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「新型コロナウイルスワクチン接種に関する神経難病患者の要望について
厚労省健康局との面会による要望書回答報告書」

神経難病団体ネットワークほか 20210417,5p.

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last update: 20210517


■本文

2021年4月17日

日時:2021年4月12日(月)13:30〜14:10
場所:厚生労働省 共用第4会議室(中央合同庁舎5号館1階)
参加者(敬称略):
    神経難病団体ネットワーク(略称:神難ネット)
    (一社)日本 ALS 協会         金澤公明
    全国 CIDP サポートグループ       辻邦夫
    SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会     大山有子
    全国 SCD・MSA 友の会        丸山裕美(記)
    
    
    厚生労働省
    健康局健康課予防接種室         福島銀史郎
    健康局難病対策課 課長補佐       大塚憲孝
    
要望1
指定難病である神経難病患者へのワクチン接種について、各ワクチンの効果、副反応への注意、患者が接種する場所、スケジュールについて当事者に主治医や関係機関から早めに説明し、神経難病の疾患ごとの特性に応じて患者が安心して接種できるようにして下さい。
要望1の回答(健康局健康課予防接種室)
○接種スケジュール

2月17日から医療従事者、4月12日から高齢者のワクチン接種を開始している。
65歳以上であれば、高齢者の中に(難病の方も)含まれ、基礎疾患を有する場合にはその(基礎疾患の)タイミングでの接種となる。

○ワクチン配布スケジュール
4月5日から配布を始めている。2回接種分の供給が見込まれるのが6月末と言われている。
その枠の中に難病の方が入るのであれば対応となる。
そのあと、自治体の実情に応じて、最大公約数的な対応の中で何ができるかを考える。

○小児のワクチン接種
ファイザー社のワクチンが承認されているが、16歳未満であれば対象外となっている。
12歳未満は治験が行われていない。
一部16歳未満の方の治験データがあつまったため、アメリカではFDA、日本では PMDAにも話が伝わって検討を進めている。
16歳以上で基礎疾患があれば、ワクチン接種の(基礎疾患の)対象の中に入る。

○難病患者の接種スケジュール
>神難ネット:要望 1 の回答に対して
厚労省の通知を見た時に難病のことが触れられておらず、疾患別、神経疾患、免疫疾患でくくられているが、難病というのが報道に出てこない。4月から開始しようとしている高齢者、その次が基礎疾患となっているが、難病患者はどのスケジュールに乗るのか?

<健康局健康課予防接種室
「65 歳以上」で「基礎疾患を持っている場合」は、「高齢者」の枠の中となる。

○難病の医療提供体制の連携
>神難ネット:要望1の回答に対して
情報提供が少なくて取り残されている気がしている。
神経難病の場合、厚労省の医療提供体制(難病)として各都道府県別の難病医療連絡協議会というネットワークができている。これが動いているのかどうか、神経学会が動いているのかどうか。厚労省がそういうところと連携を取って、動いているのかどうかが知りたい。
<健康局難病対策課
自治体によっては、予防接種を担当している部署と、難病を担当している部署が違うなど、うまく機能していない可能性がある。難病医療連絡協議会の開催について、今までと同じように顔を合わせてやっているかというとコロナ禍の中で開催を見合わせている場合もあるかもしれない。当課から自治体の難病担当部局に対し、厚労省HPの新型コロナワクチンの情報を提供しようと思う。
要望2
訪問診療、訪問看護、訪問介護等により在宅療養している患者の中で地域の集団接種会場や診療所などでの個別接種を避けたい者については、患者をよく理解した訪問医療職による接種が出来るように配慮して下さい。
要望2の回答(健康局健康課予防接種室)
○住所地での接種
自治体が接種会場を定め、接種券が届いて、個別に医師が来て接種するということになっている。最終的に自治体で具体的にどう接種するのか、ということを進めてもらっている。
住所地での接種になるが、難病の方は主治医の方が住所地以外にいる場合、そちらで接種しても良いと示している。住所地外での接種というのは考えている。

○自宅での接種について
在宅接種については、国で一元的に定めているわけではない。
個別接種する場合では、医院に行く場合もあるが全額国費。
医療機関で打つ場合ではない場合も、個別接種する場合にも国費で担保する予定。

○個別接種を希望する場合の対応、コロナワクチンナビ
>神難ネット:要望2の回答に対して
医療機関を選ぶなど接種券を配布されているが、接種会場は選べるが自宅での接種が選べないフォーマットになっている。難病の名簿は県で管理していて自治体が管理していないので、手上げしてもどうしたらいいのか分からない。
予診票に自宅での接種を希望します、ということが書かれていないが、意思表示をどこですればいいのか分からない。個別接種を希望する場合にどうしたらいいのか、地域ごとにどのような案内をするのか。

<健康局健康課予防接種室
「コロナワクチンナビ」というサイトが準備されている。
https://v-sys.mhlw.go.jp/
市町村、医療機関などが対応。
電話で直接予約:電話していただいて在宅で接種に対応可否を確認。
ネットで予約可。この医療機関に連絡してほしい、などという対応になる。

○自宅(在宅)接種の医療体制と費用負担
>神難ネット:要望2の回答に対して
訪問看護師、訪問医などが自宅でワクチンを打つというのは、地域の医療体制で決めるのか、国が決めるのか?

<健康局健康課予防接種室
地域が決める。
2,070円+往診で、ワクチン接種で費用が掛かる場合は国費負担。2,070円は全国統一単価。
自宅で打つ場合には、救命用品や副反応費用などは国費で「体制整備補助金」という形で準備している。
医療機関がその市町村から委託を受けていてそのスキームの中で対応した場合には費用手当されている。

>神難ネット
在宅での訪問看護。訪問診療での接種については?

<健康局健康課予防接種室
手引き(86P 構成)で記載している。(※手引き自体については後述)
自治体向け、医療機関向けの各手引きで在宅療養患者の接種については言及している。
ただし、接種体制を構築する際には、これは予測だが、ある程度マス(集団)が組みやすいところから接種計画しているはず。
訪問診療による接種自体は、各自治体に任せている。(各自治体に)接種計画を構築していただいている。 自治体として北海道や東京など(自治体毎に)大きく違う中で具体的にどういった線引きで行うか、というところをお任せしている。

>神難ネット
東京都立神経病院の神経内科の医師に聞くと、副反応があるため、副反応に備えて15分〜30分の待機が必要だと言われていた。機材も用意する必要がある。普通の訪問診療の範囲で対応可能なのか?

<健康局健康課予防接種室
難病に関わらず、訪問診療の場合には、基礎疾患がある方には 30 分という待機時間を設けている。
2,070円の費用はそこに含まれている。通常の定期接種でも副反応はあるため、コロナウイルスに限った話ではない。

○難病関連の通知
>神難ネット:要望2の回答に対して
訪問医が自治体にワクチン接種を依頼しているが回答が無いなどが現状。
難病対策課か、予防対策室でもいいが、通知を出してもらえるといいかもしれない。障害保健福祉部障害福祉課は通知がこまめに出ている。
難病関連は健康局健康課の名前がついているものは事務連絡などが出ているが、コロナ関係で難病対策課も頑張って通知を出してほしい。私たちは神経難病団体なので、簡単でも良いので出してもらえると動きやすい。

○自治体向け、医療機関向けの手引き
>神難ネット
先に回答された「手引き」のタイトルを教えて欲しい。

<健康局健康課予防接種室
厚労省 HP に自治体向けと、医療機関向けに各手引きを出している。
各資料を「在宅」というキーワードで検索していただきたい。

◆新型コロナワクチンに関する自治体向け通知・事務連絡等
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_notifications.html
令和3年4月16日
新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(2.1版)
https://www.mhlw.go.jp/content/000770095.pdf
P68 「在宅」等のキーワードで検索(他にも該当箇所有り)下線部:神難ネット注釈
第6章 接種実施医療機関等が接種会場以外の場所で接種を行う場合に留意すること(ファイザー社のワクチン)
1 概要
接種会場への移動が困難な者については、接種実施医療機関等が接種会場以外の場所に赴き、接種会場以外の場所において接種を行う(以下「巡回接種」という。)ことが考えられる。ファイザー社のワクチンについては、2〜8℃の環境で5日間の保管が可能であることから、2〜8℃の環境で輸送を行うことで巡回接種を行うことができる。
巡回接種が必要な場合として、例えば、以下のような場合が考えられる。
・高齢者施設の入所者について、高齢者施設において接種を行う
・離島やへき地等の接種実施医療機関等が確保できない地域の住民について、当該地域に赴き接種を行う
・在宅療養患者等について、在宅において接種を行う。
要望3
神経難病患者等の居宅介護サービスを担っているヘルパー等への優先接種を確実に行って下さい。
○居宅介護サービス
>神難ネット
居宅介護サービスの場合、在宅療養しているサービスについては対象外としていた。現在はどうか?
<健康局健康課予防接種室
コロナウイルス感染症患者、疑いを含む方に対して在宅の介護サービスが実施できるとしている。
具体的にどの方が入るのか、ということを教えて欲しい。
>神難ネット
・人工呼吸器をつけていて在宅介護をしている場合に該当する。24時間介護しているケースがある。
・障害施設や介護施設の介護者として含まれる、という解釈となっている。在宅の訪問介護が該当。
・集団接種に行かれない患者がいる。介護事業所がケアしている。

要望3の回答(健康局健康課予防接種室)
具体的に言うと「事業所等」の「等」で入るが、「高齢者施設」がなぜ優先接種に入るのかという前提を共有したい。仮にクラスターが発生した場合に、(入所者を)病院に連れていければ良いが、現状そうではない。従事者も当然患者さんと接するために優先としている。
在宅のヘルパーさんも、自宅療養の方、濃厚接触者と接する機会があるため対象とさせていただいている。今の考え方からいくと、医療従事者の場合も、濃厚接触者との接触がある、という考えを元に優先している。(感染)疑い患者が出た場合に、そういう方にもサービス提供する、とうことであれば優先します、という考え方。全ての方を(優先接種の対象に)入れる、という考え方では無い。
3月3日に高齢者施設の従事者の方向けに対象とします、と事務連絡(*)を出している。
医療従事者の方というのも患者と頻繁に接する方というのを大前提においている。
その中でヘルパーだけにその要件を求めているわけではない。
このため「我々の事業所では疑いのある方にサービス提供する」という条件付きとしている。

* 「障害者支援施設等入所者等及び従事者への新型コロナウイルス感染症に係わる予防接種について」
別「訪問系サービス事業所等の従事者への接種について」(健康局健康課ほか4月5日事務連絡が最新)
https://www.mhlw.go.jp/content/000765591.pdf
* 前述の自治体向け手引き(2.2 版)のP30にも概要が記載されている。
新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.2 版)
P30 下線部:神難ネット注釈
(5)高齢者施設に係る接種体制の確保
----中略
エ.居宅サービス事業所等の従事者への接種について
市町村が、必要に応じて都道府県にも相談した上で、地域の感染状況、医療提供体制の状況等を踏まえ、感染が拡大した場合に、要介護高齢者や要支援高齢者が自宅療養を余儀 なくされ、こうした者に対する介護サービスの継続が必要となると判断した場合であって、居宅サービス事業者等が新型コロナウイルス感染症により自宅療養中の高齢の患者等 及び濃厚接触者に直接接し、介護サービスの提供等を行う意向を市町村に登録した場合に、当該サービス事業所の従業員について、高齢者施設の従事者として接種を受けることができる。その他、「高齢者施設への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を行う体制の構築について(改正)」(令和3年3月3日付厚生労働省健康局健康課ほか連名事務連絡)を参考にすること。
以上


■PDFファイル

神経難病団体ネットワークほか 20210417,5p.
「新型コロナウイルスワクチン接種に関する神経難病患者の要望について厚労省健康局との面会による要望書回答報告書」 [PDF]




*作成:岩ア 弘泰
UP: 20210517 REV:
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