れであっても
 不要の遺言
 “公害お化け人間”の住む日本列島にしないでください
 苦しみは私たちだけでたくさん
 スモンの母につきそって
 戦争犠牲のうえスモンとは
 薬会社の人よ自分でキノホルムを飲んでみよ
 息子の青春をかえして
 スモンの夫に代りて
 老躯に鞭打ちて

第二章 “光を求めて”――短歌集
 試歩の歩み
 くちなしの春
 薬害を繰り返へさじ
 病む人等にも春はめぐりぬ
 手記――苦しみと孤独に耐えて

第三章 病床日記「あゆみ」――典型的なスモンの一症例
 入院まで
 入院
 歩けない
 緑舌は何だ
 重い足をひきずって歩行訓練
 眼がおかしい
 ベッドから転落
 テレビが見えない
 クスリ、クスリ
 夜が明けない
 やっと口をきいた
 わが子二人に支えられて

第四章 “安全な整腸保健薬”キノホルムはどうしてつくられたか
 キノホルム誕生
 殺菌消毒剤の内用
 キノホルム日本上陸
 デービッド警告
 新しくない“新薬”
 吸収しきれないという神話
 旅行者下痢予防にキノホルムはきいたか
 わが国における副作用報告
 ベルグレン警告
 緑の窓口
 キノホルムは副作用がきわめて少ないか
 キノホルム神話はこうして打ち砕かれた

第五章 第二・第三のスモンを許さない――薬の安全性への考え方
 スモンはなぜわが国に多発したのか
 ペニシリンショック死から何を学んだか
 新しい薬害概念、サリマイド事件
 アングラ薬品、アンプル薬事件
 強制接種・種痘事故の責任
 大量生産大量消費、くすり漬けの実態
 製薬企業高度成長の秘密
 薬害は起こるべくして起きた

■引用

◆坂本 久直・高野 哲夫 編 19750830 『裁かれる製薬企業――第2・第3のスモンを許すな』,汐文社,325p. ASIN:B000J9OGXE 980 [amazon] ※ d07. d07smon

 第四章 ”安全な整腸保健薬”キノホルムはどうしてつくられたか
 高野哲夫 179-241
 「緑の窓口
 一九六〇年前後から猛威をふるっていたスモン[…]の病因をめぐって、さまざまな論議がかわされたが、長らく原因不明の奇病とされていた。一時はウイルス説も唱えられたが、これら病原体説は、@ウイルスが侵入すれぱ血中のリンパ球白血球が増え、骨髄液にも変化があるはずだ。A病原体によって引きおこされるはずの炎症が認められない。B神経細胞そのものが破壊されているのではなく、軸索に摂傷を受けている。Cわが国に特有と云うのが不自然である。D老若男女に発生差がある。病原体があるならば差はないはすである。G集中発生例ばかりでなく散発例もあり、家族性の発症はむしろ稀である、などの理由から決定的なきめ手を欠いていた。
 一九六九年九月から発足したスモン調査研究協議会は、全国的なプロジェクト研究として組織されたものであるが、分折班の田村善蔵東大教授らは、いわゆる緑の窓口と呼ばれた”緑▽223 舌、緑便、緑尿”の解明から始めることになった。当初ウイルス説の影響もあって、伝染するかも知れないと云うことで、こわごわ始められたが、緑尿からとれた物質は、何とキノホルムでありた。そして緑の色素は、その鉄キレートであることも解った。あまりにもありきたりな、しかも”スモンの治療に用いられていたキノホルムでは話にならない”一瞬頭の中をめぐつた[ママ]。しかし、椿忠雄新潟大教授らの疫学調査が行なわれてみると、”スモンあるところにキノホルムあり”と云うことが明確になって来た。
 キノホ一ムに焦点がしぼられてから研究は急速に進み、その全貌がほぼ明らかにされた。その概要をまとめると、次のようになる。」(高野[1975:222-223])

■書評・紹介

■言及



*作成:安田 智博
UP:20160122 REV:
薬/薬害 薬害スモン  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)