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J.R.サール『言語行為――言語哲学への試論』
『言語行為――言語哲学への試論』
Searle, John R. 1969 Speech Acts: An Essay in the Philosophy of Language , Cambridge University Press
=19860420 坂本 百大・土屋 俊訳,『言語行為――言語哲学への試論』, 勁草書房, ISBN-10: 4326198753
■Searle, John R. Speech Acts: An Essay in the Philosophy of Language , Cambridge University Press, 1969
=19860420 坂本 百大・土屋 俊訳,『言語行為――言語哲学への試論』, 勁草書房, 397p. 4620
ISBN-10: 4326198753 ISBN-13: 978-4326198757 [amazon]
■勁草書房のHP
http://www.populus.est.co.jp/asp/booksearch/detail.asp?m_code=1337&s_key=1254383&scode=1836
■目次
序
凡例
T 言語行為論
第一章 方法と展望
1 言語哲学とは
2 言語特性記述
3 言語特性記述の「検証《
4 なぜ言語行為を研究するのか
5 表現可能性の原理
第二章 表現・意味・言語行為
1 表現と言語行為の種類
2 述定
3 言語行為としての指示
4 命題
5 規則
6 意味
7 生の事実と制度的事実との区別
第三章 発話内行為の構造
1 いかにして約束するか――複雑な方法――
2 不誠実な約束
3 発話内の力を表示する方策の使用に関する規則
4 分析に拡張
第四章 言語行為としての指示
1 表現の使用と表現への言及
2 指示の公理
3 確定指示表現の種類
4 指示の必要条件
5 同定の原理
6 同定の原理に対する若干の修正
7 同定の原理の若干の帰結
8 指示の規則
第五章 述定
1 概念と対象に関するフレーゲの見解
2 唯名論と普遍者の存在
3 存在論的関与
4 命題の項理論
5 述語と普遍者
6 述定は言語行為か
7 述定の規則
U応用篇
第六章 現代哲学における三つの誤謬
1 自然主義的誤謬の誤謬
2 言語行為の誤謬
3 主張行為の誤謬
4 誤謬の起源――意味は使用か――
5 説明の代案
第七章 指示をめぐる諸問題
1 記述理論
2 固有名
第八章 「事実《から「当為《を導く議論について
1 いかにして導くか
2 問題の本質はどこにあるか
3 反駁と回答
訳者あとがき
索引
■引用
統制的規則と構成的規則
私はここで、二種類の規則の区別を設け、そして、その一方に統制的規則(regulative rule)という吊称を与え、他方に構成的規則(constitutive rule)という吊称を与えたい。私自身、この区別が存在することについては疑いをもたない。しかし、同時にその明確化がけっして容易なものではないことも理解している。まず、第一歩として次のように述べることができるであろう。すなわち、統制的規則は、エティケットに関する規則がその規則とは独立に成立している個人間の関係を統制するという例にみられるように、既存の行動形態をそれに先行して、またそれとは独立にそれを統制する。これに対して、構成的規則は、たんに統制するだけではなく、新たな行動形態を創造(create)したり、定義したりするものである。<中略>要するに、統制的規則が既存の活動、すなわち、その規則と論理的に独立に成立している活動を統制するにすぎないのに対して、構成的規則は、成立の如何そのものがその規則に論理的に依存する活動を構成(し、統制)するのである。(p.58)
制度的事実
すなわち、制度的事実とは、たしかに事実ではあるが、生まの事実とは異なり、その存在が人間的制度の存在を前提とするというものである。(pp.89-90)
これらの「制度《は、構成的規則の体系である。あらゆる制度的事実の根底には、「Cという脈絡においてXをYとみなす《という形式をもつ規則(の体系)が存在している。ところで、われわれが採用する仮設は、ある一つの言語を使用することは、構成的規則に従って行為を遂行することであるというものである。これゆえにわれわれは、さらに、ある一人の人がある種の言語行為、たとえば、約束を遂行したという事実はまさに制度的事実であるという仮設をもまた採用することになる。したがって、そのような事実を分析しようと試みるとき、われわれは、それを生まの事実に関して行っているのではない。(p.90)
*作成者:篠木 涼