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『差別構造の解体へ――保安処分とファシズム「医」思想』

高杉 晋吾 19720229 三一書房,284p.


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高杉 晋吾 19720229 『差別構造の解体へ――保安処分とファシズム「医」思想』,三一書房,284p. ASIN: B000J9OVWA 1000 [amazon] ※ ts2008

T 福祉幻想解体への序章
U 増殖する福祉ゲットー
 安楽死と強制収容所 112-125
V 「七〇年代医療」の恐怖図
W 暴力装置化する医療
X 「恐怖と幻想」からの解放


T 福祉幻想解体への序章

U 増殖する福祉ゲットー

  府中療育センター 53-
  府中療育センター 63-
 横浜での事件 78-
  コーエン『強制収容所における人間行動』 81
  八木下 97

◆19710205 「安楽死と強制収容所」
 『朝日ジャーナル』1972-2-5→高杉[19720229:112-125]

 『婦人公論』117-

 「第二次大戦中の松沢病院で、入院患者の五〇%は餓死させられた。そして何よりも、一九三三年、第三帝国を築き上げたヒトラーの思想、ナチズムそのものが、国家にとっての利用度から人間を差別する思想体系の全面的完成の上にたてられたものであった。
 医療費、社会保険に対する全面的批判とその赤字対策を野蛮に実行しつつあるヒトラーが、一九三九年、ポーランド侵攻を計画し実施する直前、奇形で盲目、白痴、片腕と片足の一部のない自分の子の安楽死をヒトラーに請願してきた父親がいた。ヒトラーはカール・ブラント博士に命じて、安楽死の許可を与えさせた。「拝啓」の先輩がここにいたのである。<0123<
 この事件が世論にいかなる刺激を与えたかは想像することができる。そしてすでに、不治の遺伝病に苦しむ人々に対して負担せねばならぬ巨大な出費数百億マルクの出費をなんとしても切ろうと考えていたヒトラーは、このうってつけの事件をフルに利用し、計画的な大量「安楽死」計画を実施した。
 カール・ブラントと、フィリップ・ブーラーを頂点とする鑑定医群は、各精神病院に送られた質問書(とくに患者の労働能力、労働価値)に対する回答をもとに、書類で患者の生死を決定し、家族には偽の死亡通知書を送って、二七万五千人の精神病者、心身障害者をガス室に送り込んだ。
 この経験が、大量隔離への誘導技術、大量収容と支配・管理、大量殺戮の技術として完成し、ナチス国家の支配体制を支える基本的暴力装置として完成し、ドイツ国民や他の被征服民族への恐怖支配の根源となったことは、人も知るところだ。この安楽死計画に敢然と反対して立上がったミュンスター教会の司教フォン・ガレンは、ヒトラーが安楽死を強行した理由をつぎのように指摘している。
 「彼らが殺されるのは、彼らが《非生産的》と評定されたからだ」と。」(高杉[1971→19720229:112-125]
 →優生・ナチス・ドイツ


V 「七〇年代医療」の恐怖図

  京都精神障害者家族会「あけぼの会」 129
  日課表 150

W 暴力装置化する医療

  ロボトミー 189-

X 「恐怖と幻想」からの解放

■紹介・引用

「こうして、医師が患者を診断せず投薬する無診投薬が体制化される。薬を病人にあわすのではなく、病人を薬にあわせる。「注射を拒否して退院させられかけた患者があった。薬をのまないといって転院を命ぜられた患者もあった」という。」(p135)

「そしてその改革の主要な点は、なによりも鉄格子や、保護室や薬漬けや電気ショック、手術に代わって、烏山病院の特徴であった「ルール漬け」、より具体的にいえば「三大服務規定」という医師、看護士やパラメディカル・スタッフをガンジガラメにするルール、そして医療労働者や患者の日常生活の二四時間を一五分〜三〇分刻みでしばりつける日課表、週課表の呪術から、労働者、患者を解き放つ作業であった。」(p144)

「烏山病院が昭和三四年来開始した開放医療(生活療法)を支えるものとして「墓場」「終身刑」といわれ、「治療不能」と医師がレッテルを張った患者の溜り場の設定、患者にとって「あそこにだけは入れられたくない」という恐怖の「生活指導病棟」の存在が構造的な存在であり、この存在をぬきにしては「開放」さえあり得なかった、いや、むしろ、このボケ病棟の恐怖を強めれば強めるほど、「開放」の幻想性もふくらみを増したというカラクリの中にあって、松島医師らが生活指導病棟で行った三大服務規定体制解体、週課表・日課表廃止、その他のあらゆるチームワークごっこ(実態は多数決原理による患者抑圧)、抑圧体制の廃止の意味するところは余りにも明白ではないだろうか。」(p166)

「ところが、精神医療が、真に人間の解放をめざすのではなく、治療よりは、社会治安の収容所として位置づけられている体制のもとにあっては、社会防衛(資本家の少数支配の防衛)論に立つ精神科医にとって、このロボトミー手術は死刑、無期刑と並んでこの上ない「治安的治療」の手段なのだ。」(p190)


UP:20070401 REV 1222
*作成:松枝亜希子
BOOK  ◇生存学創成拠点 

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