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『労働組合の経営分析』

角瀬 保雄・君塚 芳郎・中山 金治・山口 孝・敷田 礼二 19710315 労働旬報社,306p.


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■角瀬 保雄・君塚 芳郎・中山 金治・山口 孝・敷田 礼二 19710315 『労働組合の経営分析』,労働旬報社,306p. ASIN: B000J9U8EK 650 [amazon]

■目次

第T部 経営分析はなぜ必要か――たたかう組合づくりの武器
 第一章 労働組合と経営分析
  1 労働組合の経営分析のねらい
  2 資本家の経営分析のねらい
  3 経理分析から独占分析へ

第U部 経営分析の理論と方法――数字コンプレックスからの解放
 第二章 経理のしくみとからくり
  1 経理制度のあらまし
  2 外部報告会計の基礎知識
  3 外部報告書の注意点
  4 内部管理会計の基礎知識
 第三章 収益のゴマカシを見抜く方法――収益の分析
  1 利益とはなにか
  2 利潤と利益の違いとつながり
  3 資本のネライは利益率
 第四章 資本の高蓄積のひみつ――蓄積の分析
  1 「貸方」からみた資本の集中・集積
  2 「借方」からみた資本の増力過程
  3 貸借対照表の着眼点
 第五章 パイの大きさと分け前――生産性の分析
  1 付加価値とはなにか
  2 生産性を正しく理解するには
  3 賃金と生産性の関係
 第六章 分析指標の総まとめ
  1 分析の基本視点
  2 収益の分析方法T(企業の総合的財務指標)
  3 収益の分析方法U(資本収益率の原因分析)
  4 財務状態の分析方法
  5 労働指標の分析方法

第V部 経営分析の応用とたたかい――経営分析実践編
 第七章 独占企業分析のすすめ方
  1 分析の具体的心得
  2 松下電器の経営分析
  3 "松下商法"を解剖する
 第八章 中小企業労働者と経営分析
  1 中小企業の特徴と存立基盤
  2 下請・中小企業の経営管理
  3 中小企業分析のすすめ方
  4 「労働力不足」下の労資問題

■引用

「俗に「中小企業とデキモノは大きくなるとつぶれる」といわれている。だが「つぶれてもつぶれても出てくるのが中小企業」であり、その理由は、他に食って いける場がないからである。そうしてでてきた中小企業が存立しうる条件は何かといわれれば、劣悪な労働条件につきるとせねばならない。賃金格差はその一つ のあらわれであった。」(p.259)

「(…)たとえば、小零細層の開業資本は五〇万円以下が六三%で、うちゼロが一四%もある。資本家的企業の最低線とみられる二〇〇万円を上回るものは全体 の六%弱にすぎない(国民金融公庫の調査による)。つまり、食える賃金をもらえる機会が不足しているために、あぶれた労働者が資本が少なくてすむ部門に殺 到しているという事情がそこにある。
 成り上がった中小資本も、上からの収奪と下からの過当競争とにはさまれて、安定した地位にいることはむずかしい。六〇年代後半の中小企業の倒産現象は、 そのことを明瞭に示しているといえよう。」(p.260-261)

「しかし、倒産にみられる中小企業の危機は、六〇年の自民党政府による「新安保体制」とその経済的側面である「高度成長政策」とともにはじまり、六三年以 降の中小企業「近代化」政策によって拍車がかけられてきた事実は誰の目にも明らかであろう。六三年の選挙前に自民党は「これからの政権は、大企業中心の第 一ラウンドから、農業・中小企業の近代化を重点とする第二ラウンド政策に移行する」と言明した。
 その具体的なあらわれが、「中小企業基本法」と「近代化促進法」であり、そのねらいは、すでに欺まんがあばかれているように「中堅企業育成」と「生産性 と所得の格差是正」による「二重構造」の解消ということである。独占の利用しやすい中堅企業を育成し、品質向上とコストダウンにつとめさせ、反面、足手ま といになってきた小零細企業を整理・統合することが「二重構造」=独占との技術的断層を解決しようとする政策なのである。それとともに若年労働力不足とい われる事態に対応して、低賃金基盤を維持するために産業予備軍を大量につくりだすねらいもあった。」(p.262)

「中小企業の労働力不足は、正確にいうと若年労働力の不足のことであり、低賃金労働力の補充に困っているということである。若年層にくらべれば相対的に高 賃金の中高年層はまだ豊富に存在するが、彼らに依存すると、年齢構成が高くなり、低賃金総額が上昇せざるをえないという悩みが中小企業にとって現実のもの となっている。
 「中小企業白書」によって規模別労働力不足の原因をみると(第8−2図)、上層にいくほど「生産拡大」によるものが多く、逆に、下層になるほど「中途退 職」による補充難が原因となっている。驚くべき急テンポの「生産力拡大」による労働力需要が、限定された若年労働力の供給を上回るにいたり、ひいては条件 の悪い下層中小企業からの労働力の移動率を高めているということである。その根本原因は独占中心の「高度成長」から、つまり六〇年代になってからきびしく なってきた若年労働力の上層集中である。たとえば、五一〜五七年には新規労働力の七九%が中小企業に吸収されていたものが、五九〜六二年には逆に七〇%が 五〇〇人規模以上の大企業に吸収されるようになった。一九六九年三月末では製造業の一〇〇〇万人労働者のうち、資本金一〇億円以上の大企業に二七〇万人も 集まり、その第一次下請けを加えるとさらに集中度が高くなるであろう(「法人企業統計年報」)。生産技術上の変化、とくに、未熟練工でまにあう流れ生産方 式の採用などが大企業で一般化したため、低賃金ですむ若年労働力が巨大企業にさらわれてしまったのである。」(p.302-303)


*作成:橋口昌治 
UP:20080108 REV:20080124
日本の労働(組 合)運動 ◇ 

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