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大学図書館はいかにしてジンカルチャーのエートスを保全しうるか
――限界を認識し可能性を模索する

How Can Academic Libraries Preserve the Ethos of Zine Culture?:
Recognizing Limitations and Exploring Possibilities


村上 潔Murakami, Kiyoshi
2025年11月29日 於:京都精華大学情報館
*《ZINE TALK 03》におけるゲストトークの報告資料

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last update: 20260215

◎Index

書誌情報
この資料について
1. はじめに
2. 報告内容
3. 付属資料:選書リスト
4. 開催報告/参加者の反応
5. その他

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■書誌情報[Bibliographic Information]

◇村上潔 2025 「[報告資料]大学図書館はいかにしてジンカルチャーのエートスを保全しうるか――限界を認識し可能性を模索する」(ゲストトーク:《ZINE TALK 03》2025年11月29日/京都精華大学情報館),arsvi.com:立命館大学生存学研究所,(https://www.arsvi.com/2020/20251129mk.htm)
◇Murakami, Kiyoshi, 2025, "How Can Academic Libraries Preserve the Ethos of Zine Culture?: Recognizing Limitations and Exploring Possibilities" [Presentation Materials for the Public Talk Event], ZINE TALK 03, November 29, 2025, arsvi.com, (https://www.arsvi.com/2020/20251129mk.htm). *Lang.: Japanese

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■このページについて

このページは、
_______________
◆《ZINE TALK 03》
日時:2025年11月29日(土)15:00~(開場 14:30)
会場:京都精華大学情報館2Fコミュニティスペース
トークゲスト:村上潔(立命館大学生存学研究所客員研究員)
https://johokan.kyoto-seika.ac.jp/event/event-15802/
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における報告資料の情報に加筆修正を施し、再構成(関連情報を追加)したものである。
*随時更新

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■1. はじめに

企画の告知に掲載されたプロフィール

■村上 潔(むらかみ・きよし)
1976年、横浜市生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)。立命館大学生存学研究所客員研究員・先端総合学術研究科非常勤講師。専門は現代女性思想・運動史。著書に『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版/2012年)ほか。2016年より本格的にジンカルチャーの研究に着手し、調査・翻訳・論文/解説文執筆・講演・国際シンポジウムでの報告・メディアへの知見提供・ワークショップのゲストファシリテーター、等の活動を行なう。今回のトーク内容と特に関連する著作として「【連載】ジン[Zine]、アーカイヴィング、アクティヴィズム――その連動する展開がひらく地平(全4回)」(『AMeeT』/2023年/https://www.ameet.jp/digital-archives/4628/)がある。
*Webページ:https://www.arsvi.com/w/mk02.htm

本報告に関係する文献:村上潔

村上潔 [2018] 2019 「ジン[Zine]についての簡潔な解説【第7稿】」,arsvi.com:立命館大学生存学研究所,2019年11月7日,(https://www.arsvi.com/2010/20180906mk.htm
◇20191216‐20220831 「ジン[Zine(s)]――その世界の多様性と可能性(1)」(事項ページ)
◇20220905‐ 「ジン[Zine(s)]――その世界の多様性と可能性(2)」(事項ページ)*随時更新

20231111 「【連載】ジン[Zine]、アーカイヴィング、アクティヴィズム――その連動する展開がひらく地平(全4回)第4回:図書館員・アーキヴィストたちが力を合わせて積み上げてきた場と仕組み」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人NISSHA財団),2023年11月11日,(https://www.ameet.jp/digital-archives/4939/) 【紹介】【言及】
◇20230803 「【連載】ジン[Zine]、アーカイヴィング、アクティヴィズム――その連動する展開がひらく地平(全4回)第3回:〈56a インフォショップ〉のDIYアーカイヴィング実践(後編)」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人NISSHA財団),2023年8月3日,(https://www.ameet.jp/digital-archives/4758/
◇20230701 「【連載】ジン[Zine]、アーカイヴィング、アクティヴィズム――その連動する展開がひらく地平(全4回)第2回:〈56a インフォショップ〉のDIYアーカイヴィング実践(前編)」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人NISSHA財団),2023年7月1日,(https://www.ameet.jp/digital-archives/4719/) 【紹介】
20230510 「【連載】ジン[Zine]、アーカイヴィング、アクティヴィズム――その連動する展開がひらく地平(全4回)第1回:収集・保存・公開における本質的課題」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人NISSHA財団),2023年5月10日,(https://www.ameet.jp/digital-archives/4628/) 【紹介】

20220228 「ジン・カルチャーの現在的展開とその意義――フェミニスト・コミュニティ・アクティヴィズムの視点からの展望」,『立命館言語文化研究』33(3): 39-51
◇20210620 「ジンというメディア=運動とフェミニズムの実践――作るだけではないその多様な可能性」,田中東子編『ガールズ・メディア・スタディーズ』,北樹出版,130-148【第9章】
◇20200324 「DIYの文化シーンとアクセシビリティ――その精神・実践・意義」,Webマガジン『AMeeT』(一般財団法人NISSHA財団),2020年3月24日,(https://www.ameet.jp/column/2930/
◇20200227 「アナーカ・フェミニズムにおけるジン――ジンが教育/スペースであること」,『現代思想』48(4): 160-168
 *2020年3月臨時増刊号《総特集:フェミニズムの現在》
◇20190425 「アナーカ・フェミニズム」,『現代思想』47(6): 170-173
 *2019年5月臨時増刊号《総特集:現代思想43のキーワード》
◇Knight, Rosie, 2018, "How Zine Libraries Are Highlighting Marginalized Voices", BuzzFeed News, December 30, 2018, (https://www.buzzfeednews.com/article/rosieoknight/zines-libraries-marginalized-voices).=2019,村上潔訳,「ジン・ライブラリーはいかにして周縁化された声を強調しているのか」,arsvi.com:立命館大学生存学研究所,2019年8月29日,(https://www.arsvi.com/2010/20190829mk.htm
◇西山敦子(DIRTY)×村上潔 20160331 「ジンを「わたしたち」のものとして生かすために――フェミニスト・ジンへのアプローチとその潜在的可能性」(特集3:フェミニスト・ジンの現在),立命館大学生存学研究センター編『生存学 Vol.9』,生活書院,196-226

◆国際パネルディスカッションのパネリスト報告
◇2020年7月22日 [Panel]“Zine Libraries and Zine Librarianship”
パネリスト:Rhonda Kauffman(Chair)・Kiyoshi Murakami・Marya Errin Jones・Ziba Perez Zehdar
UTC 02:00~03:00(日本時間=22日11:00~12:00) オンライン開催(Zoom)
*〈Zine Librarians unConference〉の活動の一環として開催されたワンデーイベント《International Zine Library Day 2020》(7月21日UTC 20:00~22日UTC 04:00)内の企画

京都精華大学でのトークということで

◆過去に担当したトーク
◇2021/04/26 「[ゲストトーク]生存・労働・再生産をめぐる運動の現場で機能する自律的メディア――ジン・カルチャーが直接行動とその支援において果たす役割」 [ゲストスピーカー]
13:30~15:00 オンライン開催(Zoom)
京都精華大学ポピュラーカルチャー学部2021年度《応用実習(メディアづくり)》(担当:安田昌弘・西谷真理子)
◇2013/06/18 「私の研究と活動の変遷――通う、出会う、歴史に潜る」 [ゲスト講師]
京都精華大学大学院人文学研究科2013年度《人文学特殊講義3》(担当:安田昌弘)

◆最初に強調しておきたい原則的なこと
◇ジンは商業出版の下位メディアでも代替手段でもなく、それへの対抗手段となるメディアである。
◇ジンは(メジャーな/プロの)アーティストになるための道具/手段ではない――純然たるアマチュアリズムに基づくものである
◇ジンカルチャーは「評価」を競う/定めるものではない――そうした(世間一般の)価値観に対抗する(ための)ものである
◇ジンカルチャーはインディペンデントで、アンダーグラウンドで、コオペラティヴ[cooperative]な、カウンターカルチャーである。
◇ジンカルチャーは、いかなる文化的・芸術的・学術的・政治的・社会的「権威」にも属さず、属することを拒否する。

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■2. 報告内容

■0 はじめに

◆矛盾・葛藤・不可能性
①理念的に
②機能的に
③特性的に
◇いずれも部分的・漸次的に「克服」・「解消」していける潜在的可能性はある
┃そのための(機構的)条件は何か
┃どのような視座と問題意識(の再設定)が必要か
┃誰(複数の立場)がいかなる行動するのか

◎言い換えると――
◆「権威/権力(的組織)」による文化/運動の「回収・搾取・簒奪」という見方――は依然として重要であり必要である
◇ただそのうえで――
┃その「先」に考えられることは何か
┃その「先」に行くために何が必要か
◇(自律文化の担い手側による)アーカイヴ/ライブラリーの「主体的」「活用」はいかにして可能か――という問い
┃とりわけ現在の大学という機関において
‐「大学」(ならびに学術研究)そのものの「自治」の危機が深刻化している状況を前提としつつ

■1 大学のなかにラディカルな自律的アーカイヴ/ライブラリーをつくる

◆必要な力
A アーキヴィスト・ライブラリアン:専門職員
B 研究者・学生
 (×/↑↓)
C 外部(一般)のジンスタ[Zinester]/ディストロ[Distro]/各種自律的制作者
D 外部(一般)のアクティヴィスト
――による全方位的・相関的アプローチ
◇AB×CD:利害対立の可能性はある
┃A-B間・C-D間でも利害・志向が異なる場合がある
◇協調・協同の関係を築くところから始まる
┃そのためにもC・Dに対してアクセシブルな環境を大学(図書館)が担保しておく必要がある

◆アプローチの方法論
◇フェミニストアーカイヴィング[Feminist Archiving]・フェミニストライブラリアンシップ[Feminist Librarianship]
◇「女性史」からの流れと展開
┃女性の歴史:そもそも「正史」の対象外=アーカイヴィングの対象外
‐女性史[Women's History]
 └ジェンダー史[Gender History]
 └フェミニストヒストリー[Feminist History]
┃フェミニストアーカイヴィング
‐アーキヴィスト/フェミニストによる自律的実践
‐アーカイヴ・アーカイヴィング・歴史研究の既存の構造を組み換える
◎参考
◇神戸市外国語大学2025年度前期科目《ジェンダー論入門》(全15回)
「アーカイヴィングから見るジェンダー(2nd Round)」(担当教員:村上潔)
◇神戸市外国語大学2024年度前期科目《ジェンダー論入門》(全15回)
「アーカイヴィングから見るジェンダー」(担当教員:村上潔)
◇神戸市外国語大学2021年度前期科目《ジェンダー論入門》(全15回)
「女性史/ジェンダー史/フェミニスト・ヒストリー――学び・記録し・共有し・活用する」(担当教員:村上潔)
◇フェミニストライブラリアン・フェミニストアーキヴィストの存在
┃アメリカ・イギリスの公的図書館・大学図書館にあるジンライブラリー(ジンコーナー)、ならびにそこで行なわれるジンに関する取り組み(ワークショップ/リーディングイヴェントなど)は、フェミニストの職員が起ち上げて管理・運営しているケースが多い。
‐ジンライブラリアンのネットワークでは、フェミニスト規範が運営の前提となっている。
└それが必要でありかつ有効であるということ
‐組織
・〈Zine Libraries Interest Group〉
https://www.zinelibraries.info/about/
・〈UK and Ireland Zine Librarians〉
https://uizl.wordpress.com
‐文献
・Fox, Violet, Kelly McElroy, Jude Vachon, and Kelly Wooten, 2017, "Each According to Their Ability: Zine Librarians Talking about Their Community", Research and Writings, November 15, 2017, (https://hdl.handle.net/10161/16441).

■2 エシックス

◆5本の柱
――ジンカルチャーつまりDIY文化の実践としてのアーカイヴィング/ライブラリー活動に必要な要素
◇①DIYエシックス[DIY Ethics]
┃反権威主義[Anti-Authoritarianism]
┃アンダーグラウンド
┃自律性[Autonomy]
◇②フェミニストエシックス[Feminist Ethics]
┃被抑圧性/被搾取性/ヴァルネラビリティ[Vulnerability](の共有)に基づく親密的関係構築と草の根の連帯
┃男性支配に対する抵抗
┃家父長制的規範・価値観の解体[Anti-Patriarchy]
◇③アーカイヴァルエシックス[Archival Ethics]
┃収集・保管・カタロギングにおける「公正さ」
┃(国家的)「正史」構築に従順に従事することとは異なる社会正義的倫理
‐反植民地主義[Anti-Colonialism]・反帝国主義[Anti-Imperialism]・脱植民地化[Decolonization]
◇④ライブラリアンエシックス[Librarian Ethics]
┃オルタナティヴな資料を積極的に受け入れ・公開していく姿勢
┃検閲・禁書といった政治的介入に対する抵抗
┃すべての利用者に開かれた存在であることを追求
◇⑤ソーシャルムーヴメントエシックス[Social Movement Ethics]
┃「業務」であると同時に――それ以上に――「社会運動」であるという意識
┃社会変革のための活動であるという認識に基づく行動規範
◇以上の複合的展開が、活動の質を決定するカギとなる。
┃単なる理念にとどまらせない、現実的な計画と行動が必要。

■3 アーカイヴ/ライブラリーという「場」

◆前提となる問題設定
◇アーカイヴ:[a]公的(公立機関/大学/ミュージアム)・[b]私的/民間(個人運営/コミュニティベース/各種社会運動拠点)――相互がカヴァーできない面を補完しあう連携状態が理想的
◇ライブラリー:異なる世代・属性・価値観の人々と、異なる年代・文化の資料が混交する場――複層的な相互作用によって民主的/包摂的運用が進む状況が理想的
◇上記の(潜在的)可能性を、いかに実質的に高められるかが課題。

◆論点1:アーカイヴィングにおける「時間」をめぐる3つの問題
◇①(超)短期的メディア[ジン] × 長期保管[アーカイヴ]:時間の(幅の)対照性
┃運用の難しさ
┃アーカイヴにはオルタナティヴな役割が求められる
‐機能的・業務的な変化の必要性
◇②世代的段階区分:フェミニズムにおける(第1波+)第2波 × 第3波以降
┃価値観・立場性の異なり
‐どう調整するか/乗り越えるか
└ライブラリアン(+自律的アーキヴィスト)はその対応を担いうる
◇③現在・未来志向[ジンの制作・共有] × 過去・歴史志向[アーカイヴ]:ベクトルの両極性
┃「歴史化」する使命[アーカイヴ] × 「“過去のもの”にされてたまるか!」[ジンカルチャーの主体]
‐どう両立させるか/組み合わせるか
└ライブラリアン(+自律的アーキヴィスト)はその対応を担いうる

◆論点2:アーキヴィスト/ライブラリアンの主体的行動によって実現できること
◇アーカイヴ/ライブラリーをアクティヴィズムの強化拠点とする
┃学習・調査・研究利用にとどまらせないこと
‐「展示」・「教育」機能に加えて、所蔵物をアクチュアルに活用する。
└アクティヴィズムをテーマとした/アクティヴィストのためのワークショップの開催など
◇モノ(資料)・知・人のハブとして場を機能させる
┃多様な属性/関心をもつ人々を積極的に受け入れる → 有機的な関係性を構築する
‐その循環の流れを作り、維持する。
└人々がその場と機能を活用して主体的な活動を展開できる状態が理想

◆論点3:ジェンダー/フェミニズムという展開軸――フェミニストアーカイヴィングの実践/フェミニストライブラリアンの活動を支える力学
◇オルタナティヴなアーカイヴィングの可能性は(いつも)ここから生まれてきた
┃その継承
┃――に加えて――現状のシビアな(バックラッシュ)状況への対応
◇インターセクショナリティ[交差性]へのアジャスト
┃性+人種・階級・障害……
┃アイデンティティに関する認識の更新

■4 フェミニストジンと/のアーカイヴィング

◆フェミニズムにおける「アーカイヴ的転回」
*文献:
・Eichhorn, Kate, 2013, The Archival Turn in Feminism: Outrage in Order, Philadelphia: Temple University Press.
https://tupress.temple.edu/books/the-archival-turn-in-feminism
◇前提となる区分
┃①第1波:19世紀末~20世紀初頭:Women's Suffrage Movement/サフラジェット[Suffragette]
‐資料一点一点に高い歴史的価値
└大規模な権威あるアーカイヴで厳重に保管される対象
┃②第2波:ウーマンリブ[Women's Liberation Movement]
‐運動のなかで各地に小規模な自律的アーカイヴが生まれる
└日本では:1980年代以降、自治体の女性センター(のち男女共同参画センター)等の機関に、その資料が移管/寄託されていく流れ。
◎参考
・栄井香代子・竹村正人・村上潔 20070331 『「平成18年度京都市男女共同参画講座受講生参考資料(女性解放運動関係)収集調査」報告書』,NPO法人京都人権啓発センター・ネットからすま,28p.(A4版)[付:資料目録(22p.)|提出先:京都市女性協会]【Web掲載:20201025】
https://www.arsvi.com/2000/20070331nk.htm
・村上潔 2021 「地域のウーマンリブ運動資料のアーカイヴィング実践がもつ可能性――二〇〇〇年代京都市における活動経験とその先にある地平」,大野光明・小杉亮子・松井隆志編『[社会運動史研究 3]メディアがひらく運動史』,新曜社,72-94
https://www.arsvi.com/2020/20210715mk.htm
+女性史の講座/研究所をもつ大学が資料の受け入れ先に
┃③第3波以降(1990年代~):ライオットガール[Riot Grrrl]/アンダーグラウンド文化シーン
‐何らかのかたちで(特定のアーティストの影響力等によって)注目が集まり、価値が認められれば、集中的に収集され、所蔵対象となる。そうでない場合、スルーされる度合いが高い。
└その文化の「内側」にいたアーキヴィスト/ライブラリアンの存在の有無がカギとなる
┃④2000年代以降~現在のジン
‐収集の容易さゆえ、現時点では最も集中的な収集対象となる。
└館内でのジン制作ワークショップの開催等により、数の「積み上げ」は容易(=同時代資料の「横軸」は拡張する)だが、そこに力点を置くと「歴史性」=「縦軸」を構築することが難しくなる。
◇②×③④間の断絶:現場はどう対応するか
┃アーキヴィスト/ライブラリアン個人の能力/努力に頼るのではなく、研究者・アクティヴィストが積極的に介入していく必要がある。
◇③×④間の断絶:本来は問題とすべき点だが、とりわけ日本では③に関する認知が低いため、問題になりにくい。
┃それゆえ改めて意識することが必要
◇(特定の段階に)「特化」するのか(縦軸・横軸を広くカヴァーする)「総合型」を目指すのか
┃当然ながら後者はハードルが高い。どんなアーカイヴ/ライブラリーにも(空間的・機能的・経済的・人員的)制約・限界がある(加えて上部機関からの「圧力」も)。それらを鑑みたうえでどうマネジメントするか。
‐ひとつの機関がすべてを担う(担おうとする)必要はない。他機関との連携・役割分担を前提にした運用が、現実的には求められる。
└ジンに関わるアーキヴィスト/ライブラリアンの協同関係を恒常的に担保する仕組みが(日本では)必要となる

■5 おわりに――強調しておくべき点ならびに提言

◆単一的・単線的(歴史)物語の構築は不可能であり不正義であること
◇「いまの」ジンカルチャー、「大学生の」ジンカルチャー、「文化的な/アーティスティックな」ジンカルチャーを自明視・特権化しないこと。歴史的経緯を脱政治化しないこと。
┃表層的なシーンの外側・内側にある別様の物語を構築(再構築)する
‐アーカイヴ・ライブラリーにはそれを実現できるポテンシャルがあることを意識する

◆「現場」でできること/するべきこと
◇①「ボーダー」を低くする →(複数の)「道」を開通させる
┃場を取り巻く多様な人々が取り結ぶ関係を活性化・流動化させる
‐ボランティアとして運営/作業に関わる人が増える
‐アーカイヴィングや資料の活用に際して有効な助言・知見を集めることができる
◇②アーカイヴィングと公開・活用に関する、専門性ならびにエシックスの基準を向上させる取り組みを進める。
┃世界のジンアーキヴィスト/ライブラリアンたちの動向に追いつくための努力
◇①②両面を両立させること
┃それが実現可能にする諸条件を確保すること

参考文献の補足

*上記文面に記載していないもの
◇Ingleton, Holly, 2017, "Book Review: The Archival Turn in Feminism: Outrage in Order", Feminist Review, 115(1), 171-172.
https://doi.org/10.1057/s41305-017-0032-4
◇Lusty, Natalya, 2014, "[Book Review] The Archival Turn in Feminism: Outrage in Order", Archives and Manuscripts, Volume 42 (3): 304-305.
https://doi.org/10.1080/01576895.2014.959537
◇rebelsister, 2017, "Book review: The Archival Turn in Feminism", Echo Zines, December 29, 2017, (https://echopublishing.wordpress.com/2017/12/29/book-review-the-archival-turn-in-feminism/).

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■3. 付属資料:選書リスト

◇村上潔 2025 「[報告資料]大学図書館はいかにしてジンカルチャーのエートスを保全しうるか――限界を認識し可能性を模索する【選書リスト】」,arsvi.com:立命館大学生存学研究所,2025年11月29日,(https://www.arsvi.com/2020/20251129mk-bl.htm
◇Murakami, Kiyoshi, 2025, "[Selected Books List] How Can Academic Libraries Preserve the Ethos of Zine Culture?: Recognizing Limitations and Exploring Possibilities (Presentation Materials for the Public Talk Event: ZINE TALK 03, November 29, 2025)", arsvi.com, (https://www.arsvi.com/2020/20251129mk-bl.htm).

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■4. 開催報告/参加者の反応

開催報告

◆京都精華大学 情報館[2025年11月29日]
https://x.com/johokan_seika/status/1994687619960344863

参加者の反応

◆@Offshore_mcc[2025年11月30日]
https://x.com/Offshore_mcc/status/1994787495071158719

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■5. その他

関連文献の紹介

◇Baumel, Avery, 2023, "Learning to Draw with the Barnard Zine Library", Bwog: Columbia Student News, October 24, 2023, (https://bwog.com/2023/10/learning-to-draw-with-the-barnard-zine-library/).
◇Cook, Mary, 2024, "Zine Making Is for the People: An Inspirational Time at the Barnard Zine Library", Bwog: Columbia Student News, November 21, 2024, (https://bwog.com/2024/11/zine-making-is-for-the-people-an-inspirational-time-at-the-barnard-zine-library/).
◇Jones, Daniel P., 2024, "Anti-Frontiers in Zineing: Zines as Process & the Politics of Refusal", GeoHumanities, 10(2): 407-422.
https://doi.org/10.1080/2373566X.2024.2418852
◇Violet, 2025, "Student Zine About Zine Libraries", Zinelibraries.info, December 16, 2025, (https://www.zinelibraries.info/student-zine-about-zine-libraries/).
◇Zine Librarians Interest Group, 2015, Zines in Libraries: Collecting, Cataloging, and Community, ALA Annual 2015, June 2015, (https://www.zinelibraries.info/wp-content/uploads/2016/07/2015-06-26_Zines-in-Libraries-preconference-handout.pdf).
*cf. https://www.zinelibraries.info/running-a-zine-library/zine-cataloging/

◇Cooper, Lilith (Lea), 2023, An Archive of Propaganda from a Mad People's Uprising, Scottish Mental Health Arts Festival, September 2023, (https://www.mhfestival.com/explore/revolution/lilith-lea-cooper-an-archive-of-propaganda-from-a-mad-peoples-uprising/).
◇ZLuC 2025 Organizing Team, 2025, "Statement from the ZLuC 2025 Organizers" (Zine Librarians unConference 2025), Zinelibraries.info, (https://www.zinelibraries.info/wiki/zluc2025/).

関連企画の紹介

◆《Reimagining the Archives with Zines: A Conversation with Mariame Kaba》
November 4, 2025
Avery Research Center, College of Charleston (Online)
https://libcal.charleston.edu/event/15485396
―“Join the Avery Research Center for a virtual conversation with Mariame Kaba about her Archival Activations zine series and her archival orientation to pull from the past to make a better future. After the conversation, a Q&A with the audience will follow.”
◆《Information Lives in DIY Culture》
November 15, 2025
at SODA, Manchester Metropolitan University
https://mediadigitalculture.mmu.ac.uk/2025/09/01/new-event-information-lives-in-diy-culture-15th-november-2025/
―“This day-long event, convened by Dr Kirsty Fife, explores the relationship between DIY cultures (grassroots and political cultures and practices) and information, archives, libraries and heritage.”


*作成:村上 潔Murakami, Kiyoshi
UP: 20251129 REV: 20260105, 10, 15, 0215
生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築  ◇アーカイビング――障害/クィア/BIPOC/フェミニズム(海外)  ◇全文掲載
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