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目の前のアフリカ 第1回

「もうひとつの使い捨て文化―古着のゆくえ」
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「日本の若者はなぜアフリカを目指すのか?」

日時:2013年5月17日(金) 17:00〜
場所:立命館大学 アカデメイア立命21 2階会議室
チラシ1・PDF チラシ2・PDF
[English]

last update:20130502

タンザニア古着市場

■趣旨

 アフリカをよく知るお二人の対談から、アフリカ・セミナーを開始したい。人類学者・小川さやかさんとAJF事務局長を務める斉藤龍一郎さんを案内人に、流れ着き、流れ行く人(若者)とモノ(古着)を通じて、アフリカの現在を垣間見ることになる。先進諸国で大量消費・廃棄された衣類は、「リサイクル」や「社会貢献・支援」を旗印にアフリカ諸国へ輸出される。古着は現地の衣類産業に壊滅的な打撃を与えながら、人びとの衣料品に対する必要性と願望を満たす不可欠な商品として浸透した。アフリカへたどり着いた古着が現地で生み出している「もうひとつの使い捨て文化」は、私たちの「使い捨て文化」を浮かび上がらせる。こうした時代に、古着とは別のルートで日本の若者がアフリカに向かっている。古着と若者が、それぞれ別の仕方でアフリカで生み出す現実の関係を探ってみたい。

■プログラム
 17:00〜18:20 対談
  小川さやか(先端総合学術研究科准教授)  × 斉藤龍一郎(アフリカ日本協議会事務局長)

 18:20〜 フリーディスカッション
 
 司会:西成彦(先端総合学術研究科教授)

 ▽URL
  斉藤龍一郎:http://www.arsvi.com/w/sr01.htm
  小川さやか:http://machingirl.tumblr.com/
  西成彦  :http://www.arsvi.com/w/nm07.htm
■会場へのアクセス
キャンパスマップ:http://www.ritsumei.jp/campusmap/map_kinugasa_j.html#pagelink1 (地図中2の建物)
アクセスマップ:http://www.ritsumei.jp/campusmap/map_kinugasa_j.html#pagelink1


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■開催報告  文責:近藤 宏 20130520

 今年度、生存学研究センターでは月例でアフリカセミナーを開催しています。セミナーのタイトルは、「目の前のアフリカ」です。その第1回目は、今年度から生存学研究センター客員教授に着任された斉藤龍一郎さん(アフリカ日本協議会事務局長)、センター運営委員の小川さやかさん(文化人類学者)による対談企画でした。
 小川さんが「もうひとつの使い捨て文化――古着のゆくえ」、斉藤龍一郎さんが「日本の若者はなぜアフリカを目指すのか?」という異なるテーマからそれぞれお話をいただきました。一見すると、この二つのテーマには関連がありません。ですが、私たちの日常生活から離れアフリカにたどり着くもの(物・者)という視覚が共通しています。  小川さんは、まず古着の流通プロセスを次のように捉えていました。日本をはじめとする先進諸国で「商品」から「ゴミ」となった衣類が「社会貢献」のための「贈与品」となる。それが、仲介業者を経て、現地で再び「商品」となる。現地において再度商品となった古着は、それぞれ「ファッション」、「日用品」、「必需品」として異なる価値をまとうようになります。
 アフリカにおいて古着の価値をつくり出す路上商人の生き生きとした活動と人びとの消費の在り方は、「社会貢献」として古着を送る行為と結びつくアフリカ像――「アフリカの貧困な人々にとって衣服は必需品である」――とは異なるものです。それが示すのは、アフリカには古着が必要ではない、ということではありません。むしろ、いつのまにか私たちがアフリカの人々を自分たちとは別の地平に置く視点を身に着けてしまっているということなのです。
 斉藤さんからは、アフリカ日本協議会の活動を通じて日本の若者と知り合う経験、特に電話相談等を通じてアフリカ行きの相談を受ける経験からお話しいただきました。なかには「何ができるかわからないがアフリカに貢献できる」と考え旅立ったものの、自分の思っていたようにはいかず、アフリカ経験が挫折の経験となってしまうケースもあるようです。「ここではない別のところに行きたい」という思いがなぜか、「アフリカでは、日本ではできないことができてしまう」というかたちに変わってしまっているようだ、という鋭いご指摘でした。それは、それは古着の事例にも通じるアフリカの見方、アフリカと日本を別の地平に置く視点でもあるだろう、というお話でした。
 その後、来場者の学生から、自身のアフリカ行きの経験、援助活動、研究関心にひきつけたうえで、アフリカを視るまなざし、アフリカに関わる態度に関する質問が続き、登壇者のお二人と意見交換が行われました。
 第2回、第3回と続くなか、アフリカの様々な姿を知るだけではなく、いつの間にか身にまとっていた自らの視点を対象化することができるのか。セミナーの発展も含めて、今後も楽しみになる第1回のセミナーでした。


UP: 20130430  REV:20130502, 0520
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