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『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』

小山 進次郎 19511215 中央社会福祉協議会,942p.


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last update: 20180223


■小山 進次郎 19511215 『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』,中央社会福祉協議会,942p. ASIN: B000JBVCRU 欠品 [amazon][国会図書館]


■初版・増補改訂・復刻版

初版
◆小山進次郎 19501215 『生活保護法の解釈と運用』日本社会事業協会,484p.

改訂増補版
◆小山進次郎 19511215 『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』中央社会福祉協議会,942p.

改訂増補版の復刻版
◆小山進次郎 1975 『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』全国社会福祉協議会,942p.

改訂増補版の復刻版
◆小山進次郎 2004 『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』全国社会福祉協議会,942p.


■目次

改訂増補版の発刊に際して…厚生省大臣官房総務課長 小山進次郎 1
序…厚生省社会局長 木村忠ニ 3
まえがき…厚生省社会局保護課長 小山進次郎 7
凡例 11

第一篇 生活保護制度の生成と発展 1

第一章 日本における公的扶助制度の発展 3

第一節 明治以前における公的救済制度の発展 3

一 大宝律令における公的救済制度 3
二 奈良朝前後における施設保護 4
三 徳川時代における公的救済 5

第二節 恤救規則の制定と実施 6

一 明治維新直後の救済政策 6 二 恤救規則の制定 6 三 救済についての特別法の制定 7 四 救済行政機構の整備 8

第三節 救護法の制定と実施 8

一 統一救護制度要請の気運 8
二 救護法の制定 9
三 救護法の実施 11
四 救護法の特色 11
五 救護制度の分散的傾向 11
六 方面委員制度の整備 12

第四節 生活保護法の制定 12

一 生活困窮者緊急生活援護要綱の実施 12
二 生活保護法(昭和二一年法律第一七号)の制定 14
三 特別法の整備 17

第二章 生活保護法改正の経過 18

第一節 旧生活保護法の実施状況 18

一 被保護人員の数から見た実施状況 18
二 保護費から見た実施状況 23
三 扶助種類別の実施状況 24

第二節 旧生活保護法の展開過程 28

一 普及期 28
二 整備期 32
三 改正準備期 39

第三章 生活保護法の制定と実施 45

第一節 社会保障制度審議会の勧告 45

一 社会保障制度審議会設置法の制定 45
二 社会保障制度審議会の活動 45
三 生活保護制度の改善強化に関する勧告 47

第二節 生活保護法案の作成と国会への提出 50

一 生活保護法案の作成 50
二 法案の国会への提出 54

第三節 国会における生活保護法案の審議 58

一 衆議院における審議 58
二 参議院における審議 64

第四節 生活保護法の実施 69

一 生活保護法及びその付属法令の施行 69
二 社会福祉主事の設置に関する法律(昭和二五年法律第一八二号)の制定による改正 70

第五節 生活保護法の一部改正 71

一 社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)の制定 71
二 社会福祉事業法と生活保護法との関係ーー生活保護法一部改正の理由ーー 73
三 改正法案作成の方針 75
四 改正法案作成上の問題点 76
五 改正法案の国会への提出と国会の審議 79
六 改正法の公布と実施 79

第二篇 生活保護法の解釈と運用 81

第一章 総則 83

第一節 この法律の目的(第一条) 88
第二節 無差別平等(第二条) 104
第三節 最低生活(第三条) 114
第四節 保護の補足性(第四条) 118
第五節 この法律の解釈及び運用(第五条) 153
第六節 用語の定義(第六条) 155

第二章 保護の原則 159

第三章 保護の種類及び範囲 226

第四章 保護の機関及び実施 289

第五章 保護の方法 429

第六章 保護施設 469

第七章 医療機関及び助産機関 519

第八章 被保護者の権利及び義務 620

第九章 不服の申立 653

第一〇章 費用 771

第一一章 雑則 829

附則 877


■引用

「生活保護法による保護と民法上の扶養との関係については、旧法は、これを保護を受ける資格に関連させて規定したが、新法においては、これを避け、単に民法上の扶養が生活保護に優先して行わるべきだという建前を規定するに止めた。
 一般に公的扶助と私法的扶養との関係については、これを関係づける方法に三つの型がある。第一の型は、私法的扶養によってカバーされる領域を公的扶助の関与外に置き、前者の履行を刑罰によって担保しようとするものである。第二の型は、私法的扶養によって扶養を受け得る筈の条件のある者に公的扶助を受ける資格を与えない<0119<ものである。第三の型は、公的扶助に優先して私法的扶養が事実上行われることを期待しつゝも、これを成法上の問題とすることなく、単に事実上扶養が行われたときにこれを被扶助者の収入として取り扱うものである。而して、先進国の制度は、概ねこの配列の順序で段階的に発展してきているが、旧法は第二の類型に、新法は第三の類型に属するものと見ることができるであろう。
 なお、単に民法上の扶養といい、英国や米国の例に見られるように生活保持の義務に限定しなかったのは、我が国情が未だ其処迄個人主義化されていないからである。」[小山 1951:119-120]

「(六) 「保護は・・・・・・を要件として行われる。」
 保護を受けるためには・・・・・・しなければならぬの意。法第二条の規定と相合して保護の受給資格を定めている。」[小山 1951:121]

「(九) 「優先して行われるものとする。」
 優先して行われるべしとする方針を定めている。従つて、他の法律による扶助の行わるべき領域に対する保護の実施の絶対的排除を定めているものではない。」[小山 1951:122]

「四 労働能力のあるものに対する保護について
 外で働くことのできる者でも、働き口がない場合は、当然その困窮の程度に応じ保護を受け得るが、この場合その者をして努めて勤労による収入で生活させるようにするために、必ず最寄りの公共職業安定所に本人を出頭させて、求職の申し込みをさせ、公共職業安定所長から本人の勤労能力に適応する就職口のない旨の証明書の発給を受けさせ、これを提出させてから保護を行うことになつているが、これが手続を単に機械的に履行するという結果にならぬよう留意する必要があろう(註七)」[小山 1951:125]

「七 民法上の扶養義務と本条の関係について
 民法上の扶養義務との関係については、運用上次の点について正しい理解をもつことが必要である(註一一)(註一二)。

(一) 扶養義務者の範囲
 扶養義務者の範囲は、民法第八七七条に定められて居る通り、直系血族及び兄弟姉妹並びに右以外の三親等内の親族で家庭裁判所が特に扶養の義務を負わせた物である。一般に前者を、絶対的扶養義務者又は当然の扶養義務者、後者を相対的扶養義務者といつている。なお、形式上これとは区別して規定されているが、夫婦はここにいう絶対的扶養義務者に属すると考えて差し支えないであろう。

(1) 絶対的扶養義務者
直系血族<0126<
 父母、祖父母、曾祖母、高祖父母、子、孫、曾孫、玄孫等父祖から子孫へ直通する親系に在る者をいう。自然血族であることは必ずしも要求されいないから、養父母、養子等の法定血族であつてもその関係が、「彼によりここに直下する者の親系」であればここにいう直系血族に含まれる。
兄弟姉妹
 兄弟姉妹には二つの考え方があつて、一つは父母の双方を同じくする傍系親という考え方、一つは父母のいづれか一方のみを同じくする傍系親という考え方であるが、民法 九〇〇条第四号に「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分」「父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分」等の表現が用いられているところから考えると民法においては、後者の広い意味において兄弟姉妹という言葉を用いていると考えるのが正しいというべきであろう。今兄弟姉妹に属すると見られるものを挙げると次のようになる。

1. 同父同母(内縁関係でもよい)の子相互の間
2. 養子と養親の実子の間又は養子相互の間
3. 同父異母の子相互の間
  先妻の子と後妻の子の間
  嫡出子とその嫡出子の父により認知された嫡出子でない子の間
4. 異父同母の子相互の間
  氏を同じくし又は異にする先夫の子と後夫の子の間
  同一の母から生まれた父を異にする嫡出でない子相互の間

 以上は、かなずしも兄弟姉妹の全部を網羅したものではないが現実に現れてくるケースはこのいずれかである場合が多い。なお、兄弟姉妹の配偶者は姻族二親等であつて厳格な意義での兄弟姉妹ではないことは申すまでもないところである。

(2) 相対的扶養義務者
 三親等内の親族としては血族では自分のおじ、おば、おい、めい、姻族では配偶者の父母、祖父母、曾<0127<祖父母、子(自分との間の子でない)、孫(同上の子の子)、曾孫(同上の孫の子)、兄弟姉妹、おじ、おば、おい、めい等がある。なお、配偶者と離婚した場合及び配偶者が死亡した場合において民法第七二八条第二項の規定により姻族関係修了の意思表示をしたときには、その姻族関係は終了し、従つて、扶養義務を創設することも不可能となる。
 扶養義務を負わせる場合は、「特別の事情があるとき」(民法第八七七条第二項)である。如何なる場合が「特別の事情があるとき」と認められるかは双方の生活状態、これ迄の親疎の関係、その他一切の事情を具体的に考慮して決めることになつているが、あまり広くは認められないようである。特におじ、おばとおい、めいの間の扶養は旧法にも認められていなかつた次第から考えて、又姻族二親等、姻族三親等の者に対する扶養義務の創設は立法の経緯からみて、いずれもよほど特別の事情がない限り認めるべきものではないとされている(註一三)。

(二) 扶養の程度と方法
 当事者間の協議による。但し、当事者間に協議が調わないとき、又は協議することができないときは、家庭裁判所が定める。

(1) 程度
「扶養権利者の需要扶養義務者を身分及び資力その他一切の事情を考慮して定める。」がこの場合両者の関係が、夫婦や親子(未成年)のように扶養することが両者の身分関係にとつて本質的な性質のもであるか、或いはその他の者相互間のように扶養ということを抜きにしても両者の身分関係が考えられる性質ものであるかによつて取り扱いが非常に違つてくる点に注意すべきである。即ち、前者の場合においては最後のパンの一変をも分つて扶養しなければならないのに対し、後者の場合には自分の生活が損なわれぬ程度において扶養すればよいのである。前者の場合の扶養義務を生活保持の義務といい、後者の場合のそれを生活扶助の義務というが、生活保護法の適用において多く問題となるのは生活扶助の義務の場合であるから、実施に当たつてはこの義務が「扶養義務者がその生活をその身分相応な程度において維持し、これに裕りのある場合に限り、その裕りのある程度において、生活に困窮する親族を扶助する」建前のものであることに留意する必要がある。<0128<
 なお、扶養の程度について当事者間に協議が成り立つた場合でも、その者から受ける扶養だけでは、扶養権利者が生活することが出来ず、これに追加して生活保護を受けなければならない場合には、その程度が前述の原則に従つて夫々の限度に達する程度において定められているかどうかを検討し、若しその限度に達していないことを発見した場合には、その限度に達する迄扶養の程度を高めるよう再協議させなければならない。このように取り扱うべき例が養老院に入つている者について発見されることが少なくない。
→以下、「つ」に変換作業 (2) 方法
 引き取つて扶養するか、或いは引き取らないで金銭又は物品を贈つて扶養するかの問題であるが、一方においては扶養義務者の生活を崩さないこと、他方においては扶養権利者の人権を尊重し、これと直接連なる限度においては、その自由を尊重すべきことを常に念頭に置かなければならない。

(三) 扶養に関する家事審判の手続

(1) 扶養に関する審判の申立は、相手方の住所地の家庭裁判所にする。数人を相手方とする場合は、その一人の重処理の家庭裁判所に申立をすればよい(家事審判規則第九四条)。
(2) 扶養に関する審判の申立があつたときは、家庭裁判所は、扶養を受くべき者の生活又は教育について、臨時に必要な処分をすることができる。
 前項の処分は、家庭裁判所が相当であると認めるときは、何時でも取消又は変更することができる(同前第九五条)。
(3) 家庭裁判所は、扶養の程度若しくは方法を定め、又はこれを変更する場合には、必要な事項を指示することができる(同前九八条)。
(4) 当事者又は利害関係人は、扶養に関する審判に対し、即時抗告をすることができる(同前九七条)。
(5) 扶養に関する審判については、金銭の支払、物の引渡、登録義務の履行その他の給付を命ずることができる(同前九八条)。
 扶養権利者が生活保護を受けている場合その保護を行なつている保護の実施機関は(4)に所謂利害関係人とみ<0129<ることができるか。この点については多少の論議はあるが「利害関係人とみることを得ず」というのが法務府の見解である。但し、保護の実施の実費機関又はその命を受けた社会福祉主事が扶養権利者の同意を得て、その代理人又は保佐人として家庭裁判所へ出頭することは妨げないとされている(註一四)。

(四) 生活保護法における扶養義務の取扱上留意すべき事項

(1) 扶養義務者の問題は、本来道義上の問題として取り扱われることがふさわしい性質のものであることを常に念頭に置き、努めて当事者間の話し合いで問題を解決するようにし、法律に訴え、法律上の問題として取り運ぶことはやむを得ない場合に限るようにする。
(2) 扶養義務者の調査を正確に行うこと。調査順位は先ず絶対的扶養義務者について行い、これらの者がないか、又はあつても扶養能力がないか、若しくは十分でない場合に相対的扶養義務者について行うこと。
(3) 扶養能力の調査は、なるべく社会福祉主事等が扶養義務者に面会して行い、その資産及び生活状態の把握を正確ならしめるようにすること。この場合、必要があれば法第二九条の規定を活用し、扶養能力の調査に脱漏なからしめるに務めること。
  扶養義務者が遠隔の地に居住しておつて、直接これに面会して調査をすることが困難な場合には、法第二九条の規定を活用し、例えば、次のような文書(一三一頁参照)をその者の居住地の保護の実施機関に送り、その調査を依頼すること(ここに掲げるのは横浜市で現在用いられている様式である。)
(4) 扶養能力の判定については、夫婦間又は親の未成年の子に対する場合には、その扶養義務者が生活扶助費基準額で定められている最低生活費によつてなし得る水準以上の生活をしているときは、その超過する部分について扶養能力あるものとして取り扱い、その他の場合には社会通念上その扶養義務者に相応しいと認められる程度の生活を損なわない限度において扶養の能力あるものとして取り扱うこと。特に、後段の場合には過度の能力を判定して、その扶養義務者の現在の生活及び将来の生活設計に破綻を招来することのないように注意すること。
(5) 前項によつて判定した所に基づき、その内容及びその実施についての具体的細目につき扶養義務者と十分協<0130<議し、扶養の程度及び方法を確定し、なるべく文書を取りかわし、その実行を確実ならしめるようにすること。

[図・省略]

(6) 扶養義務者の側に生活上の変動があつて、前項の決定を変更する必要が生じたときは何時でも、且つ、当事者の何人たりとも、その変更を申し出で得るようにしておくこと。
(7) 扶養義務者に扶養の能力があるにもかかわらず、話し合いに応じないときは要保護者に家庭裁判所に審判の申立をするよう指示すること。この場合要保護者の希望があるときは、社会福祉主事をその代理人又は補佐人とする措置を探ることも考慮すること。
(8) 前項の取り扱いと平行し必要があるときは、その要保護者に対し先ず必要とする保護を加え、家庭裁判所の決定を持ち、法第七七条の規定により扶養義務者から扶養可能額の範囲内において保護に要した費用を徴収する措置を講ずること。<0131<
(9) 扶養権利者に対しては、扶養義務者が喜んで扶養する気持ちになれるようその生活態度において注意を怠らないように指導すること。
(10) 扶養義務者から法第七七条の規定により保護に要した費用を徴収するに当つては、次の三点に留意すること。

イ. その扶養義務者が、要保護者が保護を受けていた当時法律上の扶養義務者であつたこと。
ロ. 保護の行われた当時その扶養義務者に扶養の能力があつたこと。
ハ. その扶養義務者に現在その費用を償還する能力があること。」[小山 1951:126-132]


■言及

◆尾藤廣喜,20140125,「朝日訴訟に学ぶ(1)――私と生活保護裁判(第1回)」『賃金と社会保障』1601・1602:4-15.

「…審査請求、再審査請求及び訴訟の過程で陰に陽に妨害行為が行われることは、実は、現行制度発足以来絶えることなく続いている。かつて、保護の実施機関が申請書を交付せず、口頭での申請について、申請行為がないとの理由で申請が受け付けられなかったことについて、訴訟を起こして取り消しを求めた事件について、保護の実施機関の「説得」を受けた親族から「訴訟を続けるのなら親族の縁を切る」と迫られて訴訟の取り下げに至った事件[脚注5]、さらに最近では、今回の基準引き下げについての審査請求の過程で、処分庁である福祉事務所に審査請求書を提出しようとしたところ、行政不服審査法第一七条一項の規定を無視して受付けを拒否される例が相次ぐなど、故意によるか、重大な過失によるかは別にして、行政庁の「行政不服申立て」「行政訴訟」に対するアレルギーや偏見は未だ根強いものがある。
 しかしながら、先に述べた違法な処分からの被害の回復、違法な処分の再発防止などの「行政不服申立て」「訴訟」の機能・役割からして、また、生活保護を現に利用し、あるいは利用しようとしている当事者の「権利」を真に確立するためにも、「行政不服申立て」「行政訴訟」を申し立て、提起する権利は十分に保証されなければならない。
 この点について、現行生活保護法の立法化<0010<に中心的に関与し、『生活保護法の解釈と運用』というコメンタールを著し、その内容からして、生活保護法のあるべき姿を利用者の立場に立って解釈、実践していたと評価されている小山進次郎氏は、訴訟について以下のように述べている。
 「不服申立の如き略式行政訴訟とは異なり、正式行政訴訟にあつては、訴訟それ自体の提起について、民事訴訟費用法に定めるところにより書類等に対する手数料、弁護士に対する報酬や民事訴訟用紙法に定めるところの印紙の貼付、或いは又、本人の裁判所に出頭するための交通費等相当多額の費用を要し、これらの費用を実際に支弁し、負担しうる能力のある者は一般に最本法に定める意義において、生活に困窮する者とは認めがたく、又本法にいう生活困窮者に該当する場合でも法第四条第一項に定める要件を満たさないから、最早生活困窮者を唯一の要件とする本法の保護の適用を争う資格を喪失しているものと言わざるを得ないから、裁判所は、結局において請求棄却の判決を下さざるをえないことになる。(小山進次郎『改訂増補 生活保護法の解釈と運用』中央社会福祉協議会、七六四頁)
 つまり小山氏は、利用者の権利実現のために、行政不服申してについての機能は認めながらも、こと「訴訟」については、まったく消極的に評価しているのである。ここに、行政担当者の見地から国民の権利を認めようとする立場の限界が示されていると評価するとすれば、言い過ぎであろうか。
 しかし、私は、「行政不服申立て」の権利と併せていや、それ以上に「行政訴訟」を提起する権利がこの国に実質的に保証されなければ、生活保護を利用する「権利」は実質化されないと考える。」[尾藤 20140125:10-11]

◆岩永 理恵 20110228 『生活保護は最低生活費をどう構想したか――保護基準と実施要領の歴史分析』,ミネルヴァ書房, 343p.
「生活保護の政策形成過程において、直接関与して影響力を行使してきたアクターであって、最も重要なのは厚生省社会局保護課である。厚生省社会局保護課は、生活保護法制定以来、一貫して生活保護の主管官庁である。この組織及び官僚が、時どきの状況の中でどのように立ち回ってきたかをたどることで、政策形成のかなりの部分が捉えられるといってよい。
 それゆえ基本となる資料は、厚生省/社会局/保護課による文書である。
 まず、もっとも重要なのは、小山進次郎(一九五一=一九七五)『改訂増補 生活保護法の解釈と運用(復刻版)』である。これは、一九五〇年に制定した生活保護法のコンメンタールであり、現在にいたるまで制度運用上の基本文献となっている。」[岩永 2011:37]


*作成:中村 亮太
UP: 20140911 REV: 20180223
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