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『社会精神医学』

懸田 克躬・加藤 正明 編 19700205 医学書院,265+3p.


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■懸田 克躬・加藤 正明 編 19700205 『社会精神医学』,医学書院,265+3p. ASIN: B000J9P7KU \3500 [amazon] ※ m

■内容

■目次
T.社会精神医学  懸田克躬 p.1
  A.社会精神医学の概念 p.1
  B.社会精神医学の諸領域 p.2
    1.社会病理的現象に対する社会精神医学的アプローチ p.2
    2.精神障害に対する社会精神医学的アプローチ p.2
    3.産業精神医学としての社会精神医学 p.3
    4.臨床精神医学としての社会精神医学 p.4
    5.コミュニティ精神医学としての社会精神医学 p.5
    6.社会科学・人文科学の補助科学としての精神医学 p.6

U.治療的社会における人間関係  加藤正明 p.9
  A.人間関係論と医療における人間関係 p.9
    1.帰属意識 p.9
    2.カウンセリングの必要性 p.10
  B.治療的社会 therapeutic community の概念 p.13
  C.欧米における治療的社会 p.16
    1.管理療法 p.16
    2.アメリカにおける治療的社会 p.17
  D.日本における治療的社会 p.26
  E.職員相互間の人間関係・対人関係 p.35
  F.職員・患者間の治療関係 p.38
    1.個人精神療法と集団精神療法 p.38
    2.個人への結びつきと施設への結びつき p.39
    3.入院における精神療法の特徴 p.39
    4.家族療法との関連 p.40
    5.治療集団の構造 p.40
    6.看護者・患者の情緒的関係 p.40
  G.患者相互間の対人関係 p.41
  H.生活療法と精神療法の限界 p.44

V.精神医学における家族の問題  高臣武史 p.50
  A.家族研究の社会的ならびに学問的背景
    ――なぜ精神医学において家族研究が行われるようになったか―― p.51
  B.家族研究の方法論 p.51
    1.Engels の家族論 p.55
    2.構造=機能的接近法 p.57
    3.制度を基準とする接近法 p.60
    4.象徴的相互作用論に基づく接近法 p.62
    5.状況を重視する接近法 p.66
    6.社会=心理学的接近法 p.68
    7.発達的見地からの接近法 p.70
  C.原因としての家族問題 p.75
    1.精神分裂病患者のパーソナリティ p.77
    2.パーソナリティ形成と家族 p.79
    3.原因としての家族 p.94
  D.診断,治療からみた家族問題 p.97
    1.家族診断と家族治療 p.97
    2.患者の治療に対する家族の態度 p.99
    3.病院職員と家族の関係 p.102
  E.家族研究の将来 p.103

W.職域における精神障害の問題  春原千秋 p.111
  A.わが国における産業精神衛生活動
    ――精神障害の管理について―― p.112
  B.職場の不適応者,精神障害者 p.113
  C.職場における精神障害者の発見 p.117
    1.採用時の精神医学的配慮 p.117
    2.職場における早期発見 p.120
    3.受診と治療 p.122
  D.精神障害者の復職 p.125
  E.職場における精神障害者のアフター・ケア p.129
    1.精神分裂病 p.129
    2.躁うつ病 p.133
    3.てんかん p.134
    4.アルコール嗜癖・中毒 p.136
    5.神経症 p.137
    6.精神病質 p.139
    7.職場におけるアフター・ケアの問題点 p.140
    8.企業体における精神障害者のアフター・ケア促進のための対策 p.140

X.コミュニティ精神医学  寺嶋正吾 p.147
  A.コミュニティ,コミュニティ精神医学の概念 p.147
  B.コミュニティ精神医学の定義とその領域 p.141
  C.コミュニティ精神医学の歴史的背景 p.155
  D.コミュニティ精神医学の基礎理論 p.164
  E.コミュニティ精神医学のの与えた衝撃 p.165
  F.コミュニティ精神衛生対策の効果の評価 p.171
  G.社会精神医学との関係 p.175
  H.予防精神医学との関係 p.179
  I.わが国の地域精神医学の根本理念と現実 p.183
    1.精神病院 p.183
    2.病害対策 p.188
    3.予防概念 p.193

Y.文化および疾病論  荻野恒一 p.201
  A.若干の比較文化精神医学の課題 p.202
    1.未開民族における特殊な精神病 p.202
    2.cargo cult movement p.204
    3.シャーマン文化と精神病 p.207
    4.現代文化と精神病 p.208
  B.愛知県下,日間賀島および篠島における比較精神医学的調査 p.221
    1.日間賀島と篠島の概要 p.211
    2.比較文化人類学的調査結果 p.216
    3.臨床精神医学的調査結果 p.218
  C.日本文化と日本人の精神病理学的特性 p.222
    1.現象学的比較精神医学の試み p.222
    2.日本語の現象学 p.224
    3.甘え理論をめぐって p.226
    4.展望 p.229

Z.体制,社会システムおよび共同体  安食正夫 p.232
  A.体制と治療との結びつき p.232
  B.マルクス主義の体制概念とロマン的共同体 p.235
  C.パーソンズ理論とそのフロイト批判 p.238
  D.社会システムと治療体系 p.242
  E.精神健康のための二つの情緒共同体 p.247
  F.体制における情緒共同体 p.250
  G.医師・患者関係と体制との関連 p.256

索引 p.261

■引用
「たとえば、精神医学者は精神分裂病の発病に関して、その要因を追求し、発病の契機をもとめ、その状態増を診断し治療するが、社会学者の彼〔H.W.Dumham〕がこれをとりあげるときは、精神障害の発生に対して社会的要因たとえば社会的階層,貧富,人種の差異が影響をあたえはしないかが問題となる。彼が,大都市をえらびそれぞれ異なる社会階層からなる住宅地区について発病率incidenceをしらべ,精神分裂病については有意の差があり,躁うつ病の発病にはそれがみられないということをみいだした事実は彼のこの主張の有効性を裏づけるものといえよう。」(懸田 1970:1 〔 〕内は引用者補足)

「たとえばBinswangerが紹介した有名な一症例(若い女性)は、そのしやつくり〔まま〕,げつぶ〔まま〕,嘔吐の苦痛のためにBinswangerの精神療法を受けることになったのであるが,この治療過程において,上記の症状は,「母親の禁止の命令を,この女子患者が,のむことができず,かえつて吐きださざるを得なかったこと」の現れであるとことが判明したのである。すなわちBinswangerによれば,「のむ」と「吐きだす」の身体的営みのうちに含意されている現存在の実存的意味方向は,一般には自分には異質のそとのもの,すなわち具体的には他人の差し出す飲食物,さらには他人の感情や思想などを,自己のうちに受容し,耐え忍び,摂りいれていく方向,およびこれらを突きはなし,押しのけ,拒絶し,「嘔吐」する方向である。しかもこの同化と嘔吐の現象は,日常のさまざまなできごとのなかでも,日常言語ないし俗語Volksspracheをもつて語られているのである。」(荻野 1970:224 〔 〕内は引用者補足)

■書評・紹介

■言及



*作成:野口 陽平 
UP:20081211 REV:20090816
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