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京都ALS嘱託殺人事件・山本被告の公判判決について

◆NPO法人ある 2023/12/19 「京都ALS嘱託殺人事件・山本被告の公判判決について」

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last update:20240121
◆NPO法人ある 2023/12/19 「京都ALS嘱託殺人事件・山本被告の公判判決について」

■本文

 私たちは、ALSを含む障害当事者とその支援者、研究者等で構成される団体です。障害のある/なしにかかわらず誰もが当たり前に生きられる社会に向けて、重度の障害を持つ人たちと一緒に、地域生活の支援や権利擁護の活動に取り組んでいます。  2023年12月19日、京都ALS嘱託殺人事件の公判で、京都地方裁判所は山本被告に対して懲役2年6か月の判決を言い渡しました。山本被告が林優里さんの殺害に関与した事実が認められ、責任の重さから執行猶予なしの実刑判決が言い渡されたことは当然です。一方で、山本被告が犯行を否認し続け、殺害の動機などが最後まで明らかにならなかったことは非常に残念です。  この度の判決によって、京都ALS嘱託殺人事件に対する裁判所の考え方が明らかになりました。裁判所は、ALS患者の命を軽んじていると言わざるをえません。判決文では、林優里さんが「ALSに罹患しており、日々自らの命を絶つことを望みながら病状上それをなし得ず、その手段として他者に自らの殺害を依頼するほかなかったこと」や、「被害者が苦痛なく死亡したとうかがわれること」などから量刑を軽くするように酌んだと書かれています。これではALSの人の生活の在り様をとらえきれておらず、誤った理解が広がってしまわないかと深刻に憂慮します。さらに、「日々自らの命を絶つことを望みながら病状上それをなし得ず」や「被害者にとっては他に命を絶つ手段がなかったにせよ」など、あたかも林優里さんが日頃から死を望んでいたかのように書かれたことも問題です。  林優里さんは、ALSの治癒を心から望んでおり、支援者も林優里さんが生きることに向けて熱心に取り組み日常を支えていました。それなのに、被告人らは医師の立場を利用して林優里さんの思いを死へと向かわせ、生きる希望を断ち切り、医療の知識を悪用して命を奪いました。ALSの人に限らず、苦しいときや辛いときに「死にたい」と表現することは珍しくはありません。被告人らの行為は、一面的な林優里さんの苦悩を利用し死へと積極的に仕向けて教唆し、被害者の承諾を得て行われた殺人です。「真摯な嘱託」と言うべきではなく、量刑をゆるめる理由にはなりません。林優里さんが苦痛なく死亡したとうかがわれるのは、医療の知識を用いて殺害をした悪質性の結果です。だから、「苦痛なく死亡した」とうかがわれることが、量刑をゆるめる理由にはならないはずです。  判決文からは、被害者がALSだったことが今回の量刑の主な理由とされていることがわかります。さらに、なぜ事件が起こったのか、その原因や理由については、山本被告が反省の色も見せずに否認し続けたため、未だに明らかにされていません。裁判所が事実を誤認したままでは、ただALSであるということが殊更に強調されて、適切な司法判断がなされないおそれがあります。2024年1月から始まる大久保被告の公判及び大阪高等裁判所における二審では、しっかりとALSの人たちの視点から事実を捉え、適切な司法判断がなされることを強く望みます。
2023年12月19日 NPO法人ある
*作成:中井 良平 
UP: 20240121 REV:
介助・介護  ◇京都府におけるALS女性嘱託殺人事件  ◇病者障害者運動史研究 
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