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優生手術問題:活路と展望(第11回)――2021年1月18日付 仙台高裁にて

山本 勝美 20210127

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last update:20210129


<1> 控訴審第3回公判を取り組む

去る1月18日、仙台控訴審第3回公判は。大寒という厳寒の季節をものともせず、原告・弁護団・市民一同の結束によって取り組まれた。
第2回公判では原告による論告であった事を受けて、今回は弁護団を笠原太良・三浦じゅんの両弁護士が代表して、力のこもった意見陳述が展開された。

その論旨は以下の通りである。

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(1)優生保護法がどのようにして作られたか
(2) 国がどのように優生政策を進めたか 各都道府県で手術を進めた 精神障害者を狙い撃ちした 手続きがいい加減なものだった
(3) 優生保護法が作り変えられた後も残っている障害者に対する差別・偏見


<2> 1月18日控訴審第3回公判報告会のあらまし



2) 当事者コメント
飯塚淳子さん:
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佐藤路子さん:

「私は原告佐藤由美(仮名)の義理の姉佐藤路子(仮名)です。
本日は、皆様には 旧優生保護法国家賠償訴訟裁判傍聴並びに報告集会にお集まり頂き、感謝致します。

国は20年という除斥期間を盾に請求棄却をしても、旧優生保護法が犯した罪から逃れることはできないと思います。
杜撰な旧優生保護法の施行で何万人もの体にメスを入れてその方々の人生に抱え切れない苦しみ、悲しみを負わせていた事実…国の謝罪が聞きたいです。
20年の除斥期間、この壁は4地裁で打ち砕くことはできませんでした。
原告の方々それぞれ違う理由でも同じ判決なのでしょうか。
余りにも理不尽に尽きます。
20年の除斥期間を過ぎていることを承知の上で、提訴しています。
司法はなぜ除斥期間内に提訴することができなかったことに対して深く掘り下げて審理して欲しい。
さいごは裁判官の決断、勇気なのか?と思います。
――――――――――――――――――――――――――――――
(別紙1)北三郎氏意見陳述(原文)
こんにちは、優生被害者の北三郎です。
14歳のとき、何の説明もないまま手術を受けました。この裁判を起こすまで、親を恨んできました。しかし、自分が受けた手術は国がした優生手術だったことを知り驚きました。今も妻の声が聞こえてきます。「子どもがいなくて寂しいの」。この言葉がとてもとても辛かった。子どもが欲しくてもできない体にされてどれほど苦しんできたか。
 この苦しみ、国に謝ってもらいたい。国が勝手にした不妊手術。私の人生を返して欲しい。
 6月30日に判決がありました。私の願いはまったく届きませんでした。判決には納得できません。
 20年たったら権利が消えてしまうというのは納得できません。それに判決では、優生保護法が平成8年の母体保護法に改正になった時には裁判ができたと言っていました。仙台の裁判の報道まで、まさか国が手術をしたとは思っていませんでした。国は私に何も知らせず、謝ってもくれませんでした私の住所は分かったはずです。謝ろうと思えばいつでも謝れた筈です
手術のことを知らせることぐらいはできた筈です。国から何も知らせがないのに裁判なんかできるはずがありません。私はずっと親が手術を受けさせたんだと思っていたんです。平成8年には裁判ができたはずと言われた事は納得ができません。
裁判所には同じ判決はしてほしくありません。20年たったから請求できないと言われると、裁判所は血も涙もないのかと思ってしまいます。
妻のためにも被害者の人たちにも、私はこの不当な判決に泣き寝入りできません。国に謝ってもらうまで裁判を続けます。命のある限り闘っていきます。全国にいる2万5000人もの方が人生被害を受けました。そのうち、誰一人として,満足のいく被害回復をしてもらっていません。
ようやっと全国で25名、裁判に名乗りでてくれました。私は、もっと名乗りでてほしいという気持ちでテレビや新聞に顔を出しました。優生被害者がどれほど辛く悲しい日々を送ってきたか。一人ひとり苦しみが違うかもしれないけれど、国にこの苦しみを訴えていきたい。
私たちは高齢者ばかりです。原告の中では裁判中に亡くなられた方もいらっしゃいます。一日も早く解決をしたいと思っております。
 裁判所には、被害としっかりと向き合い、公平に裁判して欲しいです。


4)質疑報告:
<山本の発言>
1. 旧優生保護法の別表にある「顕著な遺伝性精神病質」をめぐって
旧優生保護法の優生手術対象とされる疾病の診断名の中に、上記カテゴリーが掲載されていた。
遺伝性の犯罪、非行の顕著なものがこれにあたる。
このカテゴリーについては、NHK から出されている「旧優生保護法の歴史的背景」その「前編」「旧優生保護法と逆淘汰論」に記されている。
この日、だいたいこの論と近似していることを触れた。

2.もう一点は、優生保護法によって国民に浸透した優生思想は、法律が変わってもその基本的な思想は今日もなお浸透しているとの意見陳述にそう見解が特に結婚相手の家族にある遺伝性疾病についてチェックする必要性が、当時の高校保健の教科書に掲載されていた。その視野が今日もなお、障害者のきょうだいに目を向けられている現状が明らかにされている。




*作成:安田 智博
UP: 20210129 REV:
山本 勝美  ◇優生学・優生思想  ◇不妊手術/断種  ◇優生:2020(日本)  ◇病者障害者運動史研究  ◇全文掲載

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