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『呪われた医師たち――ナチ強制収容所における生体実験』

Bernadac, Christian 1967 Les Medicins: Les experiences medaicals humaines dans les camps de concentrations, Editions France-Empire
=1968 野口 雄司 訳,早川書房,262p.→19790815 ハヤカワ文庫,265p.


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■Bernadac, Christian 1967 Les Medicins: Les experiences medaicals humaines dans les camps de concentrations, Editions France-Empire=1968 野口 雄司 訳,『呪われた医師たち――ナチ強制収容所における生体実験』,早川書房,262p.,ASIN: B000JA5B96 [amazon] ※→19790815 ハヤカワ文庫,265p. ASIN: B000J8F8NW [amazon] ※ b e04 eg eg-ger eg-naz
 *クリスチャン・ベルナダク

■引用(数は文庫版の頁数)

◆19 人間の抜けがら pp.234-
 「ヒトラーは、コンティとランメルスとを座らせた。
 […]」([234])
 ワグナー医師/カール・ブラントの供述/作戦(Т4という語はない)/ガレン神父
 「ヒトラーは、ドイツ全土にわたって安楽死を中止するように命じた。二七万五〇〇〇人がすでに《謀殺されて》いた*。[…]
 *国際軍事裁判の判決。子供の安楽死事件が起訴された(一六九一六ページ)。」([243])

◆付録W フランス精神・政治学会による安楽死否認
 「一九四九年一〇月一四日、パリにおいて、学会は以下のことを決議した。
 (1)異常、畸形、知能欠陥、あるいは不治と見なされた患者に対して、死をもたらす意図を持つどのような方法を適用することも、厳重にしりぞける。[…]
 (2)安楽死、および一般的に言って、瀕死の病人に同情して《安楽で穏やかな》死を結果的にもたらすようなあらゆる方法は、等しく避けられねばならないと考える。[…]」([257])
 cf.安楽死・尊厳死:フランス

◆参考文献 (文庫版では文献表は省略されている)
 「この本を書くために、私は、フランスの旧抑留者および旧抵抗運動者のあらゆる協会と接触を持った。このパイプを通じて[…]約三〇の証言を収集することができた。」([259])
 「このテーマに関する三冊の基本的図書――フランソワ・ベイル博士『アスクレピオスの杖に反逆するカギ十字』、ミッチャーリッヒ『汚辱の医師たち』、オイゲン・コーゴン『創られた地獄』(これらの本はすべて、解放直後に出版された)――以外に、問題全体を最近の裁判や生存者のインタヴューに基づいて扱った書物はない。私は、フランソワ・ベイル博士の著書に負うところ大きい。ニュルンベルクにおける医師裁判についての彼の労作に匹敵するようなものは、永遠に出ないだろう」([259])

◆訳書あとがき 1968年の(数は文庫版の頁数)  「ナチスのユダヤ人迫害の記録に関して、ここに一書う加えることは、今では、屋上屋を重ねることになるかもしれない。[…]しかし、著者も指摘しているように、戦後二十数年を経た今日、若い世代の大半がこのことについて知らないとあれば、この書の出版の意義は、決して失われはしないであろう。[…]
 さらに、本書は、人体医学実験にのみ問題を限定したということで、たんに、比較的知られていなかった分野を浮き彫りにしたというメリットを持つだけでなく、より一般的に、医者の倫理に関して、問題提起の役割を果たしている。とくに、医学がいちじるしく進歩し、心臓移植をは<0263<じめとする身体各部の移植が夢でなくなった現在、医者の倫理の問題は、医学関係者のみならず、ひろく一般人にも、等閑に付せない問題となりつつある。」([263-264])
 「本書の著者クリスチャン・ベルナダクはO・R・Т・F(フランス国営放送)のテレビ放送記者で、国際的大事件の際には必ず現場に顔を出す世界的ジャーナリストである。」

■言及

◆立岩 真也 2013/05/20 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版,973p. ISBN-10: 4865000062 ISBN-13: 978-4865000061 1800+ [amazon][kinokuniya] ※

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房 文献表

◆立岩真也・市野川容孝 2000 「障害者運動に賭けられたもの」(『弱くある自由へ』所収)

 「それでね、市野川さんはドイツのことと、日本の優生保護法下の強制断種のこと、両方ご存知なんだけども、七〇年ころ、そう詳しくではないんだけれども、ナチはどうも障害者を殺した、たくさん、何万人も殺したっていう話が、あることはあった。大熊一夫が「ルポ・精神病棟」っていう連載を『朝日新聞』で一九七〇年からやってるんですね。これは七三年に単行本で出ていま文庫版になってますけど(大熊[1973→1981])、その終りのところでナチが精神障害者を抹殺したっていう話が出てくる。僕は見たことがないんだけど、クリスチャン・ベルナダクっていう人の『呪われた医師たち』って本が早川書房から出てたらしくて、大熊さんはそれを引いています。だから問題になったとすれば、まずはその頃なのかなと。それで今またというか九〇年代になって、やっぱりナチは障害者を安楽死ということで抹殺したんだという本が――米本昌平さんがずっとやってきたことがあった上だけど――何冊か出てきた。まずひとつはナチだったらナチが何をやったかっていうことの捉え直しみたいなものが、どういうことでいつごろ出てきたのかっていうのを教えてもらいたいのですが。
 市野川 まずドイツの方から話しますと、…」


UP:20071219 REV:
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