HOME> BOOK

『新しい医学への道――現代医学の矛盾』

高橋晄正 19640831 紀伊国屋書店,291p. 250


このHP経由で購入すると寄付されます

高橋 晄正 19640831 『新しい医学への道――現代医学の矛盾』, 紀伊国屋書店,291p.  ASIN: B000JAFIM6 250 [amazon]→19940125 『新しい医学への道――現代医学の矛盾』,紀伊国屋書店,精選復刻紀伊国屋新書,291p. ISBN:4-314-00653-6 1835 [amazon][kinokuniya] ※ ms.d07.

■内容

診断といわれる認識と治療といわれる行動はどの様な特質を持つものであるのか。現代医学は一つの曲り角にたっている。方法論不在の医学研究や教育,さらには医療制度。 そしてそれが営利主義と結びついたときの新薬の濫造,薬漬け医療。医師であり,医療ジャーナリストである著者は,みずみずしい情熱をもってこれらの問題に取り組み,今後の医学の方向――コンピュータ診断,医学教育,薬事行政への具体的提案を行う。

■目次

第1章 訣別の言葉
第2章 新しい芽ばえ
第3章 診察という名の官能検査
第4章 検査する機械
第5章 診断する機械
第6章 治療学の危機
第7章 科学としての治療学
第8章 新しい医学への道

■引用

 「ところで「正当な代償」とは何でしょうか。私は「飛躍」の結果を「論理的」に解析して、有効性と危険性の条件と限界とを、できるだけ早い時期に「実用の場」において「化学的」に明らかにすることである、と考えます。
 薬の有効性と安全性とは、どのように違うかを考えてみることも必要でしょう。有効性の方は、「病気の経過に、何らかのよい影響を与える」という目印がはっきりしていますから、その効果がはっきりしたものなら、少数例でも確認できますが、安全性の保証は、「いかなる生体作用にも、障害がない」という形での、広範囲の生体作用についての保証を目標としなければならないことのほかに、危険は、一般的にはまれな態度で、ひそやかにしか起こらないものであるので、多数例でなければ保証しがたいという違いがあります。
 統計学の術語でいえば、有効性を見出す方では、無効なものを有効と見誤る危険率アルファの大きさが問題で、安全性を見出す方では、障害性のあるものを見逃す危険率ベータの大きさが問題になるのです。それなのに、これまでの試験報告では、せいぜいゆきすぎの危険アルファの値があげてあるだけで、見直しの危険ベータの大きさが与えられてない点に、重大な欠陥があります。アルファの値はもちろん、ベータの値も出せるような実験計画が、前もって推計学者の協力の下に設計されていれば、見逃しの危険は明確にできるのです。
 私は、考えるのですが、新薬については、まず第一に、その有効性と安全性を対象として、製薬会社のヒモのつかない自由な立場で、合理的な判定のできるような設計の下で研究が行われるべきでしょう。そのようにして得られた成績を基に、慎重に、「科学的に」審議されたあとで、政府の責任において発売許可になったとします。
 しかし、それだけで安心しきっていていいでしょうか。使用責任者の団体である医師会が中心となって、有効性と安全性の調査を何回か反復して行なうべきであると考えます。そして、私たち臨床医が、本当にそれについての「社会的責任」を負うことができるかどうかを、「自主的に」調査し、医師会員に報告することが、医師会の重要な機能でなければならないと考えるのです。」(pp. 213-214)


UP:20080312 REV: 新田千春松枝亜希子
高橋 晄正  ◇薬/薬害  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)