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『歴史と動向』(講座心理学1)

八木 冕 監修,末永 俊郎 編 19711130 東京大学出版会,320p.

last update: 20140422

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■八木 冕 監修,末永 俊郎 編 19711130 『歴史と動向』(講座心理学1),東京大学出版会,320p. ASIN:B000J9ZQDI 欠品 [amazon][広田氏蔵書] m.

■内容

■目次

第1章 序論
  1. はじめに
  2. 科学的心理学の思想的背景
  3. 19世紀の心理学をめぐる学問的状況
  4. 科学的心理学の台頭――精神物理学の誕生
  5. 実験心理学の成立ーWundtを中心として
  6.〈新〉心理学の発展ー19世紀末を中心として
  7. 20世紀初頭の動向
  8. 現代心理学の三つの源流
  9. 諸派の交流操作主義の浸透
  10.最近の諸傾向
第2章 現代の諸学派
 T. 連合主義
  1. 前期連想派
  2. 後期連想派
3. 連合主義の発展
 U. 機能主義
  1. 機能主義の諸相
  2. シカゴ学派機能主義…
  3. 最近の発展
 V. 精神分析
1. 精神分析学の成立
  2. 精神分析学派における欲求・衝動の理論
  3. Freudにおける文化の問題と,その後の修正者たち
 W. ゲシタルト心理学
  1. はじめに
  2. 非・ゲシタルト理論
  3. 基本的な観点
  4. 心理物理同型論
  5. 現象的ゲシタルトの諸相――体制の法則
  6. 残された問題
  7. ゲシタルト心理学におけるLewinの位置
 X. 行動主義心理学
  1. はじめに
  2. 古典的行動主義
  3. 新行動主義
  4. 最近の傾向
  5. わが国における行動主義の導入
第3章 各国における研究の状況
 T. はじめに
 U.イギリス
  1. 歴史的展望
2. イギリス心理学の主流――ケンブリッジ学派とロンドン学派
3. その他の心理学者たち
4. イギリス心理学の特質
 V. ドイツ
  1. 大学の心理学研究室と実験心理学者の会合
  2. 戦後における研究の実状
 W. フランス
  1. フランス心理学の特徴
  2. フランス心理学の系譜
  3. まとめ
 X. ソビエト
  1. 概観
  2. ソビエト心理学の基本命題と諸潮流
 Y. 日本
  1. 前史
  2. 明治・大正期――西周から松本亦太郎まで
  3. 昭和前期――ゲシュタルト学派の影響
  4. 第2次大戦後――アメリカ心理学の影響

■引用

 近代日本は明治の開国以降100年を越えた。心理学の歴史についても,Wundtの心理学研究室の設立以来, ほぼ100年になる。この間の日本の心理学を西欧のそれと同律に論ずることは無理であろう。もちろん,前史として,明治以前の日本思想史の対象となる範囲に,はたして後の心理学とつながる節々が認めれるか否かも問題とされる。そこで,適当な里程標を設けて,時代区分をしてみると次のようになる。第1期は幕末から維新前後の導入期で,西周,西村茂樹らの活躍した時期である。従来の日本語にはなかった欧米語の諸概念に適訳を与えた彼らの貢献は大きい。これに続いて,元良勇次郎を代表とする明治,松本亦太郎を代表とする大正を一括して扱うーつぎに,ゲシタルト学派の同調者らぷ活躍した昭和前半,最後に,太平洋戦争敗戦後から今日までとすることが許されよう。それぞれの時期は,もちろん社会的変化と連関するし,世界の心理学界の大勢とも無関係ではなく,それぞれの時代の西欧の有力ないし新興学派の影響をうけている。(275p.)

 つねに海外に眼を向けていて,貧欲に新知識を輸入することの好きな点では,心理学者も一般日本人の例外ではない. Piagetの紹介など,昭和初期田の波多野[1935]以来かなりある。ただ,高等学校(旧制)の第2外国話が大部分ドイツ語だったこと,およびその業績に見るぺきものが少なかったことにより,フラノスとは比較的疎遠であったし,ロシア語にいたっては,戦後はじめて読める人が現れた程度である。将来, 中国語が必要なときがくるかもしれないが,文化の流れは高きから低きへと進むのぷ普通である。価値の高い情報を続続われわれが提供すれぱ,諸外国の人々も日本語の障害をぜひとも克服すべきだと考え始めるにいたるであろう。世界第2位の会員を擁しながら,輸出できる業績はまだ乏しいのが,日本心理学界の現状である。(286〜287p.)

■書評・紹介

■言及



*作成:志知 雄一郎
UP: 20140422 REV:
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