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『鉄格子の中から――精神医療はこれでいいのか』

友の会 編 19740801 海潮社,254p.


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■友の会 編 19740801 『鉄格子の中から――精神医療はこれでいいのか』,海潮社,254p. ASIN: B000J9OWUQ [amazon] m

■引用

p159、14行
 「《河原さんの住居と職探しに協力
 東京郊外の病院で十年近くも(以前の入院歴も含めて)療養された川原さんは59歳。7月、退院許可が下りたので住居と職探しの援助を求めて会へ来られた。本人の希望は、病気療養中の姉と二人で公営アパートを借り(家族があれば入居費用が福祉課から出るという)、病院の派出婦、賄のような仕事をしたいという。会合後会員の一人が病院に問い合わせ、姉さんにも会って詳しい事情を聞いたところ、姉さんはまだ退院できる状態ではないらしい。河原さん自身も現在の病院で準職員のような形で他患者の手伝いをしている方が気楽でいいという気持ちも強く、周囲の、姉さんを待たずに早く自立すべきだという声をよそに、去就に迷っている》
 入院が長期化すれば社会復帰が困難になるのは当然で、本人の側にも社会へでることの不安が増し、たとえ復帰し得ても社会に溶け込めず、違和感が生ずることは十分予想される。河原さんの、迷いは、在院日数が長期化し、病院というより施設、ホームの色彩を濃くしてしまった病院のあり方に疑問を投げかけるものではなかろうか。病院也、家族会なり福祉行政なりは、他にもたくさんいる河原さんの救済にのり出さないのだろうか」

p199、6行
 「私入院しているわけですが、現在置かれている状況から未来を展望してみると、非常に難しいなと思った。何とか出来そうなものというと、例えば入院中であれば、生活保護のお金なんか今のインフレに合わせてもっと出してくださいとか、病院の中での開放化は、うちの病院では2割くらいのもんだと思うんですが、7割くらいにしたらどうか、とか、タバコは開放病棟の人は自由だけど、生活保護の人は10本くらいだから、あれをもっと増やしたらどうか、とか、近い問題は考えられるんだけど、今度とおい未来について考えると、いったいどういうことなのか。いろいろ考えたんですが、現在の入院万能主義の方法から通院治療の方向へもっと努力がされないのか、考えるわけです。ぼくは今、開放の50数人の中で生活しているんですけども、病院をパラダイスにはならんだろうけれども、非常に住みやすい、非常に良い生活を与えても、やはり社会へ出すべきじゃないか、という考え方もあるし、といってもうひとつ考えてみますと、病院の中でしかやっぱり生きられない人もるということです。どんなに病院をパラダイス化し、生活を良くしてもやはりそこは病院内での限界があるから、社会へ出すべきだという意見を、ぼくはもっていたんですけど、社会へ出ても生活能力が無いというか、自分で食っていく能力なり意欲のない人が老人とかにかなりある。そういう人たちのために病院を住み良くするべきだと思う。その上でやはり通院治療、これを出来るだけ拡大してほしいということですね。外面的には建物なんか非常に良くなったことは良くなった。ただそれで事足りた気でいるという面もあるんじゃないかと思うんです。新築し、きれいなところに住むわけだけども、鍵を閉めて閉鎖になっているから、広い中を1日うろうろ、うろうろ熊のように動いてる。何故もっと開放化出来ないのかという事です。長期的にはわれわれに対する差別の問題。これはものすごく強いものだ。われわれがいろいろな面で努力してどうしても闘いとっていかなくてはならない。」

■言及

◆立岩 真也 2013/12/10 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.


作成:阿部 あかね
UP:20080320 
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