『現代医学 医療革命への指針』
高橋 晄正 19700331 筑摩書房,299p.
■高橋 晄正 19700331 『現代医学 医療革命への指針』,筑摩書房,299p. ASIN:B000JA0MNQ \450 [amazon] ※ ms
■内容
頻発する医療事故、薬禍、医学部紛争――ゆがめられてきた医療の矛盾を根底的に問いつめ、情報科学という新しい武器を導入して医学の科学性を確立した上で、医療の中に人間性を追及する。
■目次
はじめに
I 医の原点――それを奪うものたち
生命の誕生
祈りから科学へ
医療技術の確立
わが国の医学思想
社会学における人間性の復活
医の原点の微細構造
医の原点を奪うもの
II 医学の座標その認識と実践の原理
診断の客観化への試み
治療の科学性への疑問
基礎医学の再評価
社会的病因への闘争
医学の階層的認識論理
医の本質について
III 診断の科学――不確実性との闘い
ベルナールの予見
病状のとらえ方
病状のバラツキ(一)――本質的な部分
病状のバラツキ(二)――個体差による部分
診察の検出力・鑑別力
検査データの読み方の自動化
診断の論理のしくみ――演繹と帰納、決定的と確立的
病像ベクトルの吟味(一)――低質情報の排除
病像ベクトルの吟味(二)――重複情報の排除
病像ベクトルの吟味(三)――記載の分断性
病像ベクトルの吟味(四)――パターン認識
診断の論理の数学モデル(一)――幾何学的接近
診断の論理の数学モデル(二)――代数的接近
計量診断はどこまで行っているか
診断の不確かさを補うもの(一)――誤診論
診断の不確かさを補うもの(二)――統計的決定理論と逐次修正
計量診断学の極限において
診断における人間性――病める魂との対話
IV 治療の科学――“傾斜のある場”において
看護の意義――治療の基盤として
治療効果の評価における問題点
直観を絶する治療効果の評価
治療効果の科学的評価
治療の有害な側面
動物実験の意義と限界
治療研究の姿勢をゆがめるもの
治療研究の倫理性
治療の技術論
(1)決定論と逐次過程論――情報の不足を補うために
(2)治療技術の類型
(3)漢方の認識と実践
わが国の治療体系のゆがみ
(4)保健薬の実態
医薬品の評価と流通のしくみ
薬を処方することにまつわる犯罪性
国民的課題としての医療
V 教育と研究――大学闘争で問われたもの
薬学生の苦悩――薬学不在の教育産業のもとに
医学教育の矛盾――硬直化した講座制のもとで
医師の卒後教育――無給労働のもとに
医学生たちの叛乱――東大闘争
看学生の疑問――資本主義医療の犠牲者として
医療チームの人びと
医学教育への提案
(1)基礎医学
(2)症候論と診断学
(3)看護学・治療学とリハビリテーション
(4)生活の科学と社会医学
医学研究のあり方??研究論
(1)武谷弁証法
(2)R・A・フィッシャーの統計的認識
(3)医学研究の倫理性
(4)学位論文と産学協同
大学闘争において問われたもの
VI 社会と医療――資本の論理の害毒のもとに
物質循環の相のなかで――自然の自浄作用の幻想性
ひろがる環境の汚染
人間は何によって生きるべきか――食品の汚染
崩れゆく自然と社会――工業化の涯に
医を担うしくみ――営利性のもとに
(1)生命と生産の関係の位置づけ<生産優先政策の誤り>
(2)医療の商品性の検討<営利医療制度の誤り>
(3)基本的人権としての医療保障<自由開業制度の誤り>
(4)診療基準の確立のしかた<日常経験を直感的に評価してきたことの誤り>
(5)保険技術上の問題点<思想的基盤の不明確さ>
(6)国民の健康・医療観<薬・注射に対する物神崇拝の誤り>
社会化運動の出発点
VII わが国の医療の課題――変革の対象として
科学における思想性の遅れ
日本人の没哲学的な民族性
科学と国民を無視した権力機構
医学部教授会と大学当局の欺瞞性
医療資本主義の思想
大学闘争へのある評論(一)
大学闘争へのある評論(二)
医療革新への道――科学性を起点として
参考図書
索引
*作成:角田 あさな