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『漢方の認識』

高橋 晄正 19691020 日本放送出版協会,304p. 


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高橋 晄正  19691020 『漢方の認識』,日本放送出版協会,304p. ASIN:B000JA0UOC \794 [amazon] ※ d07

■内容

「漢方医学を正しく認識し、漢方医療を正しく実践するためにいまなされなければならないのは、その実地診療への普及ではなく、科学の方法論に立脚した実証的研究である。そのためには、営利を考えないでやっていかれる高度に科学的な研究病院が必要であり、そこにこそ、そうした方向に協力的なわが国の漢方臨床家のすべての知識と技術が結集されるべきであろう。」(p.304)
漢方の科学性に現代的な解釈が求められている中で、近代医学と漢方医学の仲介を試みた書。

■目次

 はじめに

第一章 中国医学の思想とその発展
 一・一 古代中国の社会と風土
    黄河文化圏の人びと
    江淮文化圏と江南文化圏の人びと
    古代中国文化の特質

 一・二 中国医学の起源
    針灸医学の成立――黄河文化圏において
    湯液(漢方)医学の成立――江南文化圏において
    第三の医学としての本草学――江淮文化圏において

 一・三 陰陽論と五行論
    陰陽論の哲学
    五行論の哲学

 一・四 中国医学のその後の発展
    興亡二千年のなかにおける中国医学の変遷
    孫文・毛沢東の治下における中国医学の激動

 一・五 わが国における中国医学の発展
    中国医学の渡来とその定着
    平安朝の医療事情
    江戸時代における変貌――多様化
    幕末から明治へ――没落の時期

 一・六 古典をどう受けとめるか
    歴史の流れのなかでの東西医学
    中国医学の科学的解明への志向
    史的唯物観からの弁護の試み
    近代化科学の方法論の立場からの批判

第二章 中国医学の診断体系
 二・一 漢方(湯液)医学の診断体系
    その構成
    症候各論
    『傷寒論』の症候論
    『金匱要略』の一般症候群

 二・二 針灸医学の診断理論
    その構成
    一般症候による症候群

 二・三 二つの中国医学体系の特色

 二・四 東洋医学での病因についての考え方

 二・五 ボンハン学説

 二・六 ハリ麻酔

第三章 診断情報の客観化
 三・一 感覚的検査の客観化
    望診・聞診・問診の客観化
    経穴の物理特性
    脈診・腹診の客観化
    経絡の実在性の証明

 三・ニ 新しい診断法の提唱のための条件
    ――皮電点と良導絡の有用性について――
    皮電点・良導点による病気の診断の可能性
    良導絡による病気の診断の可能性

 三・三 診断情報の客観化の限界

第四章 診断論理の客観化
 四・一 診断論理の解析
    診断の基礎情報の整理
    診断カテゴリーの実証法
    病証診断の尤もらしさの定量化
    個体差の評価
    予後診断の問題

 四・二 中国医学における診断論理の研究
    病証の頻度とその合併
    診断の一致性と再現性

第五章 中国学の治療体系
 五・一 湯液医学の治療
    本草学の立場
    漢方処方の構成
    漢方の臨床的研究の文献
    漢方薬の化学成分の分析

 五・二 針灸医学の治療学
    治療学のための病態生理
    針灸における治療設計の原理
    ハリ麻酔の評価
    針灸治療の臨床的研究の批判
    針灸治療の基礎的研究の批判

第六章 治療研究の方法論
 六・一 科学的治効研究の方法論
    近代科学とその認識の論理の発展
    臨床的治効試験の方法論
    自然回復のしくみ
    臨床治療学と基礎研究
    科学的治効研究の倫理性

 六・二 漢方医学の治効検定への提案
    針灸治療の検定への提言
    漢方の臨床試験への提言
    漢方医学研究所への提言

第七章 漢方の認識
 七・一 古代中国人における自然認識
    古代中国の作り上げた科学の特性
    古代中国人の世界観
    古代中国になぜ科学が発達しなかったか

 七・二 明治初年における漢方医学と西洋医学
    ヨーロッパにおける現代医学の展開
    明治のはじめの西洋医学の状態
    外科学の進歩
    公衆衛生学の進歩
    診断学の水準
    治療技術上の差があったか
    基礎医学の評価

 七・三 現代における西洋医学の臨床
    病因論
    診断技術の体系
    治療技術の体系

 七・四 漢方の認識の特質
    その現象論の特質<その認識の形態>
    利用される情報と治療手段<その効用と限界>
    自己発展の可能性<現象論の限界>
    むすび

 あとがき

 付録1・現代中国とその医学の現状
 付録2・年表
     参考資料
 付録3・五行論と十二経絡論の科学的解析

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:角田 あさな 
UP:20090521 REV:
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