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国際カンファレンス「絆と境目――正義と文化に関する新しいパースペクティブ――」

20100318-20
於:立命館大学衣笠キャンパス創思館1階カンファレンス・ルーム



■国際カンファレンス「絆と境目――正義と文化に関する新しいパースペクティブ――」

◆日時:2010年3月18日(木)〜20日(土)
◆場所:立命館大学京都衣笠キャンパス創思館1階カンファレンス・ルーム

◆趣旨:
文化や正義は社会的絆や境目を創造し、構築する。そしてそれらは限界も決定する。しかし、排除はもっぱら文化とのみ結びつく。いまやこの事実は広く認められている。文化が多元的であるということは分離をともない葛藤をもたらす。文化のそれとは対照的に、正義は普遍的なものであるとされてきた。正義は文化を分断するギャップをつなぐ共通の地盤を提供しうるのだ、という言説はこのような想定を前提としている。正義は普遍的なものであるという想定は、また、普遍性は単一性を前提とするという仮定と結合し、はたして、正義は、異なる文化の特殊性を損ねることなく普及しうるのか、という論議をも巻き起こしてきた。だが、このような文化の特殊性を正義の普遍性と対立させる問題の立て方は、次のような重要な事実を見逃させる。歴史的に、正義の側から語られる普遍性――どこでもいつでも――は、実のところ、何ものかに限定され、限界づけられ、制限されてきた。確かに正義はみなにとって同じものでありうるかもしれない、だが、「みな」とは文字通りすべての人を含むわけではない。正義の普遍性はつねに「領域的」なものだった。もし、文化が境界を生み、分離をもたらすものであるとしたら、文化の存在に応じて、正義もまた、境界をもち、排除することをまぬがれえないだろう。歴史は、この点に関してかたくなだった。またしても暴発する数多くの対立は、普遍性の観念それ自体から生ずるものではないとしても、少なくともそれが単なる偶発事項ではないということを示唆している。正義は、文化と同様に、境界をもたらす一方で、絆を構築する。まさしく正義と文化との相互関係の中から、限界そして調和が生み出されてきたのである。

われわれは文化がたえず変容し、境界がたえず入れ替わる世界に在る。技術的革新、経済的グローバリゼーションは、移住の拡大により社会関係を転換させてきたのみならず、個々の主体に関して、自分自身や他者、自分の文化や他者の文化と本人との関係を大きく変えてきた。アイデンティティ、ジェンダー、多文化主義は、これらの転換が、実のところ、正義の絆と境目を攪乱させるものでもあったことを証言する。本国際コンファレンス「絆と境目――正義と文化に関する新しいパースペクティブ――」の目的は正義と文化、社会的絆、そして境目の観点から正義と文化の進化しつつある関係を調査することにある。言い換えると今日のグローバル化した世界において文化と正義の絆と境目がどのように変化し、相互に作用しているのかを理解しようという試みである。

本カンファレンスは3日間開催され、合計20名の参加者(10名の講演者と10名のコメンテーター)で構成される。各講演者が45〜50分講演後コメンテーターによる10〜15分の応答があり、その後全ての参加者が参加できる30分のディスカッションが行われる。私たちは参加者間、そして観客とのディスカッションを奨励する。というのもカンファレンスを成功させるには継続的なディスカッションのダイナミクスが必要だからである。本カンファレンスでの使用言語は英語であるが、日本語でも質問は可能である。入場無料であるが、座席数限定のため、参加希望の方は事前参加申込をされることをお勧めする。

◆企画:
主催
 ポール・デュムシェル後藤 玲子
 立命館大学大学院先端総合学術研究科
共催
立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点

◆講演者
Professor Axel Honneth (University of Frankfurt)
Professor Fuyuki Kurasawa (York University)
Dr. Geoffrey Brahm Levey (University of New South Wales)
Professor Mauro Magatti (Universita Cattolica del Sacro Cuore)
Professor Gurpreet Mahajan (Jawaharlal Nehru University)
Professor Achille Mbembe (University of Witwatersrand)
Professor Dr. Wolfgang Palaver (University of Innsbruck)
Professor Anne Phillips (London School of Economics and Political Science)
Professor Saskia Sassen (Columbia University)
Professor Laurent Thévenot (École des Hautes Études en Sciences Sociales)

◆事前予約制

◆詳細:http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/2009/20100318-j.htm

◆大学HPのPICK UPに掲載:http://www.ritsumei.jp/pickup/detail_j/topics/5686/date/3/year/2010


*作成:岡田 清鷹
UP:20090802 REV:20091208 1217 20100226 0414
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