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女性史のアーカイヴィングとフェミニズム実践の展開
――その連関構造をつくる営み

Archiving Women's History and Engaging in Feminist Practices:
The Activities of Creating the Interrelationships Between Them


村上 潔Murakami, Kiyoshi
2026年3月6日 於:立命館大学衣笠キャンパス究論館1階 プレゼンテーションルームA
*《女性史研究の現在[いま]を問う会(立命館女性史研究会)》におけるゲスト講義の報告資料

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last update: 20260406

◎Index

書誌情報
この資料ページについて
1. はじめに
2. 報告内容
3. 開催報告/参加者の反応
4. その他

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■書誌情報[Bibliographic Information]

◇村上潔 2026 「[報告資料]女性史のアーカイヴィングとフェミニズム実践の展開――その連関構造をつくる営み」(ゲスト講義:女性史研究の現在[いま]を問う会(立命館女性史研究会)/2026年3月6日/立命館大学衣笠キャンパス),arsvi.com:立命館大学生存学研究所,(https://www.arsvi.com/2020/20260306mk.htm)
◇Murakami, Kiyoshi, 2026, "Archiving Women's History and Engaging in Feminist Practices: The Activities of Creating the Interrelationships Between Them" [Presentation at a Research Meeting], arsvi.com, March 6, 2026, (https://www.arsvi.com/2020/20260306mk.htm). *Lang.: Japanese

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■この資料ページについて

本ページは、
_______________
◆《女性史研究の現在[いま]を問う会(立命館女性史研究会)》
日時:2026年3月6日(金)15:00~17:00
会場:立命館大学衣笠キャンパス究論館1階 プレゼンテーションルームA
ゲスト講師:村上潔(立命館大学生存学研究所客員研究員)
主催:〈女性史研究の現在[いま]を問う会(立命館女性史研究会)〉
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で使用した報告資料の内容に加筆修正を施し、再構成(関連情報を追加)したものである。
*随時更新

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■1. はじめに

参考

講義資料

◇神戸市外国語大学2025年度前期科目《ジェンダー論入門》(全15回)
「アーカイヴィングから見るジェンダー(2nd Round)」(担当教員:村上潔)
◇神戸市外国語大学2024年度前期科目《ジェンダー論入門》(全15回)
「アーカイヴィングから見るジェンダー」(担当教員:村上潔)
◇神戸市外国語大学2021年度前期科目《ジェンダー論入門》(全15回)
「女性史/ジェンダー史/フェミニスト・ヒストリー――学び・記録し・共有し・活用する」(担当教員:村上潔)

その他

◇村上潔 2025 「[報告資料]大学図書館はいかにしてジンカルチャーのエートスを保全しうるか――限界を認識し可能性を模索する」(ゲストトーク:《ZINE TALK 03》2025年11月29日/京都精華大学情報館),arsvi.com:立命館大学生存学研究所,(https://www.arsvi.com/2020/20251129mk.htm
◇村上潔 2025 「[報告資料]大学図書館はいかにしてジンカルチャーのエートスを保全しうるか――限界を認識し可能性を模索する【選書リスト】」,arsvi.com:立命館大学生存学研究所,2025年11月29日,(https://www.arsvi.com/2020/20251129mk-bl.htm
◇村上潔 2025 「フェミニストアーカイヴィング実践におけるオーラルヒストリーの取り組み――イギリスの自律的地域アーカイヴの事例から」(研究会報告:第7回オーラルヒストリー・アーカイブ・プロジェクト研究会:2025年2月12日),arsvi.com:立命館大学生存学研究所,(http://www.arsvi.com/2020/20250212mk.htm
◇村上潔 2022 「ジン・カルチャーの現在的展開とその意義――フェミニスト・コミュニティ・アクティヴィズムの視点からの展望」,『立命館言語文化研究』33(3): 39-51,(https://doi.org/10.34382/00016841
◇村上潔 2021 「地域のウーマンリブ運動資料のアーカイヴィング実践がもつ可能性――二〇〇〇年代京都市における活動経験とその先にある地平」,大野光明・小杉亮子・松井隆志編『[社会運動史研究 3]メディアがひらく運動史』,新曜社,72-94
https://www.arsvi.com/2020/20210715mk.htm
◇村上潔 2021 「[報告資料]「運動」と「学習」の幸福な連動は可能か――地域女性史の実践のなかで」(報告/パネリスト:《地域に生きた女性たちの「フェミニズム」――「全国女性史研究交流のつどい」報告集全12回を読む》2021年1月23日/オンライン),arsvi.com:立命館大学生存学研究所,(https://www.arsvi.com/2020/20210123mk.htm

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■2. 報告内容

0 はじめに

◆〈女性史研究の現在[いま]を問う会(立命館女性史研究会)〉の性格をふまえて、最初に提示しておきたいこと。
◇女性史研究:学習・教育の場における/のための展開
┃公立図書館の「女性史」コーナー
◇時期区分/変遷
・1970年代前半:ウーマンリブ
・1970年代中頃:地域公民館学習:一般女性向け教養講座で「女性史」が主題に
・1970年代後半:「女性学」
・1980年代:「フェミニズム」
┃いずれも、それ以前の「女性史」研究の蓄積を活用して展開された。
‐サークル学習
‐意識啓発
◇主体となる存在
・研究者
・ジャーナリスト
・郷土史家(アマチュア)
・学校教員
・公民館職員
・社会教育主事
・図書館司書
┃各現場での試行錯誤と協同

◆問題意識
◇女性史のアーカイヴィングとフェミニズム実践は連動するのか?――するのであれば、どのようなかたちで?

◆女性史≠フェミニストヒストリー:学習≠運動
◇女性史:調査・研究・教育・学習
‐「平等」に向けて
‐主婦/母/若年女子に対する啓蒙・啓発
‐地域のサークル運動
‐抑圧のなかの苦闘に学ぶ
‐アドバンテージがある現在の地平から振り返って見る構図
‐「生活」の「豊かさ」の追求
‐「賢く」なる・「成長」するためのツール
‐「共感」ベース
‐国民国家の枠組みが前提に
‐ナショナルヒストリーに続く地平
◇フェミニズム:運動・実践
‐「解放」に向けて
‐「政治」課題
‐社会正義[Social Justice]
‐差別を直接・正面から問題化
‐抵抗・闘争・奪還
‐実践的・直接的連帯
‐過去と現在とを同じ地平に置き→戦略を検証/検討する
‐ナショナルな(国民国家の)枠組みへの相対的・批判的視座→横断的戦略構築

◆分断点
◇国家・帝国主義・資本主義・家父長制への向き合いかた
┃「官製」機関:女性センター
┃「政策」:男女共同参画
◇ラディカリズムの(/に対する)強度
┃リブの関与/への評価・位置づけ
┃直接行動(主義)との距離
◇自律的主体としてのアクチュアリティ
┃上下(指導/受動)×水平(「平場」)
┃権威・専門性に対する批判精神(の強度)

◆問題となる/すべきこと
◇組織化/実践における様式の違い→成果の質の違い
┃どちらの・どの点を重視して活動するのかを明確にする
◇従来の日本の女性史研究の制約/限界をどう突破するか・変革するか
┃現在/これからのフェミニストヒストリーの実践に託された課題


1 女性史からつくるフェミニストヒストリー

◆アーカイヴ/ライブラリー
◇収集・保存・修復・整理・公開
◆教育・研究・学習
◇学生・院生・ジャーナリストの利用
◇学生・生徒に向けた研修
◇社会教育・地域住民への公開講座
◆活動拠点
◇運動の土壌を培養する
┃人がつながる:ネットワーク形成
◇運動の態勢を整える
┃行動の準備
┃モノをつくる
◆フェミニストアーカイヴィング
_______________
①女性史のためのアーカイヴ/ライブラリー
②フェミニズムのためのアーカイヴ/ライブラリー
……重複・交差/差異:アーキヴィスト/ライブラリアンの主体性や活動範囲も同様に
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◇②に力点を置いてアーカイヴ/ライブラリーを捉え直してみる
┃フェミニストパースペクティヴに基づいたアーカイヴィング【☆Keyword】
‐アーカイヴされた資料の「位置付け直し」を含む
└大文字のアーカイヴにおける「女性」関係資料の位置付けを検証する→問題を是正する/差異化を図る
┃オルタナティヴなアーカイヴィング:権威的・男性主義的支配の外に存在
◇未来志向のアーカイヴ【☆Keyword】
┃フェミニズム運動のなかで/による社会変革の過程で/のために機能する
┃フェミニストヒストリーのパースペクティヴのもとで
┃アーキヴィスト・ライブラリアン・アクティヴィスト・利用者=「同志」的関係
‐いかに協同してアーカイヴを充実化させていけるか
+いかに協同して運動を強くしているか――並行した課題に取り組む

2 イギリスの女性史関係機関のなかから

◆代表的機関
◇〈Women's Library〉[ロンドン]
◇〈Feminist Library〉[ロンドン]
◇〈Glasgow Women's Library〉[グラスゴー]
◇その他地方にも様々な自律的グループが――大学/自治体/関連機関と連携
*上掲【講義資料】(神戸市外国語大学:2024年度・2025年度)参照
◆アーカイヴィング実践において不可避的に付随する「政治性」の問題:ロンドン〈Feminist Library〉のアーカイヴィング実践から
◇フェミニストアーカイヴィング:自らの政治性を自覚し、それに基づいて活動を展開している。
┃その特性/条件をふまえたうえでマネジメント
‐不確定性(変動性):ストロングポイント・ウィークポイント両面がある
‐自己検証/相互検証(批判)が容易:頻繁に行なう必要がある
◇対比して:従来の専門的アーカイヴィング:自らの政治性を自覚していない
┃中立的・客観的・普遍的という前提で行なっている
‐無条件に保持している家⽗⻑制的・権威主義的(+国民国家単位の)価値観:男性専門職がそれに気付くのは困難
‐検証の機会がほぼない

3 収集・保存

◆カタロギング手法
◇〈Glasgow Women's Library〉の事例
―❝GWLはデューイ十進分類法〔1873年に創案され、世界的に普及している古典的な図書分類法〕を使用していないことを知っていますか? その代わりに私たちのコレクションには、フェミニスト分類方式が採用されています。それはバイアスを是正し、女性たちの声を中心に置き、情報をすべての人に対してよりアクセシブルにするために創案されたものです。❞(訳:村上潔)(Glasgow Women's Library/2026年2月12日/Facebook/https://www.facebook.com/reel/1934277253963460/)
◆分類カテゴリ変更
◇〈Feminist Library〉の事例
┃ボランティアスタッフが自らの判断で所蔵資料の所属カテゴリを変更する
‐個⼈の価値観に基づく主体的な判断が即座に反映される
└通常の専門的なアーカイヴ/図書館業務ではありえない
*Charles, Anaïs, 2016, "The Feminist Library: A Short Film [2016]", Anaïs Charles: YouTube, December 1, 2016, (https://www.youtube.com/watch?v=2lvNL_O6F78).
◆主体的な「政治的」判断
◇一般のアーカイヴ/図書館のアーカイヴィング/カタロギング/分類システムが「客観的・中立的・普遍的」とされていることが相対化される
┃そこにはすでに/必ず「政治性」が介在していることを認識させる
‐そのうえで「いまの・自分たちの」政治性を現場に反映させる
◇コレクティヴとしての意思決定/個人の判断の尊重

◆交差性の視点の導入
◇〈Feminist Library〉の問題意識
┃イギリスにおける⿊⼈⼥性という存在の不可視性、黒人フェミニストの存在の周縁性(サブカテゴリ化された状態)を問題化する視点の導入。
‐「⼈種×性」の観点からアーカイヴ/図書館資料の性質を再検証する必要を指摘する
‐フェミニズム運動内での無自覚的人種主義を問題化する

4 活用・展開

◆女性史のアーカイヴィング――そこから……
→「共有」と「実践」へ
◇サークル活動/ワークショップ/政治的キャンペーン/抗議行動/アクティヴィスト支援/コミュニティ支援
┃多様なワークショップ:学習の機会の提供
‐人種的・民族的・言語的・宗教的マイノリティ
‐トランス・ノンバイナリー・クィア
┃インクルーシヴな場の設定
+サポーティヴな関係の構築
‐FLは、すべての女性に対し、ここはあなたのホームであり、あなたが好きなように使ってよいのだ、と呼びかける姿勢を打ち出している(Charles 2016)。
‐“GWL is open to all, free, and friendly!”(GWLトップページ:https://womenslibrary.org.uk
‐GWLは、「不平等の是正」を活動の中心理念としている(https://womenslibrary.org.uk/discover-our-projects/addressing-inequalities/)。
┃学生・院生の研究利用
→それをきっかけにボランティアスタッフに
→研究成果の還元

5 おわりに

◆女性史(アーカイヴィング)→フェミニストアクティヴィズム→より多様性・包摂性・自律性の強いアーカイヴィング実践/コミュニティ構築へ
◇可能性/ポテンシャル:
┃「ジェンダー史」の枠組みの拡張
‐「男女」の「比較」という定型を超える
‐交差性の要素が介在することによる変革
┃「世代」の壁を無効化する
‐第2波~3波~現在の連続性
‐参照・批判・変革:アーカイヴを活用して展開するリアルタイムの実践
┃「歴史」を取り扱う人間の特権性を解体する
‐研究者/専門家(高学歴男性中心)に委ねない
‐マイノリティ当事者+アクティヴィスト+アーキヴィスト/ライブラリアンの自律的協同作業による現在的歴史実践
└成果をコミュニティに還元→メソッドを広範に共有化
◆結論
◇[a]「女性史」を「女性史」として完結させるべきではない【☆Key Phrase】
┃固定化・硬直化させない意識と営みが必要
‐「研究利用する」だけでは不十分:女性史カテゴリの再生産にしかならない
‐「外側」からの積極的介入が必要
◇[b]その(拡張・展開の)営みはフェミニズム実践として機能する
┃より公正に機能するよう試行錯誤が必要
‐教育者・研究者以外の多様なアクターといかにしてつながれるか
◇具体的にできることは?
┃DIYアーカイヴィング
┃自主アーカイヴの設立・運営
┃公共図書館・大学図書館を(外から/中から)「動かす」(村上 2025

6 付論:当日言及したことのメモ

◆女性史/ジェンダー史/フェミニストヒストリー
◇比較図式1
‐女性史:固定的・単線/加算的
‐ジェンダー史:均衡的・俯瞰的
‐フェミニストヒストリー:介入的・作動的
◇比較図式2
‐女性史:教育/学習のツール
‐ジェンダー史:構造分析のツール
‐フェミニストヒストリー:変革/運動のツール
◇付記
┃女性史の研究/関連実践の「内部」において、こうした条件(制約)を変革しようとする意欲的な営みが行なわれてきた/いることは尊重したうえで、その意識や動向は本当に「女性史」の枠内にあるものなのか?という問いは必要であると考える。

7 質疑応答で言及した内容

◆アート/文化部門の労働者の声を集めて→労働運動につなげる/労働運動の戦略・組織論を充実化させる
◇イギリスの事例
https://notesfrombelow.org/issue/dispassions-class-struggle-in-arts-culture
◆自律的クィア[Queer]アーカイヴの事例:イギリス
◇〈ラヴェンダーメニス〉[Lavender Menace Queer Books Archive]:https://lavendermenace.org.uk
┃◇Goh, Katie, 2023, "'We Hid Our Stock in Case We Were Raided': Scotland's Pioneering LGBTQ+ Bookshop", Guardian, July 25, 2023, (https://www.theguardian.com/books/2023/jul/25/scotland-lgbtq-bookshop-lavender-menace-queer-books-archive).
◆運動のなかで生み出され・運動のために機能するオルタナティヴなアーカイヴ/ライブラリー
◇「インフォショップ[Infoshop]」:https://www.arsvi.com/2020/20240510mk.htm

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■3. 開催報告/参加者の反応

開催報告

◆村上潔:2026年3月6日
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本日のゲスト講義、おかげさまで無事終了しました。
・15:00~17:00 講義
・17:00~17:30 質疑応答
でした。その場の判断で、「女性史とフェミニズムの関係」といった(実は厄介な)基礎的な話から始めることにしたので、予定以上に私が長時間喋ることになり、最後のほうはみなさん結構ぐったりしたかと思います。すみません。
学外から参加されたかたも数名おられ、熱心に質問・コメントをしてくださいました。励みになります。またそれによって、私もこれまで注目していなかった課題の面白さに気付くことができました。感謝です。[…]
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参加者の反応

https://x.com/Illich0794/status/2029917200845525466(2026年3月6日)

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■4. その他

関連文献の紹介


関連企画の紹介



*作成:村上 潔Murakami, Kiyoshi
UP: 20260306 REV: 20260406
生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築  ◇アーカイビング――障害/クィア/BIPOC/フェミニズム(海外)  ◇全文掲載
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