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『日本賃労働史論――明治前期における労働者階級の形成』

隅谷 三喜男 19550725→19740515 東京大学出版会,329p.


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■隅谷 三喜男 19550725→19740515 『日本賃労働史論――明治前期における労働者階級の形成〔第二版〕』,東京大学出版会,329p. ISBN-10: 4130500422 ISBN-13: 978-4130500425 \2520 [amazon][kinokuniya]

■『隅谷三喜男著作集1  日本賃労働史』,岩波書店
 http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/09/X/0925610.html

■目次

序章 賃労働の分析視角
第一章 賃労働の原始蓄積過程
 第一節 農民層の窮乏と流出
 第二節 職人層の崩壊と再編
 第三節 士族層の解体と没落
 第四節 窮民の流動と沈殿
第二章 原始蓄積過程の賃労働
 第一節 賃労働の成立と展開
 第二節 製糸マニュの女工
 第三節 紡績工場の女工
 第四節 熟練職工の登場
 第五節 不熟練労働者の蓄積
第三章 原始蓄積過程の労働運動と労働政策
 第一節 原始蓄積過程に対応する労働運動
 第二節 絶対主義政権の労働政策
あとがき

■引用

「(…)ただ、そのときの私の議論(昭和24年「賃労働関係における封建制」)のたて方も、その後の出稼ぎ型論をめぐる展開も、日本の労働力あるいは賃労働の型に関心を集中しており、歴史的な発展についての理論と実証が欠けているように思われてきた。型の形成と変質をこそ明らかにせねばならないのでないか、と考えるようになったのである。
 そこで賃労働の理論を日本の労働史の分析道具として駆使し、賃労働史の考察を試みるとともに、賃労働の理論のそれなりの有効性を検証してみようとしたのが本書である。」(A)

■書評・紹介

◆松沢哲成 200405 「095 『日本賃労働史論――明治前期における労働者階級の形成』隅谷三喜男」,日本寄せ場学会年報編集委員会編『近代日本の下層社会 寄せ場文献精読306選』,れんが書房新社,pp.149-150
「本書は、近代日本における労働者階級形成の歴史的過程をマルクス主義的観点から分析しようとした、今では古典的な文献である。著わされた時期が早かったことと、当時主流であった日本資本主義における後進性強調という流れに掉さしていたことの2点から、多くの議論、論争を呼んだ書である。」(p.149)

■言及

◆二村 一夫 1975 「研究動向・労働運動史」日本経済学会連合編『経済学の動向』中巻,東洋経済新報社
 http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/nk/keizaigakunodoko.html
「1950年代後半に入ると、研究はようやく活発化しはじめた。研究者の層も厚くなり、57年には労働運動史研究会が発足し、機関誌『労働運動史研究』を通じて研究動向の紹介、新資料の発表、関係者からのききとりなどを積極的に行なった。戦前期を対象とした研究は、ようやく二次資料による通史的な段階から、一次資料にもとづく個別研究へと進みはじめた。渡部徹の全協(日本労働組合全国協議会)研究、隅谷三喜男の明治初期(原蓄期)の賃労働史研究、松尾尊~の友愛会史研究、京大人文科学研究所などによる米騒動研究などがその代表的な成果である〔6〕〜〔9〕。
 また、50年代後半から60年代にかけては、従来の研究方法に対する反省、批判もいくつか生まれ、その後の研究に影響を及ぼした。すなわち、隅谷は「賃労働の理論」を提唱して、労働運動史は「賃労働史の一環として分析さるべきである」と主張し、その後の労資関係史的研究の発展に道をひらいた。また二村一夫は足尾暴動の実証的分析を通じて「出稼型」論を批判し、「日本資本主義の資本蓄積の運動法則と日本労働運動の歴史的変化との内的な相互連関を明らかにする」ことを主張した〔10〕。」


*作成:橋口 昌治 
UP:200909**
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