『アンチ・オイディプス――資本主義と分裂症(上)』
Deleuze, Gilles・Guattari, Felix 1972 L'Anti-Oedipe: Capitalisme et Schizophrenie,Les Editions De Minuit,470p.
=20061020 宇野 邦一 訳,河出書房新社,416p.
last update: 20180225
■
Deleuze, Gilles・Guattari, Felix 1972
L'Anti-Oedipe: Capitalisme et Schizophrenie,Les Editions De Minuit,470p.
=20061020 宇野 邦一 訳 『アンチ・オイディプス――資本主義と分裂症(上)』,河出書房新社,416p. ISBN-10:4309462804 ISBN-13:978-4309462806 1200+
[amazon]/
[kinokuniya] ※ p. dg01.
■内容
マグマのような苛烈な文体によって、唯物論哲学を大胆に書き変えた名著の新訳。精神分析批判から資本主義と国家への根底的な批判へ向かい、そのための「分裂分析」をうち立てた革命的な思考はいまこそ「再発見」されなければならない。欲望機械/器官なき身体とともに、最も危険でカオティックな思考の実験がはじまる。
■目次
第1章 欲望機械
1 欲望的生産
分裂者の散歩――自然と産業――プロセス――欲望機械、部分対象と流れ:そして……そして……
――第1の総合:接続的総合あるいは生産の生産――器官なき身体の生産
2 器官なき身体
反生産――反発とパラノイア機械――欲望的生産と社会的生産:反生産はどのように生産諸力を自分のものとするのか――
占有あるいは吸引と、奇蹟を行う機械――第2の総合:離接的総合あるいは登録の生産――〈これであれ……あれであれ〉――分裂症の系譜
3 主体と享受
独身機械――第3の総合:連接的総合あるいは消費の生産――「だから、これは……である」――物資、卵胞、強度:
〈私は感ずる〉――歴史上の様々な名前
4 唯物論的精神医学
無意識と生産のカテゴリー――劇場か工場か――生産のプロセスとしてのプロセス――欠如としての欲望という観念論的発想〈幻想〉――
現実的なものと欲望的生産:受動的総合――集団幻想の現実――欲望的生産と社会的生産の間の体制の差異――社会体と器官なき身体――
資本主義とその極限としての分裂症〈相反する傾向〉――神経症、精神病、倒錯
5 欲望機械
欲望機械は機械であり、これは隠喩ではない――切断の第1の様式:流れと採取――切断の第2の様式:連鎖あるいはコードと離脱――
切断の第3の様式。主体と残滓
6 全体と諸部分
多様性の規定――もろもろの部分対象――オイディプス批判、オイディプス的欺瞞――子供はすでに……――孤児としての無意識――
精神分析においては何が変なのか
第2章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族
1 オイディプス帝国主義
その様式――精神分析におけるオイディプス的転回点――欲望的生産と表象――欲望機械の放棄
2 フロイトの3つのテクスト
オイディプス化――シュレーバー控訴院長の妄想の破壊――どんな点で精神分析はあいかわらず敬虔なのか――
欠如のイデオロギー:去勢――あらゆる幻想は集団のものである――流れとしてのリビドー――流れの反抗
3 生産の接続的総合
この総合の2つの使用、包括的かつ特殊的使用、部分的かつ非特殊的使用――家族とカップル、出自と縁組:三角形化――
三角形化の原因――精神分析の第1の誤謬推理:外挿法――超越的使用と内在的使用
4 登録の離接的総合
その2つの使用。排他的制限的使用と包含的無制限的使用――包含的諸離接。系譜学――排他択一的な区別と未分化状態――
精神分析の第2の誤謬推理。オイディプス的ダブル・バインド――オイディプスはいつも勝利する――象徴界と想像界との間には、国境があるのか
5 消費の連接的総合
その2つの使用法、分離的かつ一対一対応的使用法と遊牧的かつ多義的使用――器官なき身体ともろもろの強度――
旅行、移行:私は……になる――あらゆる錯乱は社会的、歴史的、政治的である――人種――同一化することの意味――
どんなふうに精神分析は社会的−政治的内容を抹殺するのか――頑迷な家族主義――家族と社会野――欲望的生産と社会的生産の備給――
幼年期から――精神分析の第3の誤謬推理:一対一対応の「適用」としてのオイディプス――歴史における精神分析の恥――欲望の下部構造――
隔離と遊牧生活
6 3つの総合の要約
オイディプス笑話集――オイディプスと「信仰」――意味とは、使用法である――欲望的生産の内在的指標――
欲望は、法、欠如、シニフィアンを知らない――「あなたはハムレットに生まれたのか」
7 抑制と抑圧
法――精神分析の第4の誤謬推理:抑圧されたものの移動、あるいは歪曲――欲望は革命的である――押圧を委託された代行者――
オイディプスを発明するのは、精神分析ではない
8 神経症と精神病
現実――逆の関係――「決定不可能な」オイディプス:反響――現働的因子が意味するもの――精神分析の第5の誤謬推理:〈事後に〉――
欲望的生産の現働性
9 プロセス
出発すること――画家ターナー――プロセスの中断:神経症、精神病、そして倒錯――脱領土化の運動ともろもろの領土性
第3章 未開人、野蛮人、文明人
1 登記する社会体
登録――どのような意味で資本主義は普遍的なのか――社会的機械――社会体の問題、流れをコード化すること――
交換することではなくて、刻印すること、刻印されること――諸器官の備給と脱備給――残滓:人間に記憶をつくること
2 原始大地機械
大地の充実身体――縁組の出自:両者の非還元性――村の倒錯者と地縁集団――出自のストックと縁組の負債ブロック――
機能的不均衡:コードの剰余価値――〈それ〉はまさに調子を狂わすことによって作動する――線分機械――
脱コード化した流れへの大きな恐れ――内から立ち現れる死、しかしそれは外からくる
3 オイディプス問題
近親相姦――大地の充実身体の上における包含的離接――強度から外延へ:記号――近親相姦はいかなる意味で不可能なのか――
極限――コード化の条件――表象の深層の諸要素:抑圧される表象者、抑圧する表象作用、置き換えられた表象内容
4 精神分析と人類学
オイディプス問題の続き――アフリカにおける治療のプロセス――オイディプスの諸条件と植民地化――オイディプスと民族虐殺――
オイディプス化を行う人びとは、自分が何をしているのかを知らない――抑圧は何を対象としているのか――
文化主義者たちと普遍主義者たち:両者に共通の公準――どんな意味でオイディプスはまさに普遍的なのか:
極限の5つの意味、そのひとつとしてのオイディプス――人類学における使用法または機能主義――欲望機械は何も意味しない――
モル的なものと分子的なもの
5 大地的表象
表層におけるその諸要素――負債と交換――交換主義的発想の5つの公準――声、書体、眼:残酷の劇場――ニーチェ――領土的システムの死
6 野蛮な専制君主機械
専制君主の充実身体――新しい縁組と直接的な出自――パラノイア人――アジア的生産――煉瓦――国家の欺瞞――
専制君主による脱領土化と無限の負債――流れを超コード化すること
7 野蛮な、あるいは帝国の表象
その諸要素――近親相姦と超コード化――深層の諸要素とオイディプスの移動:近親相姦は可能なものとなる――
表層の諸要素、声−書体の新しい関係――天上の超越的対象――脱領土化した記号としてのシニフィアン――
専制君主的シニフィアンと近親相姦のシニフィエ――恐怖、法――無限の負債の形式:潜在、復習、怨恨――それはまだオイディプスではない……
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:奥坊 由起子