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山本勝美『旧優生保護法』の現状とご報告

山本 勝美 20230130

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last update:20230919


■目次


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はじめに

立命館大学客員研究員の「山本 勝美(やまもと かつみ)」です。 こちらのページでは、私が取り組んでいる「旧優生保護法」の現状と活動内容をお伝えしていきます。 2022年2月に大阪高等裁判所で「逆転勝訴」が出ていらい「旧優生保護法」の流れは大きくかわりつつあります。 全国的な盛り上がりをみせている状況をご報告していきたいと思います。
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1:2022年2月22日:最初の大阪高裁

「大阪高裁で逆転勝訴に沸く!」 ───強制不妊手術に謝罪を!

はじめに

去る2月23日朝、パソコンを開くや、以下の文が飛び込んできた! 「みなさま“おおさか旧優生保護法を問うネットワーク”事務局です。 このたびの大阪高裁での逆転勝訴に、全国の多くの方々から喜びの声を寄せていただいております。心より感謝申し上げます。 全国初の高裁判決を確定させるために、国は上告をしないで!のアクションにお力添えいただきたく、投稿させていただきます。」

上告阻止の取り組みが全国に広がって

その前日、大阪高等裁判所で、旧優生保護法による強制不妊手術被害者に対する判決が、歴史的な逆転勝訴を達成したのである。 この日のために、全国9カ所の高裁、地裁・支部の原告、弁護団、支援者たちが、この2年間、相次ぐ敗訴に打撃を受けながらもなお、被害者の、強いられた逆境に共鳴し、厚い法の壁に挑みつづけてきたのだ。 しかも勝訴判決が打ち出されるや、最高裁上告阻止!を求める声が,たちまち全国に広がっていった。 ここで先ず判決の要旨をご紹介しよう。

判決の要旨

1:旧優生保護法は、優生上の見地から、「不良な」子孫の出生防止を目的として、特定の障害や疾患がある人に一律に出生防止のため不妊手術を強制していった。 太田裁判長は、旧法による人権侵害が強烈だったことから、この法律は「著しく正義・公平の理念に反する」とし、子を産み育てる自己決定権を保障した憲法13条や、法の下の平等を定めた憲法14条に反すると判断した。 更に原告らが社会的な差別や偏見の下、相談機会や情報へのアクセスが難しく、長期にわたって提訴できなかったと指摘している。 2:一方、原告らは同種の訴訟の提起を知ってから6ヶ月以内に提訴しており、損害賠償を求める権利は消えていないと指摘している。原告らの提訴は、旧法の改正及び施行前日から20年を過ぎると損害賠償を求める権利が消える、との除斥期間の適用について「そのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する」とし、適用を制限すべきだとする判断を示した。 つまり人権侵害は強度であり、除斥期間の適用をそのまま認める事は著しく正義と公平の理念に反し、除斥期間の適用は制限されるのが相当としている。 3:結論として、3名の原告、つまり知的障害の女性と聴覚障害のあるご夫妻の3名の方々が、一審では国に対して計5,500万円の損害賠償を求めたが敗訴に終わり、控訴審判決では,裁判官は国に計2750万円の賠償を命じた。 *(2)の問題は「除斥期間」という問題に関わる。つまり、国の法律で問題が生じた場合、それから20年以内に救済措置を講ずれば、救済されるが、その年限を越えた場合、救済される事は消滅すると、民法724条後段により適用されてきたが、この度の判決では、その救済措置の対象に扱われる方向で検討された。

当訴訟の一審時の経過を振り返る

───大阪地裁における場合

「おおさか旧優生保護法を問うネットワーク」の活動について

「おおさか旧優生保護法を問うネットワーク」(以下「問うネット」)は、大阪地裁に第一次提訴が行われたことを契機に2018年に結成した。ゆるやかにつながり情報を共有するために、「問うネット」のメーリングリストへの登録を呼びかけることから活動を開始した。現在、主として、裁判支援と大阪府との交渉を行っている。

■大阪での旧優生保護法被害裁判について

〇裁判の進行状況

・大阪では、以下の5人の原告の方々(いずれも仮名)が裁判を闘っておられる。*空ひばりさん(そらひばり):知的障害のある70代女性。1965~66年頃、20代初めに優生手術を受けさせられた。2018年9月28日に提訴。 *野村花子(のむらはなこ)さんと太朗(たろう)さん:聴覚障害のある御夫妻。1974年、20代だった花子さんは、妊娠9か月目で「胎児に異常がある」と言われ帝王切開を受けた。同時に優生手術を受けさせられ、生まれた子どもは亡くなったと知らされた。2019年1月30日に提訴。 *加山まり子(かやままりこ)さんと徹(とおる)さん:聴覚障害のある70代の御夫妻。1974年、20代だったまり子さんは、出産の3日後に、説明のないまま優生手術を受けさせられた。2019年12月13日に提訴。 ・空さんと野村夫妻に対して、2020年11月30日に判決が下された。旧優生保護法は、幸福追求権(憲法第13条)や法の下での平等(第14条)に違反し、違憲であるとしたものの、「除斥期間」を適用し原告らの請求は棄却された。大阪高裁に控訴。2021年11月30日に第1回控訴審が開かれ、即日結審した。加山夫妻は、大阪地裁で係争中。

〇裁判支援への取り組み

・傍聴の呼びかけと裁判後報告集会の実施を中心に裁判支援を行ってきた。裁判期日の前後に、「問うネット」、大阪弁護団、大阪聴力障害者協会(大聴協)の三者で話し合いを持っている。コロナ禍以前は、聴覚障害や知的障害のある人達、車いすユーザーを含めて多数の人達が傍聴に駆け付け、抽選の結果、多くの人が傍聴できない状況だった。コロナ蔓延以降、傍聴席が極端に減らされたため、積極的な傍聴の呼びかけがしづらくなってはいるが、毎回満席である。 ・裁判後には、毎回、報告集会をもち、原告の方々の訴え、弁護団からの争点の説明、「問うネット」や大聴協など支援者の発言、会場からの質疑等を行っている。コロナ禍に入ってからは、Zoomでの配信も開始、多くの方が参加している。
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2:2022年3月14日:東京高裁

東京控訴審での勝訴

この日に至るプロセスまさに劇的な展開は、永く人々の胸に残るに違いない。そのためにも、ここで一幕ずつ丁寧に描いて行こう。 先ず、この年の3月14日、この日で結審を宣告されると思いきや、 (第1段) 先ず、開会後30分したところで、裁判長が「これから裁判官3者で協議する」として後ろのドアを開け、3者が姿を隠して行った。そしておよそ30分が過ぎた頃、3者が現れ、席に着く。 (第2段) そして今度は、原告団及び被告側の両弁護団長を連れて、再び楽屋、いや間違い、背景のドアを再び開けて今度は総計5名で姿を消す!!そして再度30分!! (第3段) そして今度は原告の北さんを呼んで、また裁判官3者と背景のドアを開けて姿を消す。 さて、注目すべきは、両方の弁護団長の様子です、 当然にも、両弁護団長の様子、いや、楽屋における話し合いの経過を知ろうと.注目しました。 ああ、違った態度ぶり、様子に裁判長の歴然とした対応の違い、つまり、楽屋での話し合いが手に取るように表れています、皆さん!! 関哉先生は、明るい笑顔で、後ろの弁護士方に語りかけておられます!! すると、後ろの女性弁護士方がにこにこ、しかも「ええつ!」と喜んでおられる、甲高い声まで聞こえてきますよ。 さて、他方の被告、国側の代表弁護士は席に着いたまま、うつむいている。 隣の仲間がなにか囁き、尋ねますと、俯いたまま、うなずいているーーー この両者の態度、雰囲気の違いは、もう楽屋裏の話し合い内容は、もうあらかた、原告側に有利に進んでいる! さて、今度は、最後の北さんと裁判官の話し合いがーーーそれも終わったようで、後ろのドアが開いて全員席に着く。 ちなみに、この間の楽屋裏の3つの話し合いの時間はどれも30分、このことも計画的であった事を示します。 さて、他方の被告、国側の代表弁護士は席に着いたまま、うつむいている。 隣の仲間がなにか囁き、尋ねますと、俯いたまま、うなずいているーーー この両者の態度、雰囲気の違いは、もう楽屋裏の話し合い内容は、もうあらかた、原告側に有利に進んでいる! さて、今度は、最後の北さんと裁判官の話し合いがーーーそれも終わったようで、後ろのドアが開いて全員席に着く。 ちなみに、この間の楽屋裏の3つの話し合いの時間はどれも30分、このことも計画的であった事を示します。 さて、東京高裁での判決は、ご存知の通り、原告の勝利となりましたが、 その際、判決文以上のことを、裁判官は、北さんに今後の人生を励ます言葉を伝えられました.裁判史上稀なできごとでした。 北さんに取っては、その言葉に今も感謝しています。 なお、支援者にとっては、両裁判に対する上告をしないようにとの追及をしましたが、上告はされました。 それ故、その後は議会、政府への働きかけをしています。 その最も大きな運動は、去る10月25日の日比谷野外音楽堂での全国集会でした。
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*2022年10月25日:「優生保護法問題の全面解決をめざ10.25全国集会」(日比谷野音)

全国集会は、2,000人の結集に支ええられ、12時30分~15時まで、しかも集会の後、政府・国会を中心に、都内へデモを繰り出しました。 メインテーマは「#いのちを分けない社会へ」でした。 今後の運動は、この全国組織(優生連)のもと、当事者の会、優生保護法全国弁護団と共に、進めていくことになりました。

優生保護法問題の全面解決を目指す全国連絡会(優生連)の結成

次に、優生保護法問題の全面解決を目指す全国連絡会(優生連)の結成を上げる必要があります。 ご存知のとおり、昨年10月25日、東京の日比谷野外音楽堂で、全国から約2,000人の支事者を結集して行われました。 「優生保護法問題の全面解決を目指す運動」は、こうして 当事者組織である「優生手術被害者・家族の会」(代表:北三郎・仮名)、(飯塚淳子・仮名)、そして全国優生保護法被害弁護団:共同代表(新里宏二弁護士・西村武彦弁護士)と今後共闘して国との闘いを取り組み、勝利に導く方針です。 ちなみに、優生蓮は、北は北海道から南は九州まで、各地域で現在運動を取り組んでいる団体や障害者の団体計11カ所から代表が参集しています。 最後に、優生蓮としての10・25全国集会アピールを掲げます。  優生保護法は、1948年から1996年までの半世紀にわたって、私たちの社会にはびこりました.この法律のもとで、強制不妊手術や強制中絶手術を受けた人は、厚生労働省の公表だけでも8万3千人以上に上ります。実際には、もっともっと多いとされています。 各地で裁判が起こされました.原告の多くは、2018年に仙台地裁に、被害者として初めて声を上げた佐藤(仮名)さんを取り上げた報道や全日本ろうあ連盟の実体調査で、自分がされた手術が、優生保護法によるものだったことを知りました.そして、9月26日には、それまでの25人に加えて新たに6人の被害者が訴えを起こしました。 裁判では、原告一人ひとりのすさまじい過去が浮き彫りになりました。異口同音に、「元の体に戻してほしい」を訴えました。同時に、真実を知らされたことの衝撃といきどおり、差別や偏見の中で生きてきた苦しみも詳らかになりました。 この法律をつくった国会議員や、法律を拡大・運用してきた政府にお役人はどんな思いで、原告の訴えを聞いていたのでしょう。地方裁判所の裁判官は、真剣に向き合ってくれているのでしょうか。 津久井やまゆり園の殺傷事件を始め、障害のある人に足しする虐待や差別は後を絶ちませんこうした辛く悲しい現象は、あの優生保護法に明示されていた、「この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」と無関係とは思えません。優生保護法は、障害のある人たちの人としての当たり前の権利を奪っただけではなく、社会の仕組みや人の心に誤った障害者観を含む優生思想を根付かせてしまったのです。 国会や政府、司法の問題だけではありません。残念ながら、医療や社会福祉、教育、メデイアに携わる人なども、直接手を貸したり、そこまではしなくとも見て見ぬふりをしていたのではないでしょうか。そして、ここに集う私たち自身も、この問題にどこまで真剣に向き合ってきたのでしょう。 被害者は、高齢になっています。原告のうち、すでに5人が亡くなりました。まさに命をかけたうったえです。解決に向けて一刻の猶予も許されません。被害の真相究明も苦しみの真実も、「今」でしか解らない事があるはずです。本当の調査、検証、総括も、やはりいまが大切です。 私たちは、今日、あらためて原告の声を聞き、「優生保護法は終わったけれど、優生保護法は終わっていない」事を確認しました。合わせて、根深い差別と偏見の問題や優生思想について、社会みんなで考える事、自身の問題として考える事の大切さも深めることができました。 優生保護法問題の全面解決は。誤って過去を見直し、原告と被害者の人権と尊厳を取り戻し、「命を分けない」未来を創るための大事名一歩だと確信しました。全面解決への第一歩を踏み出すに当たり、私たちは国に以下のことを求めます。
1:優生保護法に基づく原告とすべての被害者に謝罪と補償を、そして人権と尊厳の回復を求めます。 2:優生保護法問題を明らかにするために.障害団体等の代表を含む第3者機関をつくり調査・検証、そして再発防止策の確立を求めます。 3:2022年2月22日大阪高等判所・同3月14日東京高裁最高裁の判決にたいしての上告を直ちに取り下げ、合わせて全ての裁判で原告の訴えを認め、さいばんを終結することを求めます。 4:優生保護法問題の解決をめざし、差別のない。命を分けない施策の検討のため、障害当事者団体等と継続的な検討協議の場を求めます。 2022年10月25日 優生保護法問題の全面解決をめざす10・25全国集会参加者一同
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3:母体保護法による強制不妊手術の件

母体保護法下における強制的な不妊手術・中絶被害者の被害回復を求める声明

母体保護法下の不妊手術・中絶被害者と共に歩む会 私たちは、母体保護法下において旧優生保護法の優生手術等と同様の被害にあわれた、片方司さん・米田恵子さんと出会い、同様の被害に対して同様の人権回復と補償を求めるために発足した団体です。 1996年の母体保護法改定の際には、旧優生保護法の違憲性についての明確な言及はなく、被害の実態調査や検証も行われなかったばかりか、国は、その後も、優生手術は適法であったとの立場をとり続けました。その結果、旧法が社会の隅々に根付かせた優生思想は存続し、母体保護法のもとでも、障害者らに対して、本人の意思に反して、あるいは拒否することが難しい状況の中で不妊手術や中絶が行われてきました。昨年末に明らかになった北海道江差町「あすなろ福祉会」における不妊処置問題は、いまだに同様の被害が起き続けていることを示しています。 団体の発足から3年あまりたちましたが、母体保護法下における同様の被害の救済は、遅々として進んでいません。著しく不十分ながらも2019年に成立した一時金支給法でさえ、母体保護法下での同様の被害は対象外に位置付けられており、旧優生保護法問題から置き去りにされたままです。 今年2月、被害回復を訴えておられた片方司さんが、志半ばにして末期がんで亡くなられてしまいました。この問題は、時間との勝負です。 国は、旧優生保護法および母体保護法下での不妊手術・中絶被害者の尊厳と被害の回復、優生思想や障害者差別の根絶に向けた施策の実現に早急に着手するよう強く求めます。同時に、私たちは、この問題に取り組む決意を新たにするとともに、旧優生保護法の被害者及び家族、弁護団、障害者団体、支援団体の仲間に更なる連帯をよびかけます。
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4:2023年1月23日:熊本地裁

本日1月23日、熊本地方裁判所は.国に対し、優生保護法に基づく優生手術の被害者である原告らに慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡した。同種訴訟において、地方裁判所では初めての被害者訴訟の勝訴の判決である。  判決は、 (1):被害の甚大性 (2):国の重大な帰責性 (3):権利行使の困難性 (4):憲法の最高法規制 を理由に除斥期間を適用する事が著しく正義公平の理念に反するとして除斥期間の適用を制限したものであるが、優生保護法による非人道的かつ重大な人権侵害、優生手術の被害者らが受けた差別・偏見の苦しみ、その差別・偏見が優生保護法によって助長され、固定化されたものであること、そしてその差別・偏見等により優生手術の被害者らが長年声を挙げられなかったことに真摯に向き合ったものであり、高く評価する。 また、国の除斥期間の主張について、証拠の資料の散逸、消滅を招いた責任は専ら優生保護法を制定、運用した国にあって除斥期間の規定を適用する前提の一部を欠くとした上で、「憲法に違反する優生条項に基づき重大な人権侵害を受けた被害者の救済よりも法的安定性の確保をあえて優先させることを許容するものではなく、意図明確に排斥したことも、本件被害の実態にあった判断である。 判決も指摘する通り、記録もなく声を上げられない被害者が多数存在する。 当弁護団は、全ての優生手術被害者の被害回復を実現するため、また優生思想及び障害者に対する偏見差別の解消に向けて、引き続き、全力で活動ををすることを表明する。 国は今回の判決を重く受け止めて、被害者らの被害に真摯に向き合い、控訴することなく、直ちに一時金支給法の改正等の対応をとるべきである。 2023年1月23日 全国優生保護法被害弁護団 共同代表 新里 宏二 西村 武彦
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5:2023年2月24日:静岡地裁

2023年2月24日、静岡地裁、旧優生保護法訴訟 不妊手術強制 国に賠償命じる判決
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6:2023年3月6日:仙台地裁

「これから胸をはって堂々と仕事を頑張るつもり」旧優生保護法訴訟、原告一人当たり1,650万円の賠償を国に命じる判決、仙台地裁。 旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして、宮城県内に住む男性2名が国に賠償を求めている裁判で、仙台地裁は旧優生保護法を憲法違反として、一人当たり1,650万円を支払うよう国に命じました。
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7:2023年3月16日:札幌高裁

2023年3月16日札幌高裁判決 小島喜久夫さん勝訴の報告
<判決要旨> ・優生保護法は憲法13条、14条1項、24条2項に違反し、立法した国会議員に過失がある。 ・控訴人は優生手術を受け、子をもうけるか否かの自由を侵害され精神的苦痛受けた。  損害賠償請求権は1650万円(慰謝料1,500万円、弁護士費用150万円)が相当。 ・本件は違法な立法行為や施策により、差別や偏見を正当化、固定化、助長し、訴え出る情報を得ることを阻害した。  このような場合に除斥期間の適用を認めるのは、著しく正義・公平の理念に反する。
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8:2023年3月23日:優生保護法兵庫訴訟・大阪高裁判決

2023年3月23日 強制不妊の旧優生保護法、兵庫の原告が逆転勝訴 「除斥期間」適用認めず国に賠償命令 大阪高裁判決
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10:2023年3月28日:「優生保護法問題の早期全面解決を求める3.28 院内集会」

強制不妊手術関連文書「開示命令」 大津地裁判決で関係者が期待している。
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10:2023年3月28日:「優生保護法問題の早期全面解決を求める3.28 院内集会」

私たちは、優生保護法問題に関する昨年の大阪高裁判決、東京高裁判決ならびに今年に入っての1月23日熊本地裁、2月24日静岡地裁、3月6日仙台地裁、3月16日札幌高裁に続く、3月23日大阪高裁判決を心から歓迎します。直近の大阪高裁判決においても、裁判長から言い渡された勝訴判決に、原告、弁護団、支援者は手を取りあい、喜びの涙を流しました。さらに、関連する3月24日大津地裁の優生保護法情報公開請求裁判でも、情報開示を認める勝訴判決が出されました。 国がつくった優生保護法の恐ろしさは、「不良な子孫の出生防止」という目的の下で、子どもを持ってよい人/持ってはならない人を決めつけたことです。強制不妊手術を推進するために、都道府県に対して「身体拘束や麻酔を打ってもいい、だましてもいい」と通達を出し、強制不妊手術を推進しました。 犠牲者の数は、当事者の同意無しで進められた人工妊娠中絶手術と合わせて、約84,000人に及びます(厚生労働省調査分)。加えて、優生保護法を支える「障害は不幸だ」という価値観は、今も障害者差別、偏見の温床を成し、誤った障害者観と共に優生思想を日本社会に深く広くはびこらせています。また国は、多くの自治体で強制不妊手術の証拠となる資料がすでに破棄され、手術の実態がつかめない状況を放置したままです。 この間の7つの判決は、そうした国の非人道的行為を断罪しました。優生保護法は憲法違反で著しい人権侵害であること、この法律が障害者差別や偏見を助長したことに言及し、司法は、人権の砦としての役割をしっかり果たしてくれました。 しかし、昨年2月の大阪高裁判決から今年3月の仙台地裁判決にいたる一連の勝訴判決に対し、国は、除斥期間の適用を制限したことを不服とし控訴、上告を続けています。私たちは、この3.28院内集会で次のことを国に要求します。 1:今すぐ控訴、上告を取り下げるとともに、札幌高裁、大阪高裁判決に対して上告しないこと。憲法に違反し、著しい人権侵害をしておきながら、控訴、上告をすることは絶対に認められません。 2:国は今すぐ、優生保護法が違憲であること、及びその責任を明確に認め、被害を負った原告らに、謝罪すること。 3:今なお名乗りを上げられない被害者の救済を優先すべく、調査と検証に全力を尽くすこと。
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11:2023年6月1日:「優生保護法訴訟仙台高裁判決に対する声明」

優生保護法訴訟仙台高裁判決に対する声明

本日6月1日、仙台高等裁判所第1民事部は、国に対し、優生保護法に基づく優生手術の被害者である控訴人らに請求棄却判決を言い渡した。 2018年1月30日に同種事件で初めて提訴した被害者と、長年にわたり被害を訴えながら提訴に至れなかった被害者に対する損害賠償を認めなかった。当弁護団は、このような判断が出されたことに失望と怒りを感じるとともに、言語道断の営為として非難せざるを得ない。 仙台高裁判決は、本件優生手術が憲法14条1項に反し違法・無効であることを認めたものの、控訴人甲2や甲1の義理の姉が「不妊手術」を受けたという話を聞いたことをもって「権利行使することが客観的におよそ不可能でありまたはその行使の機会がなかったとまではいえない」とし、除斥期間の適用を認めた。 昨年の大阪高裁から続く7つの勝訴判決は、正義・公平の理念に基づき、被害者が権利行使することが不可能であったことの原因や背景を詳細に認定し、被害者や家族の実態に即した判断を行ったものであるが、今回の判決は権利行使ができなかった実態を無視し、形式的に権利行使の機会があったと述べるものであり、これまでの判決の流れに真っ向から反し、優生保護法を制定した国が被害者の人権を蹂躙しながらその権利行使を抑制し続けてきた事実から目を背ける、にわかに信じがたく、到底受け入れられない判決である。 もっとも、本判決も、優生保護法が違憲な法律であり同法律に基づき重大な人権侵害が行われていたことを認定している。国に責任があることは明確であるのであり、今こそ政府が率先して全ての被害者の被害回復に向けた政治解決を図るべきである。 当弁護団も、全ての優生手術被害者の被害回復を実現するため、即刻上告し、上告審においても本判決の誤りを是正することはもとより、今後もすべての被害者が救済されるまで、不断の努力を続ける所存であり、すべての被害者らとともに全力で闘うことを、改めてここに表明する次第である。 2023年6月1日      全国優生保護法被害弁護団    共同代表 新 里 宏 二 同    西 村 武 彦 旧優生保護法仙台弁護団 団  長 新 里 宏 二



*作成:中井 良平 
UP: 20230310 REV:20230315, 0602~04, 0919
山本 勝美  ◇優生学・優生思想  ◇不妊手術/断種  ◇優生:2020(日本)  ◇病者障害者運動史研究  ◇全文掲載

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