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『国富論』

Smith, Adam 1776 An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nation
=200005-200110 水田 洋監訳・杉山 忠平訳,『国富論』(全4冊),岩波文庫


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■Smith, Adam 1776 An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nation=20000516 水田 洋監訳・杉山 忠平訳,『国富論』(1),446p. ISBN-10: 4003410513 ISBN-13: 978-4003410516 \945 [amazon][kinokuniya] p0601
=20001016 水田 洋監訳・杉山 忠平訳,『国富論』(2),岩波文庫,391p. ISBN-10: 4003410521 ISBN-13: 978-4003410523 \945 [amazon][kinokuniya]
=20010316 水田 洋監訳・杉山 忠平訳,『国富論』(3),岩波文庫,456p. ISBN-10: 400341053X ISBN-13: 978-4003410530 \945 [amazon][kinokuniya]
=20030605 水田 洋監訳・杉山 忠平訳,『国富論』(4),岩波文庫,422p. ISBN-10: 4003410548 ISBN-13: 978-4003410547 \945 [amazon][kinokuniya]

■出版社/著者からの内容紹介

経済学の父スミスが1776年に刊行した本書こそ,理論・政策・歴史にわたる経済学最初の体系的叙述として,古典中の古典と称せられる不朽の名著である.いわゆる「見えざる手」による予定調和的自由放任政策を主張した本書は,その実質において近代市民社会の科学的分析であり,後のあらゆる諸学説はここに源を発する.新訳.(全4冊)

内容(「BOOK」データベースより)
経済学最初の体系的叙述として、古典中の古典と称せられる不朽の名著。いわゆる「見えざる手」による予定調和的自由放任政策を主張した本書は、その実質において近代市民社会の科学的分析であり、後のあらゆる諸学説はここに源を発する。新訳。

出版社/著者からの内容紹介
いったん分業が完全に導入されると,1人の人間の労働の生産物は,その時々の自分の必要の極めてわずかの部分しか満たすことができない-本巻には,第2編「資本の性質と蓄積と用途について」から第4編「政治経済学の諸体系について」の第4章「戻し税」までを収める.(全4冊)

内容(「BOOK」データベースより)
いったん分業が完全に導入されると、1人の人間の労働の生産物は、その時々の自分の必要の極めてわずかの部分しか満たすことができない―第2編「貯えの性質と蓄積と用途について」から第4編「政治経済学の諸体系について」の第4章「戻し税」まで。

出版社/著者からの内容紹介
第5編「主権者または国家の収入について」の第1章「主権者または国家の経費について」の続き.国家財政の収入・支出の諸項目について検討し,適正な支出の範囲,課税についての原則,さらに公債の削減方法などについて述べる.19世紀の自由主義時代に,世界の諸国の経済政策の基調となった経済学の古典.(全4冊完結)

内容(「BOOK」データベースより)
第五編第一章第三節「公共事業と公共施設の経費について」の続き。国家財政の収入・支出の諸項目を検討、適正な支出の範囲、課税の原則、公債の削減方法について述べる。一九世紀の自由主義時代、世界諸国の経済政策の基調となった経済学の古典。

■引用

「職人たちの団結についてはしばしば耳にするが、親方たちの団結についてはめったに耳にしないといわれてきた。しかし、だからといって、親方はめったに団結しないなどと思う人がいるなら、それはこの問題についてはもちろん、世間についても無知な人である。親方たちは、いつどこでも、一種の暗黙の、しかし恒常的かつ一様の団結を結んで、労働の賃金を実際の率以上に上昇させまいとしている。この団結をやぶることは、どこでも、きわめて不人気な行為であり、親方が近隣や同輩のあいだで一種の非難のまとになることである。たしかに、われわれはこのような団結をめったに耳にしないが、それというのも、だれもが耳にしないほどそれが通常の、ものごとの自然の状態といっていいものだからである。(…)しかしこのような団結はしばしば、職人たちの、これとは反対の防衛的な団結の抵抗を受ける。彼らもまた、この種の挑発がまったくなくても、自分たちの労働の価格を引き上げるために、自発的に団結することがある。彼らの通常の主張は、あるときには、食料品の価格が高いということであり、あるときには、親方たちが自分たちの仕事によって大きな利潤をあげているということである。だが彼らの団結は、攻撃的なものであれ防衛的なものであれ、つねにいくらでも耳にはいる。争点をすみやかに解決するために、彼らはつねにやかましくさわぎたてるという方法に訴え、ときにはもっともショッキングな暴力や乱暴に訴えることもある。彼らは必死なのであり、そして必死の人びとの愚かさや無謀さをもって行動する。彼らは飢えるか、さもなければ親方たちを脅かしてただちに自分たちの要求を受けいれさせるかしなければならないからである。こういうばあい、親方たちは相手側にたいしてこれにおとらずさわぎたて、官憲の援助と、使用人や労働者ややとい職人の団結をあれほどきびしく禁止する法律の、厳格な施行を声高く求めてやまない。したがって職人たちがこういう騒然とした団結の暴力から何らかの利益を引き出すことはまれであり、こういう団結は、一部は官憲の干渉のため、一部は親方たちの頑強さがまさっているため、一部は職人たちの大部分が当面の生計のために屈服する必要にせまられているため、一般に首謀者の処罰か破滅という結末にしかならないのである。」(『国富論1』岩波文庫、p.122-123)

「次の五つが、私の観察しえたかぎり、ある職業で金銭上の利得が小さいのを補い、ほかの職業で利得が大きいのを相殺する、主な事情である。すなわち、第一に、職業そのものの快・不快、第二に、職業の習得が容易で安あがりか困難で高くつくか、第三に、職業における雇用の安定・不安定、第四に、職業にたずさわる人びとへの信頼の大小、そして第五に、職業における成功の見込みの有無である。」(p.177)

「労働のうちである種類のものは、それが投下された対象の価値を増加させるが、もう一つ別の種類の労働があって、それはそのような効果をもたない。前者は、価値を生産するのだから、生産的と呼び、後者は不生産的と呼んでいいだろう。こうして製造工の労働は、一般に、彼が加工する材料の価値にたいして、彼自身の生活費の価値と彼の雇主の利潤の価値をつけ加える。これに反して、家事使用人の労働はなんの価値もつけ加えない。(…)反対に家事使用人の労働は、どんな特定の対象または販売できる商品にも固定され実現されることがない。彼の仕事は、一般に、遂行されたその瞬間に消滅し、あとになってそれとひきかえに等量の仕事を入手できる痕跡または価値を、あとに残すことはめったにない。
 社会のもっとも尊敬すべき階層のうちのある人びとの労働は、家事使用人の労働と同じようになんの価値も生産せず、その労働がすんだのちも存続してあとでそれとひきかえに等量の労働を入手できるような、持続的な対象または販売できる商品に固定または実現されることがない。たとえば主権者は、彼のもとにつかえるすべての司法および軍事官僚、全陸海軍とともに、不生産的労働者である。(…)同じ部類にいれられるべきものに、もっとも厳粛でもっとも重要な専門職のうちのいくつかと、もっとも軽薄な専門職のうちのいくつかがあって、教会人、法律家、医師、あらゆる種類の文筆家と、俳優、道化師、音楽家、オペラ歌手、オペラ・ダンサーなどがそうである。これらのうちでもっとも卑しい者の労働でも、ある価値をもっていて、それは他のあらゆる種類の労働の価値を規制するのとまったく同一の原理によって規制されるし、またそれらのもののうちでもっとも高尚でもっとも有用な者の労働でも、あとで等量の労働を購買または入手しうるようなものを何も生産しない。俳優の朗読や演説家の熱弁や音楽家の楽曲のように、彼らすべての仕事は、生産されたまさにその瞬間に消滅する。」(『国富論2』岩波文庫、p.109-111)

■紹介・言及

橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也編『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社


*作成:橋口 昌治
UP:20090804 REV: 0811
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