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『鉄格子の中から――精神医療はこれでいいのか』

友の会編 19740801 海潮社,254p.


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■友の会編 19740801 『鉄格子の中から――精神医療はこれでいいのか』,海潮社,254p. ISBN-10: B000J9OWUQ 1500 【品切】 [amazon] ※ m

■紹介・引用

「精神科の薬を飲むと鋭い小説が書けないので、三日前から止めて、睡眠薬で眠っています。再発するかも知れませんが、前の小説は二百枚なので、本にするとき三百枚でないといけませんので、もう百枚どうしても仕上げようと思っています。他にも一昨年より長編を頼まれていまして、それも急がないといけないのですが、精神科の薬を飲むとぼんやりして、書いてもしょうがないような小説にしかならないので、すべてをここで文学に賭けてみようと思っています。」(p.37)

「今何の薬も飲んでなく、気持も澄んで、よく仕事ができます。何の薬でも薬はあまりよくないですね。」(p.39)

「睡眠薬を飲まねば眠れず、飲めば鋭い小説は書けない。」(p.41)

「からだの調子が整わず胃や体中がだるく、食事も一日一食でしたが食べていましたが、薬を飲むと調子が悪くなり、相談すると胃薬ばかりがっぽりよこされ、信頼をくずしてしまいました。飲まなく月なって三ヶ目に(それまで四年間飲んでいたのですが)入院するように言われ、入院は三ヶ月で大丈夫と言われたのですが、ここの病院の常として、今七ヶ月目に入っています。」(pp.79-80)

「1.ロボトミー手術の後遺症に悩む
 退院する一ヶ月前に、医長先生の先輩の某市の開業医院に連れて行かれて、ロボトミー手術を、理由なくやるといわれたので、私は絶対に手術を受けないと言い張ったのですが、医長先生の先輩と、先生の奥様(元看護婦)を助手として、医長立合いで強制的に手術され、二週間後に病院を退院しました。
 今になって考えてみると、人体実験をされたように思われます。」(友の会編[1974:130]) cf.精神外科:ロボトミー

「入院して三ヶ月を過ぎた頃、「世の中の楽しくなる薬を飲んでみないか。この薬はこの病院で初めて使う薬だよ」と言われて、脳波室に連れて行かれ、飲まされましたが、それがこの不幸を招くとは想像もしませんでした。世の中の楽しくなる薬というのは後にわかったことですが、LSDという幻覚剤でした。心身共に弱り切っていた子供の自分には、LSDのショックは余りにも強烈でした。私の精神に動揺が起きたのはそれからですが、狭い脳波室で幻覚が起こってきました。」(p.138)

「一、私の経験では、「薬は出来るだけ飲まない方が良い」という結論が出ます。睡眠薬、精神安定剤などの薬は、結局みんな駄目だと言いたいのです。これはちょっと乱暴ですが、現在薬の大量投与に頼っている病院がほとんどですから、このような極端な言い方も必要と思われます。」(p.146)
「どうやらこうやら退院して以来、五ケ月の入院生活に懲りて、ずっと薬を続けていますので、再発はまぬがれております。」(p.155)

「私は四十七年にH市の国立療養所Mを退院してから、一日も薬を欠かしたことはありません。精神病に対する主な治療法は薬物療法だと聞いていますが、私の場合、退院してから薬を止めて再発した苦い経験がありますので、薬だけは欠かさずに服用していこうと思っています。」(pp.160-161)

「それは、いま、薬は二週間分ずつしかくれませんが、これを四週間分くらい出してほしいということ。仕事に就いて日が浅いため、平日は通えなくて、仕方なく日曜日に二週間分の薬を取りに行くのですが、薬の内容が昨年からずっと同じなので、現在の病状に合わせた薬を調合してほしいということです。ただ機械的に、行けば何年か前に診察した結果、決定した薬の処方箋を書くのではなく、そのときの病状に合わせた薬がほしいのです。」(p.161)

「実は昨秋結婚したのですが、精神安定剤を服用していることがわかって、結婚五日目に離婚させられ、精神的にも経済的にも苦境に立たされました。
今はなんとか己の人生の建て直しを計っています。薬を飲んでいることが結婚の障害になったので、なんとか薬を止めたいと努力したことも一度や二度ではありません。」(pp.182-183)

「素人がこんなこと言って先生方に申し訳ないんですけど、徐々に薬を減らしていったらいいんじゃないなかと思うんです。きのう息子が遊びに来まして、明日集まりがあるんだけど、一緒に行かないって言ったら、どこか用事があるって来ないんですけど、ぼくが言いたいのは薬を飲ませないでくれって、先生に言ってくれって。私の話は極端ですよ。薬を極端に減らす。それは極端すぎますからね、素人ではしょうがないから、そこは先生が加減して下されば結構ですけどね。(中略)精神病の薬もね、薬を止める過程に必ず禁断症状が出てきて、すごくなると、先生も本人も家族もおたつくんじゃないかなと素人考えで思うんですけど。」(p.202)

「I 精神を治療するのになんで薬で治るんですか。中枢神経をただ鎮静してですね、ただ無気力な状態にしておけば刺激が加わらないからいいだろうということでやっているんでしょうけどね、管理もしやすいし。」(p.230)

■紹介・言及

◆吉田 おさみ 198101 『”狂気”からの反撃――精神医療解体運動への視点』,新泉社,276p. ISBN: 4787780085 1575 [品切] [amazon] m.
 「…『精神医療』全国『精神病』者集団や友の会を知り、その仲間に入れてもらうようになったからです。/私と友の会とのかかわりは『精神医療』の書評欄にのっていた『鉄格子の中から』をまず買い、そこに載っていた友の会の連絡先に手紙をだすことからはじまりました。…」(吉田[1981:246])

◆立岩 真也 2013 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版


*作成:松枝 亜希子
UP:20071221, 20110803, 20130207
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