『頭脳支配――おそるべき精神医療の実態』
高杉晋吾 19710615 三一書房,241 p.
■高杉 晋吾 19710615 『頭脳支配――おそるべき精神医療の実態』三一書房,241p. ISBN-10:4380710076 ISBN-13: 978-4380710070 350 [amazon]
■紹介・引用
犯罪者と脳手術
「このように二重、三重の防壁によって守られた脳の防壁を、もし他人が自由自在に扱うことができるなら、私たちの生命のあり方にまで他人が物理的に介入できることになり、そして思想に対してまで物理的に影響を及ぼすことが可能になるだろう。
だから、個人の肉体、特にその中でも肉体の生命活動を司る脳への介入は、人権問題の最も根本にかかわる問題なのである。したがって、それに介入できる自由は誰にもない。
だが、逆にいえば、だからこそ人間を、自分の意思通りに自由自在に操りたいとねがう者、国家権力と権力支配者は、脳支配のあの手この手の研究に全力をあげるのだ。」(高杉[1971:163])
「これはもう、言葉をかえていうならば、廃人ということではないだろうか? 自我意識の破壊、そして行方のしれぬレール(それはどこへつながっているのか?)」の上をノロノロ走り続ける精神生活の廃疾者。人間の自我を破壊させる手術!」(p181)
「病気は治り廃人化、それが治療か
患者が廃人化しながら進められる「治療」とは一体何であろうか。そのような手術が一体人間の全生涯、命そのものの存否を問うような形で許されるのであろう
か。ましてや歴史が葬り去った亡霊の如き手術を、さまざまな名目の下に復活させて患者の生涯そのものを手玉にとるようなことが、現在許されているのだろう
か?
脳の前頭葉切除術(ロボトミー)は、まさにこのような定説の確立した手術であった。これは少なくとも脳外科の歴史の一端を知る人なら疑うことのできない事実である。」(高杉[1971:185])
*作成:松枝亜希子