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『構造人類学』

Levi-Strauss,Claude[クロード・レヴィ=ストロース] 1958  Anthropologie Structurale,Plon
= 19720530 荒川 幾男・生松 敬三・川田 順造・佐々木 明・田島 節夫 訳 『構造人類学』,みすず書房,451+24p.


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Levi-Strauss,Claude[クロード・レヴィ=ストロース] 1958  Anthropologie Structurale,Plon
= 19720530 荒川 幾男・生松 敬三・川田 順造・佐々木 明・田島 節夫 訳 『構造人類学』,みすず書房,451+24p. ISBN10:462201971X ISBN 13:978-4622019718 6930[amazon] w/lc01

■目次

はしがき

第1章 歴史学と民族学

言語と親族
第2章 言語学と人類学における構造分析
第3章 言語と社会
第4章 言語学と人類学
第5章 第3章、第4章への後記

社会組織
第6章 民族学におけるアルカイスムの概念
第7章 中部および東部ブラジルにおける社会構造
第8章 双分組織は実在するか

呪術と宗教
第9章 呪術師とその呪術
第10章 象徴的効果
第11章 神話の構造
第12章 構造と弁証法

芸術
第13章 アジアとアメリカの芸術における図像表現の分割性
第14章 魚のつまった胴体を持つ蛇

方法と教育の諸問題
第15章 民族学における構造の観念
第16章 第15章への追記
第17章 社会科学における人類学の位置、および、人類学の教育が提起する諸問題

人類学と構造分析(訳者あとがきに代えて) 川田 順造
文献
索引

■引用・紹介

「社会的経験、個人の集団に対する、集団の個人に対する不断の相互作用は、けっして演算的に引き出すことはできない。それは観察されねばならぬものである。いいかえれば、あるとき彼がいったように、「歴史を理解するためには、事物がいかにあるかということを知るだけではなく、いかにして事物がかくあるにいたったかということを知らねばならない。」のである。」(「歴史学と社会学」p11 *彼=ボアズ 作成者注)

「もしわれわれが双分組織に社会の発展の普遍的な一段階を見ようとするのでも、また唯一の場所、唯一のときに発明された制度を見ようとするのでもないならば、同時にまた、あらゆる双分的制度が共通にもっているものをあまりに多く知っているから、それを比較を許さぬ一回的な歴史の不規則適所さんとみなすことを感受するわけにはゆかないというのならば、残された道は双分的な社会のそれぞれを分析して、諸規則、諸習慣の混沌の背後に一つの図式――様々な場所的・時代的文脈の中に現存し働いている図式――を見出そうと努めるほかはない。この図式は制度の個別的なモデルにも、多様な形態に共通の諸特性の恣意的な寄せ集めにも合致することはないであろう。それは、明らかに双分組織をもっている人々にさえ無意識的な、ある相関と対立の関係に帰着する。しかもこの関係は、無意識的なものであるゆえに、そうしたした制度を知らない人々にも等しく現前するものでなければならない。」(「歴史学と社会学」p27)

「人間社会において様々なの婚姻の規則を、―人がふつうやるように―、近親相姦の禁止とか、優先こんのさまざまなタイプとかいう、異質的で様々なの名称をもつ範疇に分類すべきでないことを明らかにしえた。これらの規則はいずれも、社会集団内での女性の循環を確保するための手段、すなわち、生物学的な起源を持つ血縁集団の体系を、姻族という社会学的な体系で置き換えるための手段である。」(「言語と社会」p66)

「ミシェル・レリスはその文学的な作品の中で、語彙のこうした無意識の構造化の研究を試みている。この構造化の科学的理論はまだ立てられていない。だが、それを詩的な遊びと見るのは間違いであり、明瞭な意識や合理的思考からは極めて遠いが、言語現象の理解にとっては非常に重要な役割を演じる現象が、ここではいわば望遠鏡によって眺められていると考えるべきなのだ。」(「第3章、第4章への追記」p105)

「このようにマルクス自身が、言語の下に伏在し同時に人間と社会の関係の下に伏在する、シンボルの体系を明らかにすることを提唱しているのだ。「社会的生産関係が物的対称という形態をとることが自明でありふれたことのように思われるのは、ただ日常生活の習慣のせいにすぎない。だが、経済生活、言語生活など、社会生活の数々の形態が関係として捉えられるようになったその瞬間から関係の一般理論としての人類学の道が開け、様々の社会を規定している関係の体系に固有な示唆的要素を手掛かりにして、社会を分析する道が開けるのである。」(「第3章、第4章への追記」p105)

「民族学的研究は特定の社会の固有の条件によってよりは、むしろなんら特殊な運命に見舞われていない社会に対してわれわれが置かれている特殊的条件によって必要とされる、調査方法の総体の中にあるのであるから。この意味において民族学は脱国籍の技術と規定されてもよいであろう。」(「民族学におけるアルカイスムの概念」p133)

「私は、古代シナの芸術と北西海岸のそれとの、またおそらくはアメリカの他の地域のそれとの類似はきわめて明らかであって、この可能性を絶えず念頭に置かざるを得ないと考える。しかし、たとえ伝播に頼る理由があったとしても、この伝播は、細部の伝播ではありえないであろう。それは、様式や美的慣習や社会組織や精神生活が構造的に関連しあった有機的総体の伝播なのである。古代シナの芸術と北西岸のそれとの特に注目すべき類似に触発されて、クリールは次のように書いている。「北西岸の図案形によって用いられた多くの眼は、殷における同様の使い方を想起させる。そして、私に、両者の民が持っているこの眼には、何か呪術的な理由があるのではないかと疑わせた。」おそらくはそうだろう。しかし、呪術的な関連は、錯視のように人間の意識の中にしか存在しない。そして、われわれは、その理由を明らかにしうるような科学的探究を必要としているのである。」 (「アジアとアメリカの芸術における図像表現の分割性」p200)

*作成:近藤 宏 
UP:080627

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