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目の前のアフリカ 第3回

個人の生と歴史の脈絡:『ルムンバの叫び』上映会
 

日時:2013年7月19日(金) 17:00〜
場所:立命館大学 衣笠キャンパス 存心館 2階702教室
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[English]

last update:20130617

■趣旨

第3回となるアフリカセミナーでは、映画『ルムンバの叫び』の上映会を行う。パトリス・ルムンバは1960年6月30日に旧ベルギー領コンゴ(現コンゴ民主共和国)の独立後の初代首相となった。しかし、その数カ月後には実験を失い、政敵に抹殺され、その死体は酸で溶かされた。
『ルムンバの叫び』は、ラウル・ペック監督によるルムンバに関する2作目の映画である。コンゴ独立の過程を描きなおす本作品は、白人傭兵たちが化学薬品で白い大きな包みを溶かしているところから始まる…。
「アフリカの年(1960年)《の翌年に死体さえも消されてしまうルムンバの生とは、のちに「歴史《となる社会的な脈絡の展開と衝突の錯綜を露骨なまでに体現してしまっていたのではないか。様々な力の渦中で存在を物質的にも消滅させられた個人を描き出す映像作品は、同時にその個人を取り囲んでいた社会的脈絡にも光をあてる。その脈絡は、私たちの社会とはいかなる関係にあるのか。
上映後には、本学の渡辺公三教授から、ルムンバを起点にして見える社会的脈絡や「歴史《などについて、お話いただく。ルムンバを消し去ったが、生み出しもしたアフリカの20世紀は、私たちの21世紀からどの程度遠くにあるのだろうか。

上映作品:『ルムンバの叫び』、2000年、監督・脚本:ラウル・ペック、製作国:フランス・ベルギー・ドイツ・ハイチ。
「ラウル・ペック監督からアフリカの潰えた理想に捧げられた渾身の一作《(吉田未穂 シネマアフリカHP)

■プログラム
 17:00〜19:00 上映
    19:00〜 レクチャー・ディスカッション 渡辺公三(先端総合学術研究科教授)

 ▽URL
  渡辺公三:http://www.arsvi.com/w/wk05.htm
  シネマアフリカ:映画案内『ルムンバの叫び』

■会場へのアクセス
キャンパスマップ:http://www.ritsumei.jp/campusmap/map_kinugasa_j.html#pagelink1 (地図中25の建物)
アクセスマップ:http://www.ritsumei.jp/campusmap/map_kinugasa_j.html#pagelink1


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■文献

渡辺公三 2011/01 「パトリス・ルムンバ――ひとりの「開化民《の生成と消失《、真島一郎編、『二〇世紀〈アフリカ〉の個体形成――南北アフリカ・カリブ・アフリカからの問い』。


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 ■開催報告 文責:石田智恵
 第3回目のアフリカ・セミナーはパトリス・ルムンバの生涯を題材にした映画、『ルムンバの叫び』の上映と、立命館大学先端総合学術研究の渡辺公三先生によるレクチャーがありました。『ルムンバの叫び』はフィクションですが、渡辺先生によれば、かなり史実に忠実に制作されたものだということでした。
 映画では、ルムンバが首都(現在のキンシャサ)に出てきてから、政治家としての頭角を表し、1960年のコンゴ独立、首相就任とその後の動乱のなかで政敵に抹殺されるまでの過程が描かれます。そのなかで、ルムンバが首都に出てきたときに、「開化民」としての身分を獲得するシーンがあります。当時、ベルギー植民地領であったコンゴでは、現地人は十全な市民ではなく、「開化民」と認定されることは、よりよい就労の機会を得るためにも必要だったようです。
 建物の一室で、ベルギー人と思われる植民地行政官のもとでルムンバが実技試験を受けているのが、当該のシーンです。行政官が「この棚を開けろ」等の命令をルムンバに下します。ルムンバは、きびきびと、洗練された仕方でその命令を実行します。  実際には、開化民になることの要件がどのようなものであったのかはわかりません。しかし、「開化民」になることを表すのそのシーンで問われていたことが、例えば学歴などではなく、ベルギー人の要求を理解できるかどうか、それに見合った所作を身に着けているかどうか、それが問われていたように思え、強い印象を残しました。
 映画の後の渡辺先生のレクチャーでは、映画の背景の解説に加え、質疑応答やご自身の調査経験にも話題が広がりました。当時、アフリカで行われた峡谷にかける大きな橋の建設が、日本での建設を前提にした実験を兼ねていたようです。映画でも、独立後の動乱には、ベルギーやアメリカ合衆国の介入があったことが明示されていましたが、さまざまな思惑をもつ「よそ者」によって、そこでできることが決定されるような場として、独立前後のコンゴ、ひいてはアフリカがあったことを痛感するようなセミナーでした。


UP: 20130617
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