HOME > BOOK >

『非所有の所有――性と階級覚え書』

森崎 和江 19630330 現代思潮社,277p.

last update:20111228
このHP経由で購入すると寄付されます

森崎 和江 19630330 『非所有の所有――性と階級覚え書』,現代思潮社,277p. ASIN: B000JAIZR6 [amazon]→19700625 新装版,278p. ASIN: B000J9953U 750 [amazon]

■内容

【新装版帯文】(“……”は略ではなくママ)
 ……のろいあれ、性を失った女たち。私は私の欲望を組織したい。……
 ……裂けている。はらわたを欲しがっている女たちがとうとうと流れ落ちていく音がする。プロレタリアートへの欲望に、切りこんでくる杭ひとつない裂け目が日本列島を縦断する。バカヤロー。別れる亭主も瞬間の男もそれらの髪の毛をひきずったまま、落ちていくしかない裂け目が虹のようにそこにある。……

■目次(新装版)

T
現代を織る女たち ……19
人買組織と山の女房 ……24
隣家の美学 ……34
没落的開放の行方 ……42
大正闘争の今日的課題 ……64
毒蛾的可能性へ――大正炭鉱の女たち ……72
ボタ山が崩れてくる――無職主義に蝕ばまれる筑豊の表情 ……75
破壊的共有の道――サークル村の一年と現在地点 ……89
非所有の所有――性と階級覚え書 ……102
スケッチ・谷川雁 ……134
U
渦巻く ……145
とびおくれた虫 ……212
新装版へのあとがき ……278

■引用(新装版より)

「意識世界からいえば、女たちの疎外は、私有意識を所有した者らの連合によるところの、共有意識の疎外である。それは私有を所有しない。非所有を所有する。」(p.117)

「 私は、「私」ということばを使用する限りにおいて女たちの代弁者であることを意識する。女たちはみずからの意識を顕在化するためにたたかう。その内部世界に対応する外界は顕在的に存在しない。顕在する世界の価値基準は、経済学的所有の概念で機械的な一線がひかれている。したがって一切の生産性もまたその線から上へ浮かびでたもののみ計量される。所有の概念が割れた西瓜みたいに完結していないのだ。私は主張する「非所有の所有」もまた所有の一形態であり権力意志である。それは私有に決定的に対応する。共有の概念には、私有と非私有とを複合するが、その両端に純粋私有と純粋非私有とを想定することができる。こうして私有を非所有する極点の意識をパチンコ玉みたいにはじいて、はじめて女たちは自己の内界と外界とががらがらとはじきあう場をつくることができる。」(p.117)
「 所有の観念を創造しないかぎり、既成の所有観念の外側で、現実に、その場で、あふれでているエネルギーは社会的諸現象の推移とも内部の隔絶状況の止揚とも無縁で終る。私たちは非所有の所有という状況をそれに内在する生産性でもって評価しなければならない。女たちのその領域に於ける意識されない生産性は、いま膨大に流出しつづけている。」(p.118)

「女たちはみずからを顕在化する方法論の創造以外に、非所有の社会的再生産は不可能であることを知っている。」(p.131)

「私はこのような女たちが相互に社会的条件を創造しあう最小限度の外的関係を持たず、また相互に内的要素を交換する契機をも持たない状況は悲嘆にあたいするとは思わない。だからこそモノローグの展示会を固執する必要があったわけだが、ただこのような欠落の真上にどっかりと坐らなければならないと考える。そのちょうど水面に直立するような地点の認識を少しでもはずれれば、女の革命化は不可能だ。そこへ立ちつくすことの強要なしに性的疎外の止揚ははじまらない。欠落の逆利用から歩くのだ。……」(p.132)

■書評・紹介・言及

◆立岩 真也 2013 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版
立岩 真也村上 潔 20111205 『家族性分業論前哨』,生活書院,360p. ISBN-10: 4903690865 ISBN-13: 978-4903690865 2200+110 [amazon][kinokuniya] ※ w02,f04
村上 潔 20100320 「「主婦性」は切り捨てられない――女性の労働と生活の桎梏にあえて向き合う」,『生存学』02:83-95(生活書院)


*作成:村上 潔
UP:20091109 REV:20111228, 20130208
森崎 和江  ◇フェミニズム (feminism)/家族/性…  ◇女性の労働・家事労働・性別分業  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)