<2>本日の期日報告と今後の方針 「除斥期間についての新主張」 〜最高裁の違憲判決が出るまでは 除斥期間は効果が発生しない〜 <除斥期間に関するこれまでの主張> 1.除斥期間は問題とならない。。。。優生保護法制定から現在まで、国の作為・不作為による一連の加害行為が続いている。 2.まだ20年経過せず。・・・除斥期間の20年の起算点は、手術時ではなく日弁連に県所が出された時(平成29年) 3.民法724条後段は、そもそも消滅事項についての条文。・・・本件のような場合は消滅事項の援用が認められない。 4.除斥期間は適用されない。・・・理由は正義公平や信義則、憲法違反 <新たな主張の概要> (図参照) 憲法違反である事が確定する時 ●旧優生保護法が違憲である事は明白。 <しかし> ●法律が憲法違反である事が最終的に確定するのは最高裁判所による判断の時。 <最高裁違憲判決前の国の裁判への対応> ●国は裁判で違憲である事を争い、「当時は適法。謝罪も補償も不要」と国は主張。-→裁判で徹底的に争う  (理由) 最高裁判所による違憲判断がない限りは法律がていほうであることを前例に国はこうどうすることになるから。 -→被害者に取って裁判は多大な負担。 それなのに機械的に20年で除斥期間にかかるとするのは不当。 違憲の法律による人権侵害賀会った時の人権救済の手段・・・ 実定法上の抵抗権:どれを選ぶも自由。何を選んでも 不利益をうけないはず。 <新たな主張の概要>(前掲図参照) 法解釈の根拠 ●民法の時効規定を根拠 ・時効期間が満了していても特定の事情がある場合は時効の完成が一時的に猶予される。 ・(例)民法159条・・・夫婦間の借金などの請求権   離婚成立後6か月経過するまで時効の完成が猶予 (条文の趣旨) 夫婦である間は請求し図来関係にある等 これまでの最高裁判所の判決とも整合 ●最高裁平成10年6月12日 予防接種による後遺障害の 事案→民法158条(後見人選任後6ヶ月間の時効完成を猶予) 成年後見人選任後6か月経過するまでは除斥期間の効果が発生しない ●最高裁平成21年4月28日 殺人事件で死体が隠された事案→民法160条(相続人確定後6ヶ月間の時効完成を猶予) 相続人確定後6ヶ月経過するまでは除斥期間の効果が発生しない 小括 ●違憲な法律による人権侵害の特徴 ●先に述べた実定法上の抵抗権を保障する観点 ●最高裁板所が違憲であるとの判決をしたあと、 6ヶ月を経過するまでは、除斥期間の効果は発生しないと考えるべき これまでの同種事件判決 ●仙台地裁判決 ●東京地裁判決●札幌地裁判決 ===>いずれも旧優生保護法は違憲。ただし請求棄却。 札幌地裁判決と裁判長のことば ●札幌地裁判決 「除斥期間の適用を正義●公平の理念という極めて抽象的な概念のみに基づいて排除するというのは、原告の受けた被害の重大さを考慮に入れてモ、なお躊躇がある」(要約) ●札幌地裁の広瀬孝裁判長「(被害者の)これまで苦労されてきた人生を肌身に感じ、それ故(請求を)認容出来る所はないか直前まで議論に議論を重ねた。しかし、法律の壁は厚く、60年は余りにも長かったので、こうした判断となった。」 (裁判所の悩み!) 裁判所の悩みに応える新主張 (1)「手術当時は国策であり、不当だと訴える事は困難だった」という素朴な市民感覚に基づき、「違憲の法律によって人格権を侵害された」という事案の特徴に根ざした主張。 (2)根拠とされた法律が憲法に適合しない事が国制上当然のことと確定されていなかった<特員な事情> =>このような事案に除斥期間を漫然と機械的に適用する事は著しく正義・公平の理念に反する。 <違憲な法律による人権侵害の客観的な被害構造> ●憲法に適合しない事が最高裁判所において確定されない間は、違憲な法律による人権侵害が現に存在するにも関わらず、訴えに際しての法律上の障害から、被害の救済を求める者に重い負担となる。 ●これらの障害がなくなってから(最高裁が旧優生保護法を違憲と決定してから)権利行使する事が認められるべき。 ●最高裁が違憲判断をする前に20年が経過した者についても権利行使が遮断されるべきではない。 裁判所に対する要望 本件の違憲な旧優生保護法による人権侵害の特徴的な経過と被害構造に着目した上で本件を検討していただきたい。