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在宅における医療的ケアの現状と課題(地域生活を考える勉強会 第五回)
2010/10/23
於:医療法人 永原診療会自在館
[記録]
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Korean
last update: 20101109
■在宅における医療的ケアの現状と課題(地域生活を考える勉強会 第五回)
[当日の記録]
[当日の記録]korean page
◆主催:地域生活を考える勉強会実行委員会
◆共催:
立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点
立命館大学生存学研究センター
医療法人 永原診療会
NPO法人「ある」
◆開催日時および場所
日時:2010年10月23日(土)15時〜18時(14時30分 受付開始)
場所:医療法人 永原診療会自在館(京都府京都市上京区浄福寺通上立売上る大黒町686)
地図→〔外部リンク〕
http://www.nagahara.or.jp/sst.html#map
※ アクセス 京都市バスの「今出川浄福寺(いまでがわじょうふくじ)」というバス停から、浄福寺通りを北に徒歩約5〜10分です。
「今出川浄福寺」には京都駅から直通で行けるバスがありませんので、京都駅からは「国際会館」行きの地下鉄で五駅目の「今出川」で降りて頂き、そこから西行きのバスの203番(北野天満宮・西大路四条行き)か、201番(千本今出川・みぶ行き)で四駅目です。
★ 会場が自在館から北に徒歩10秒の「渡文岩神ホール」に変更になりました。当日は自在館にお越し頂けましたらご案内いたします。
地図〔外部リンク〕
◆講師
杉本健郎
さん(日本小児科学会代議員,日本小児神経学会理事・社会活動委員会委員長,NPO法人医療的ケアネット理事長,すぎもとボーン・クリニーク所長)
川口有美子
さん(日本ALS協会理事,ALS/MND国際同盟会議理事,NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会理事,訪問介護事業所ケアサポートモモ・代表取締役)
司会:
立岩真也
さん(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)
◆案内文
近年の医療技術の進展や医療・福祉制度の改革に伴い、たん吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要としながら、地域で生活する人たちが増えてきています。医療的ケアは、重度障害児から難病患者、中途障害者から高齢者まで幅広い方々にとって大きな問題となっています。厚生労働省は、2003年からヘルパーによるたん吸引の容認に向けた分科会を立ち上げ、その後、医療的ケアの容認に対象を拡大する通達を数度出し、2010年においては実施できる行為の範囲に胃ろうも加え、看護師の指導や介護職への研修などの実践的な議論がされ始めました。今まさに在宅医療と福祉にとっては大きな節目を迎えようとしています。
そこで、今回は重度障害児の医療的ケア問題に取り組んできた杉本健郎先生と、現在国の検討会議論に加わっておられる川口有美子さんをお招きし、それぞれの立場から医療的ケアの現状や課題などを御講演いただきます。
◆事前申し込み不要
参加費無料
※当日は18時半〜同会場にて懇親会(会費2000円)もあります。
◆連絡先
堀田義太郎
(事務局):perryfarrellad@yahoo.co.jp(@→@)
◆
チラシ表〔GIF〕
◆
チラシ裏〔GIF〕
◆新聞掲載
「難病患者らの医療ケア議論――23日、上京で」2010年10月17日京都新聞 朝刊(26)
自宅で暮らす難病患者や高齢者たちの医療的ケアについて考える勉強会が23日午後3時から、京都市上京区浄福寺通上立売上ルの永原診療会自在館で開かれる。
たん吸引などの医療的ケアについては、菅直人首相が先月末、介護職員も実施できるよう厚生労働省に法整備を指示した。
勉強会では
立岩真也
立命館大学教授が司会を務め、NPO法人「医療的ケアネット」の
杉本健郎
理事長と、立命館大大学院生で著書
『逝かない身体――ALS的日常を生きる』
で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した
川口有美子
さんが講演し、加速する議論の現状や課題を探る。
無料。事前申込不要。問い合わせはperryfarrellad@yahoo.co.jp(@→@)へ。
◆報告(文責:堀田義太郎)
本企画は「地域生活を考える勉強会」実行委員会主催/生存学共催で、介護職による医療的ケア(吸引や胃ろうなど)を主題として開催されました。
講師として、この問題に医師として長年関わってこられ、著書も多い小児科医の杉本健郎氏と、医療的ケアを要する患者とヘルパー派遣事業者の立場で活動・発言を続けている日本ALS協会(立命館大学大学院先端総合学術研究科)の川口有美子氏をお迎えしました。
当日は、今まさにこの主題について厚生労働省で議論が行われている最中だということもあり、車椅子ユーザーを多数含めて、120名を超える方々が参加し、講演を入れて3時間以上にわたって熱気に包まれた質疑・議論が交わされました。当日の様子を事務局から簡単に報告したいと思います。
まず、杉本氏は医師の立場から、介護職の医療的ケアをめぐる政治的な背景について、厚生労働省内の局間の縦割り体制の問題、在宅で安全に医療的ケアを行うためのシステムの不十分さ、たとえば特別養護老人ホームを念頭に置いた介護職の医療的ケアの法制化論で在宅と施設の区別が前提になっていることなどの問題を指摘されました。杉本氏は、在宅サービスについては「パーソナルアシスタンス」つまり雇用した後に当事者がヘルパーを研修し育てるという制度が基本的に望ましいとして、現在の制度策定プロセスにも実際に参加されている立場から、制度策定の前提と実際の現場とのズレがある、と述べられました。
川口氏は、ALS患者・家族の立場から、家族の負担や不安について、「生きましょう」という医者の言葉に非常に勇気づけられたと同時に、その言葉の後を生きる家族の負担とのギャップを指摘され、在宅生活を維持するための負担が家族に委ねられてしまう状況と、それを打開するための医療的ケアを含む在宅介護体制の重要性を強調されました。また、在宅生活を支えるヘルパーの医療的ケアに対する制約が、家族に最終的に負担をかけることにしかならず、「生きる」ことを真にサポートするためには、医療的ケアにも柔軟な運用を認めて、持続的な支援体制が構築できるような制度づくりが必要だと訴えられました。
会場からは、まず当事者の立場から、医療的ケアは「生活の一部」であって法律化は生活を縛ることにしかならないのではないか、本人や家族ができることをヘルパーにできないというのはおかしいのではないか、という問題提起がなされました。また、医師や訪問看護師を含めて、医療的な技術・相談等のサポート、そして信頼関係や理解がない状況で、介護職に単に医療的ケアを委ねるというだけでは、ケアを受ける本人にとっても介護職にとっても望ましいことではないのではないか、という指摘もされました。
医療的ケアの「法制化」については、現状でそれが「グレー」になっているからこそ可能になっている地域生活を頓挫させてしまう可能性が大きいという危惧とともに、逆に、法的に「グレー」であることが、医療的ケアに対する地方自治体ごとの解釈の幅を許しており、それが地域格差の要因にもなっているのではないか、という点が指摘されました。また、介護職が医療的ケアを行って事故が起こった場合の責任の所在が実際的には大きな問題になるのではないか、という指摘もされました。
医療的ケアをめぐる法整備が、法制化の是非そのものを含めて議論になっているなか、当事者、支援者そして政策に関わっている方々を含めて、課題を確認・共有することができた有意義な会だったと思います。
報告者の感想としては、「いわゆる」医療的ケア(気管内吸引・胃ろう)を介護職が行うこと自体に問題があるというよりも、むしろ当事者・家族・医療従事者そして行政を含めて信頼関係が構築されたなかで、納得して安全に行えるような、実際の場に即した具体的な条件づくりという目標の共有が重要なのだということを、あらためて感じさせられました。
■当日の様子
UP:20100918 REV:20100925, 0930, 1007, 1018, 1019, 1109
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医療的ケア・2010
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