エミリー氏インタビュー
20210125 聞き手:A
◆エミリー i2021 インタビュー 2021/01/25 聞き手A 於:オンライン(Zoom)
◇生を辿り途を探す――身体×社会アーカイブの構築
◇文字起こし:ココペリ121 https://www.kokopelli121.com/
※聴き取れなかったところは、***(hh:mm:ss)、
聴き取りが怪しいところは、【 】(hh:mm:ss)としています。
【rmk21】210125_100分
[音声開始]
A:では今日はよろしくお願いします。
エミリー:よろしくお願いします。
A:まずはじめに、エミリーさんの病状というか病歴だったり、そういうのをお聞きしたいなと思っているんですけれども、今現在ですね、
エミリー:病歴、
A:はい、そうです。どういった症状がエミリーさんにはあるんでしょうか?
エミリー:左の顎の骨の中が鈍痛です。痛いです、とにかく。
A:顎の骨の痛みということですね?
エミリー:顎の骨、左の下の顎の骨です。
A:下顎骨の、
エミリー:そう、下顎骨の左。
A:その痛みっていうのは、どれぐらい前からあるんでしょうか?
エミリー:20年くらい前です。
A:結構前ですよね。だいたいおいくつぐらい?
エミリー:二十歳くらいのときですね。
A:ああ、二十歳くらいのとき。それじゃあもうずーっと今まで、20年間ずっと痛いっていう感じなんですか?
エミリー:はい。痛いです、はい。
A:最初に痛みが出た経緯というか、どういう感じで痛みが出てっていうのを教えてもらいたいんですが。
エミリー:経緯は、二十歳くらいのときに虫歯になって、近所の歯医者に行ったんですよ。で、そこで治療をしたんですけど、治療してもなんかずっと痛いままで。でも歯医者行っても「わからない」って言われて。そこから1年間歯医者に、いろんな歯医者に行ったんですけど、何件も回って「わからない」「わからない」って言われて。レントゲンにも写らなくて。で、1年間歯医者めぐりをして。で、一番最後に行った歯医者のとこで、「これは歯じゃなくて骨に原因があるかも」って言われて、で、やっとそこで気づいてって感じです。
A:じゃあ1年間、普通の個人のクリニックを回ったって感じですか?
エミリー:そうですね。
A:大きい総合病院とかではなくて。
エミリー:歯だと思ってたんで。
A:要は普通の個人の歯医者さんってことですよね?
エミリー:個人の歯医者さんにいっぱい行って。痛いのは骨だって思ってなかったから。
A:そうですよね、普通。
エミリー:そうそうそう。まさか骨が痛いとは。
A:ただの虫歯って思いますよね。
エミリー:そうそうそう。虫歯とか、なんか歯茎とかなんかね、根のほうかな、根っこのほうかなって思ってたから。でも「何もなってない」って言われて、レントゲン撮っても。だけど、最後に行った歯医者がなんか「顎の骨かもしれない」って教えてくれて、「あ、そうなんだ」と思って。やっと歯じゃないっていうことに気づいて、そこで。
A:じゃあ1年間、ちょっとけっこう、
エミリー:でその間(かん)に悪化しちゃって、すごく痛みが、
A:そうですよね、年数経ってしまうとね。
エミリー:うん、ほっておいたから。うん。そう。で、病名がついたのは、えーと、市民病院に行ったんですよ。当時住んでた市のおっきい病院、わりと。そこに行ってCTを撮ったら、「下顎骨骨髄炎ですね」って診断されました。
A:ああ。でももしかしたらこの1年間の間に、もっと早い段階でわかっていたら、もっと言えば最初の歯科ですよね、もっと早い段階でわかっていたら、こんなに悪化せずに治療できたかもっていう可能性はありますよね。
エミリー:そう。ありますね。
A:で、まずそこの市民病院に行きますよね。で下顎骨骨髄炎っていう診断を受けた後は、どういった治療をされたんですか?
エミリー:そこは、即手術って言われて、ちょっとびっくりしちゃって。「え、顎の骨を切るんですか?」って言ったら、「はい」って言うから、ちょっと悩んで。悩んだ挙句にいろんな人に相談をしたんですよ、「どうすればいいですかね」って。それで「もっと大きい病院に行った方がいいんじゃないか」って言われて、もっとおっきいA大学病院(東海地方)に行ったんですね。でそこの病院でもう1回診てもらって、一応経緯は…、あ、紹介状を書いてもらって、一応経緯を話して、という感じで診てもらったら、手術はとりあえずしなくても、えーと、高気圧酸素療法と、抗生物質を毎日投与、点滴でして、入院してってやれば治るかもしれないって言われて、でそこからすぐ2週間入院しました。[00:05:40]
A:ああ。その治療、高気圧酸素療法ですね、と抗生剤の点滴で、実際症状っていうのはどういう具合に、
エミリー:症状?
A:症状は変わったんですか?
エミリー:症状は変わりませんでしたね(笑)、基本的には。
A:ああ、そうですか。
エミリー:ほんとに動かないから、なんか疲れるとよけいにうご…、すごい痛くなるから、なんか日常生活を送っていると疲れるから毎日痛くなるんですけど、入院中ってすごい楽な生活だから、あんまりなんか「すごい痛いー」とはならなかったんですけど、結局退院したらすぐ戻ったんで、「痛いー」って。
A:ああ。じゃああまり、正直、
エミリー:うん。あまり意味なかったです。
A:でまあ、エミリーさん、そのあまり意味がなかった治療後、A大学病院の主治医のかたはどういった治療、その後また治療を提案【されたん】(00:06:41)ですか?
エミリー:その後主治医が突然、再生歯科のほうに移動になってしまって。なのでその先生に診てもらえなくなったので、また病院を変わって(笑)、
A:えー。
エミリー:今度はまた紹介してもらって、今度は別のB大学病院(東海地方)に行って。で、また経緯を話して、で、またそこで口腔外科で治療を始めたんですけど、そこの先生が「骨髄炎は良くなってるんじゃないか」って言い出して。痛いのに、こんなに痛いのに。
A:そのときのたとえばCTだったり検査だったりの所見っていうのはどうだったんでしょうか?
エミリー:うーん、「治ってるんじゃないのー?」みたいな、なんかちょっとあやふやな感じでしたね。
A:はっきりわからない感じっていう。
エミリー:はっきりわからないし、「ちょっと自信ないけど、たぶん治ってるんじゃない?」みたいな感じで言われて、「ちょっとわかんないです」みたいな感じだったので。で、結局そこの麻酔科に回されて、で毎週麻酔科に通ってました、そこの病院では。
A:麻酔科ですか。もう歯のほうではなくて麻酔科に移った。
エミリー:ではなくて麻酔科です。うん、ずっと麻酔科。
A:麻酔科ではどういう治療をされて?
エミリー:麻酔科では、星状神経ブロックっていうブロック注射を首のところに打って、痛みを止めるみたいな。
A:麻酔ですもんね。ブロック注射ってことは麻酔薬ですもんね。
エミリー:そうです。それを1年ぐらいやったような気がします。1年、半年?
A:けっこう長いですね。
エミリー:半年かな、うん、やりました。けど、やっぱり意味なくて。漢方も飲んでましたけど、立効散っていう漢方、それも効かず。効かず。で、そうしてるあいだにまた私は引っ越すことになったので、ちょっとどうしようって思ってたんですけど、また引っ越し先のほうに病院を変わって、一応紹介状書いてもらって、麻酔科からですけど紹介状書いてもらって、今度はX県(関東地方)の病院に行くことになって。
A:X。
エミリー:うん、XのC大学病院。で、そこの先生に「骨髄炎の可能性はある」みたいな、ちょっとあやふやな感じなんですけど、「ある」って言われて、
A:それは歯科の方で?
エミリー:あ、それは口腔外科に行きました。そこで検査を最初にして、MRI撮ってCTを撮って、で、そういう診断が出て、「手術してみる?」っていう感じだったんで、「あ、はい」って言っちゃって、手術をしました。[00:10:08]
A:手術というのはその、最初の頃に言われていた骨を削るというか取る?
エミリー:いや、それが、手術の内容は、えっと、蓋を開ける感じで骨の(笑)、蓋を開ける、何て言えばいいですかね、パカッて骨の蓋を開けて中を掃除してっていう、なんか掻爬みたいな。
A:炎症の所を清掃する感じなんですよね、きっと。
エミリー:そうです、そういう手術で。またパカッて骨を戻してっていう手術だったんで、切除したわけではないんですけど。骨は残ってます。
A:全身麻酔***(00:10:52)
エミリー:全身麻酔で。
A:そうですよね。
エミリー:そうです。で、入院も2週間ぐらいしましたね、すごい腫れてて。うん。
A:実際その手術をなさって、その手術する前とたとえば後、痛みの度合いだったりっていうのはどうなったんでしょうか?
エミリー:それが悲しいことに、手術をしてからのほうが痛いです。
A:手術してしまったあとの方がより痛くなってしまったっていうことですか?
エミリー:痛い。痛くなりました、はい。
A:それは、どうなんでしょう? その口腔外科医は、それに対してどういった考えを述べてくれたのかっていうことが気になるんですけども。
エミリー:それは、あれなんですよ。もう、「もうわからないから、違う病院に行ってください」って言われました。
A:ああ。でも、手術したはしたけれども、その後はもう痛みをエミリーさんがいくら訴えても、「うちではわからないから他に行ってくれ」って匙を投げたっていう感じでいいんですか?
エミリー:まあ、そうです。そう、そう、そうですね。
A:なにかこう薬、投薬治療だったりっていうこともなし?
エミリー:一応神経が、ちょっと麻痺残っちゃったもので、口の左っかわ。下の左っかわに麻痺が残ってしまって、手術後に。その手術のせいだと思うんですけど。
A:そりゃそうですよね。
エミリー:はい。その麻痺、そう、で麻痺を止めるためにビタミンEかな、なんかを飲んでたんですけど、
A:B12とかですかね。メチコバールとか。
エミリー:かな、飲んでた。あ、そうですね、飲んでましたけど、結局効かなくて。で「それも効き目がないよ」って話して、で「まだすごく痛いんですけど」って言ったら、「もううちでは診れないから」って言われました。
A:いや、ちょっとそれは、エミリーさんの気持ちというか当時の心境をちょっと想像すると、かなりつらいものはあると思うんですけれど、
エミリー:かなりつらかったですね。うーん。
A:そうですよね。まあだって、そこC大学病院にたどり着くまで、大学病院で三つ目ですもんね。
エミリー:そうですね。
A:で、手術して、麻痺が出てしまって、痛みがより強くなったというのに、「うちでは診れない」ということを言われてしまう、それはつらいですよね。
エミリー:そうなんです。そう。で、「どうしよう」って思って、そこからしばらく悩む期間があって何年も、「どうしよう」っていう感じで。あ、麻酔科にまた回されたんですよ、そこで。思い出した。麻酔科にまた回されちゃって、「もう骨髄炎はわかんないから麻酔科に行ってくれ」って言われて。で麻酔科の先生がわりといい先生だったので、いろいろ漢方とかを試したんですけど、痛みどめなんですけど。痛みどめもすっごい強いモルヒネとかを飲んでました。
A:ああ、医療用麻薬飲んでらっしゃったんですね。
エミリー:医療用麻薬、はい、飲んでました。
A:モルヒネ、実際その効果はどうでしたか?
エミリー:うーん。効果は、たくさん飲めば紛れますけど、副作用がひどくて、やっぱり。その、便秘になるというか、腸が動かなくなっちゃうから、ほんとに1週間に1回あればいいほうっていう、お通じが、っていうレベルになっちゃって。すごい苦しくって、それも。で、おなかぱんぱんだし。うん。で、「どうしよう」って思って、「このまま麻酔科で一生モルヒネを飲み続けるのか?」と思って、ちょっとそれは嫌だなと思いまして、で、それで新しい病院、
A:そうですよね。
エミリー:そう。そのまんままた、ちょっと数年麻酔科通ってたんですけど、今度はその麻酔科の先生が違う病院に移動になって。で今度は麻酔科の先生がまた他の口腔外科のために紹介状書いてくれたので、
A:あ、そうなんですね。
エミリー:そう。で、次は今通ってる病院ですけど、D大学病院(東海地方)に行くことになって。
A:ああ。今お住まいは?
エミリー:あ、住まいはXです。[00:15:38]
A:そうですよね。D大学病院まで通ってらっしゃるんですか?
エミリー:そう、新幹線で。
A:えー、ちょっと大変ですよね。
エミリー:すごい大変ですね。
A:そうですよね。
エミリー:はい。大変なんですね。うん。
A:で、D大学病院ではどういう、
エミリー:そこでMRIをまず撮ることになって、でその検査の結果、「骨髄炎ですね」っていう診断がおりました、また。
A:ああ、なるほど。今そのD大学病院のほうでは、どうなんでしょう、また手術だったり投薬だったりって、どういった治療を今されてますか?
エミリー:そうですね。あの、とりあえず麻痺を抑えるための薬、またメチコバールとかですけど、とビタミンEを飲んで、あと抗生物質を3か月ぐらいたぶん飲んで、飲んだんですよ、ちょっとそれの名前忘れちゃったんですけど。抗生物質とそのメチコバールとビタミンEを飲みつづけて、3か月。で、まあでもあまり変わらなくて。でけっこう1年、2年…、2年ぐらい通いました、病院に。今も通ってますけど。
A:ああ、けっこう通ってますね。
エミリー:そうなんです。今でも通ってるんですけど、3か月に1回は行って、治療をしてもらって診てもらって帰ってくるっていうのを2年やって。で、また「MR検査しようか」ってなって。で、したんですけど、「骨髄炎は少しだけ、ほんの少しだけ縮小してるような気がする」って言われたんですけど、でも痛みは相変わらず。なんか「治まったように見えますね」って言われたんですけど、でも骨髄炎もまあ残っているのはあるっていうことで、今度は手術を提案されて、手術なんですけど、でもその手術はC大学病院でやった手術とはまた違う手術で、なんか骨にいくつか穴を開けて血流をよくするための手術するっていう内容だったんですけど。で「わかりました」ってなって手術することになったんですね。
A:えー、そうなんですね。
エミリー:そう。なんですけど、コロナのせいで緊急事態宣言が出てしまって、
A:そうですよね。ほんとについ最近の話なんですね。
エミリー:つい最近の話です、これは。はい。で、私は関東に住んでいるので、「ちょっと病院に今来られると困ります」とは言われてはないですけど、遠回しにそんな感じで、なんか、「ちょっと今は緊急事態宣言出てるので、ちょっと手術を延期にします」って言われて、今保留状態です。
A:あ、そうなんですね。
エミリー:はい。
A:ま、確かにちょっと関東の人が行くのはちょっと招かれざる、ね、【客】(00:18:54)というかそんな感じですもんね。
エミリー:うーん。そうなんですよ。
A:県外ですから、よけいですよね。
エミリー:そうなんですよね。
A:では、もしもこの緊急事態宣言解除されて、またD大学病院に行くことになったら、またその手術の要請だったりっていうのは組み直したりとかってなるんですね?
エミリー:たぶんそうだと思いますけど。
A:なるほど。
エミリー:うん。また電話を待つ、電話を待つしかないので。
A:そうですよね、連絡を待つしかないですよね。今の状況だったらちょっと、いつどうなるかっていうのわかんないですもんね、こっちもコロナのこと。
エミリー:うんうん。[00:19:39]
A:で、この、骨に穴を開けて血流を上げる手術っていうことなんですけれども、これはその、前回のC大学病院で行なったちょっと悪いところを取るっていう手術とまた違うとは言っても、やっぱり骨をさわる手術ですもんね。ということは、もちろん全身麻酔ですよね?
エミリー:全身麻酔ですね。
A:うーん、どうなんでしょう。
エミリー:いや、ちょっとリスクはあるって言ってました。
A:そうですよね。
エミリー:うん。治る可能性は3割って言ってました。
A:3割ですか。
エミリー:うん。
A:3割の可能性と言われていても、でもそれにすがりたい気持ちはやはりある感じですか?
エミリー:そう、そうですね、はい。でもちょっと怖いのが、「よけいにひどくなったらどうしよう」っていうのがあって。
A:そうですよね。
エミリー:C大学病院のときのように。それがすごい怖くて、延期になってちょっとよかったかもって思ってる自分もいるんですけど。うーん。まだちょっと悩みますね。
A:やりたい気持ちと、「やって、また前みたいになったらどうしよう」っていう気持ちと、やっぱりありますよね。
エミリー:そうそうそう。
A:それについて医師は何ておっしゃってるんですか?
エミリー:うーん。「最終的に手術をするか決めるのはあなたです」って言われましたね。
A:ま、そうですよね、実際は。
エミリー:うーん。その、「精一杯やりますけど」、でも骨髄炎の治る確率ってそんな高くないみたいで、やっぱ「3割、4割ぐらいしか見込みはないけど、それでもやりますか?」みたいな感じでしたね。
A:そうかあ。まあちょっと悩みますよね。
エミリー:悩みますね。
A:悩みますよね。でもエミリーさん、今なおこの手術に関しては悩んでいるという状況なんですね。
エミリー:ちょっと悩んでますね。
A:でもまあ痛みが現存するから、まあちょっと3割の可能性に懸けてやりたい気持ちと、っていう感じがとりあえずあるっていうか。
エミリー:そうですね。うん。
A:今現在どうなんでしょう? そのD大学病院のほうでは、薬が出てたりとかってあるんですか? 痛め止めだったり。
エミリー:今はビタミンEとメチコバールだけですね。
A:あ、じゃ痛みどめはとりあえず出ていないという、
エミリー:出ていないんです。
A:じゃ、痛いときの、どうなんでしょう、痛いときの対策というか、どういう感じで鎮痛されてるんですか?
エミリー:対策は、なぜかわからないんですけど、睡眠薬を飲むと少し楽になります。
A:ああ、睡眠薬。
エミリー:はい。
A:ちなみに睡眠薬っていうのはどこでいただいてるんですか?
エミリー:睡眠薬は、前は麻酔科でももらってました。
A:あ、そうなんですね、麻酔科。
エミリー:はい。今、また別に病気が一つあって、その行ってるクリニックで処方されてもらってるのをちょっと悪用…、悪用じゃないんですけど、何て言えばいいんですかね、
A:まあちょっと利用させてもらって、
エミリー:飲ん…、利用させてもらって、まあでも基本的に寝る前にしか飲まないんですけど、昼間とかは睡眠薬飲んだりしないんですけど、その睡眠薬を飲むとなんか楽になるような気がする。でも、「ような気がする」だけなんで、ほんとにそれが医学的になんか意味あるのかっていうのちょっと、はっきり分かんないんですけど。
A:まあたとえば激痛だったのが、ちょっとなんか緩和されたような気がするって、ちょっとあるんですよね?
エミリー:そうですね。気がします、気がします。うん。
A:そのクリニックっていうのは、きっと心療内科とかそういう感じのところで処方されて、
エミリー:そうです、はい。心療内科ですね。
A:心療内科っていうのは、差支えなければ、どういった症状で通われているんですか?
エミリー:心療内科は、えーと、鬱病になってしまったんですけど、それ、なったのがC大学病院での手術後なんですよ。で、すごく痛くて、とにかく。ちょっとありえないぐらい痛かったんで、「それが原因でなったんじゃないか」って言われてますけど。
A:まあ実際麻痺も残ってますし、術後激痛が強い、そうですよね、強くなったってなると、
エミリー:うん、麻痺も残ってるし。そう、で先が見えなくなってしまったので。
A:そうですよね。では、C大学病院での手術っていうのは何年前ぐらいの話ですか?
エミリー:それは10年くらい前の春ごろですね。
A:あ、じゃあけっこう前ですよね。
エミリー:けっこう前ですね。けっこう前。
A:じゃこの10年前から、この鬱状態も、鬱病も発症してしまったっていう、
エミリー:発症してしまいました、うん。手術の後、けっこうすぐ。
A:けっこうすぐ。で精神科というか心療内科に通うようになって、睡眠薬を処方してもらって、
エミリー:をもらうようになって、で飲んでたら、夜寝る前に、「なんか楽だなあ」って思うようになって。なんで、毎日「早く夜になれ」って思ってて。痛いから、昼間痛いので、早く飲みたいから。うん。そんな感じですね。
A:どうなんでしょうね。今までいろんな病院行ってらっしゃいますけど、その痛みにしっかり医師が寄り添ってくれたっていう感じがあまり、やっぱお話を聞いていると、ないのかなあ、なんていうふうに思ったりもするんですが。
エミリー:そう、特に口腔外科がそういう傾向があって、なんかあんまり。今行ってるD大学病院のところが一番優しいというか、わかってくれるとこなんですけど。あとは、B大学病院の歯学部の麻酔科の先生はすごく話を聞いてくれていろいろ試してくれたんですけど、結果は出なかったですね。[00:26:06]
A:うーん。で、最終的にはモルヒネだったりっていう、ちょっと強い麻薬を使うことになってっていう感じですかね。
エミリー:そう、そうなんです。
A:よく一般的に言われている、たとえばロキソニンだったり、たとえばそういった痛みどめっていうのはまったく効かないんですか?
エミリー:まったく効かないですね、全然。1ミリも良くならないです、それ飲んでも。
A:なんかたとえば座薬とか、やっぱ、健康な方々が普通に、なんか痛みの出たときに使うものってあるじゃないですか。ああいうものじゃ、もう全然太刀打ちできない?
エミリー:もう全然ですね。ゼロですね。
A:そうなんですね。じゃあ痛みとなると、そのエミリーさん抱えている顎の激痛に関しては、まあちょっと睡眠薬がなんとなく効くっていうのと、あとはモルヒネだったりその、強い麻薬を、
エミリー:強い麻薬、だけですね。
A:飲めば効くっていう、その2点しかないっていうことですね。
エミリー:そうですね。
A:うーん、なるほど。いや、20年っていう期間は相当、
エミリー:長いですね。
A:いや、口で言うのは簡単ですけど、長いですよね。しかもその、20代30代って、一番その、
エミリー:いいときを。
A:そうですよね、働き盛りだったり、すごい一番まあいいときですよね。そういう時期を痛みの中で過ごしてきてるっていうのは、けっこう想像を絶するものがあるんですけども。
エミリー:そうですね。特に一番不安だったのは、やっぱり原因、原因というかその病名がまずわからなかった1年と、最初の。そのときはもうほんとに不安で。
A:そうですよね。
エミリー:もう、「どうして?」っていう、「どうして痛いんだ?」って謎がありましたから。あとはそのあとですよね、入院してまた、あ、A大学病院に入院して、退院したあとまたもとに戻っちゃったんで、「じゃあどうすれば治るんだ?」っていう。治療法がないっていうので。
A:で、手術したらしたで、まあ言ってしまえば、悪化したっていうかたちですもんね。
エミリー:悪化しましたね。
A:プラス、ちょっと精神的にも追い詰められたっていうような、
エミリー:おかしくなって。うん。
A:そうですよね。その状態だと精神的に追い詰められないほうが不思議ですからね。
エミリー:そうなんですよ。
A:そんないろいろ後遺症まで残ってしまって。後遺症っていうのはいまだに戦っているわけですよね? 麻痺とかも。
エミリー:はい、麻痺ありますね。
A:その麻痺で苦労していることっていうのは、どういった?
エミリー:苦労していることは、なんか感覚がないので、この唇とかちょっと顎らへんに何か、なんかたとえばマヨネーズとかがついても何も気づかないんですよ。ついてる感覚がないから、だから「何かついてるよ」って言われたり(笑)。何だろ、あと、あと、よく噛みます。あの、その、肉、肉って言うんですか、唇とか、
A:ああ、感覚がないから、自分で噛んじゃうってこと?
エミリー:そう、咀嚼中に。そうなんですよ。
A:ああ、なるほど。
エミリー:うん。で、すっごい痛いん…、痛みは感じるんですよ、でも。痛みはなぜかわかるんですけど。噛んで、「痛いー」っていうふうにはなるんですけど。触るとすごい響く感じで、ビョンビョーンって。なんか、あ、足がしびれたときの足をさわるみたいな、そういう感じですね。
A:ああ、すごい不快な症状ですよね。ビリビリしますよね。
エミリー:不快な、それがもうずっと、手術してからずっと残ってます。
A:それは絶えず残ってるんですか? そのビリビリの状態はずっとあるんですか?
エミリー:ビリビリは、ああ、ありますね。さわるとビリビリッと来るんで。表面、顎の表面をさわるだけで、びりって。[00:30:10]
A:口って咀嚼するし、こうやってお話しされてるときとかも、ビリビリしてたら大変ですよね。
エミリー:うん、そうなんですよ。でもビリビリしてるんですよ。
A:あ、今もじゃあなお、お口の感覚っていうか、ずっとビリビリしたままなんですね。
エミリー:戻らないですね。うん。
A:その麻痺に関しては、ちょっと話戻っちゃうんですけれども、実際そのエミリーさんのことを執刀した担当の医師は、麻痺についてはなんか、どういった見解というか?
エミリー:うーん。戻ると思ってたらしいですね、最初はね。麻痺は治ると思ってたらしいですね。その、「手術後だからまだ麻痺があるけど、半年ぐらいしたら戻るんじゃないか」って言ってましたけど、結局戻らなかったんで、結局やっぱりまだ。「もうわからない、わからないから、もう他のところに行ってください」ってまた言われましたね、そこは。
A:その一点張りなんですね。
エミリー:そうなんです。
A:で、いまだに、10年前の手術後からもうずーっとその状態が続いている、痛みと共にっていう、
エミリー:ずーっとその状態です。うーん。痺れというか。
A:そうですよね。足でちょっとたとえていただいたので、自分でも想像してみると、けっこうすごいつらいよなと思いますよね。
エミリー:そうです。つらいですね。
A:またちょっと遡らせてもらうんですけれども、最初発症したのが二十歳くらいっておっしゃってましたけど、そのときエミリーさん学生だったりお仕事だったりって日常生活を送ってらっしゃったと思うんですけど、どういった?
エミリー:はい。その頃はモデルの仕事をしていて、何年かやってたんですけど。それもあったんで、いきなり顎切除って言われたときに、「えっ」て思ったんですよね。
A:お顔ですもんね。やっぱり大変ですね。
エミリー:そうなんですよ。でちょっと「手術どうしよう?」って思っちゃってたんですけど、もしかしたらあのときやったほうがよかったのかなって、今さらながらちょっとだけ思いますけど。治って…、
A:考えてしまいますよね、「もしやってたら、今楽だったかも」って。
エミリー:そうー、って思っちゃうんですけど。その仕事をしていたせい…、「せいで」と言うか、うーん、あの、外科的処置はちょっとやめとこうと思っちゃったんですよねー。
A:うーん、まあでもモデルさんだったら、やっぱり腫れたりとかしても問題ですし。
エミリー:そう。すごい差支えがあったから。
A:そうですよね。
エミリー:うん、ちょっとしばらく、だから休んで様子を見て、で一応復帰はしたんですけど、そこから2、3年ぐらいしたら、もう辞めることになって。その痛みがひどいのと、やっぱり痛みがひどいときって顔が腫れてるんですよ、やっぱり患部が、どう見ても。どう見ても腫れてるんで、こんな顔ではちょっと無理だろうと思って、で、辞めることにしましたね。決断したというか、仕方がないので。
A:じゃあ、もしもの話ですけれども、疼痛、そもそもこの下顎骨骨髄炎になっていなかったら、もっとずっとやっていたかったっていう?
エミリー:うん。やっていたかった。今もやっていたかもしれないって思いますね。
A:そうですよね。仕事をあきらめざるを得ない状況になってしまったっていう。
エミリー:そうなんです。
A:ですもんね。うーん。あとちょっとお聞きしたいのが、ご家族の理解だったりっていうのは? たとえばまだ二十歳ぐらいのときだったら、親御さんとかはどういった感じだったのかな?って。
エミリー:うーん。まあ痛いのは大変だっていうのは理解してくれてたんですけど、だけど治療のこととかはまったくわからないので、私が一人で、うーん、一人で動いてましたね。
A:ああ、じゃあもうほんとに全部自分で探して、病院を探して、自分で、
エミリー:うん、自分で探して、はい。そうですね。
A:今、失礼ですけど、ご結婚はされてるんですか?
エミリー:はい。
A:そうなんですね。では旦那さんってどういう感じ…、病気をする前に出会ってるのか、病気をしたあとに出会ってるのかとかって、そういうところをちょっと、
エミリー:病気をしたあとですね。
A:病気をしたあとなんですね。理解は?
エミリー:ん?
A:理解だったり、旦那さんの、
エミリー:あ、理解。理解は、うーん、今はまあ理解はしてますけど、理解してるけど、なんか「もうちょっと聞き飽きた」みたいな感じになってますね。私が「痛い」って言っても、「あー、もうまた言ってるな」ぐらいにしか思ってなさそうです。[00:35:34]
A:きっと話を聞いていると、やっぱり毎日痛いんだろうなっていうの、思うので、
エミリー:そうなんです。毎日痛いって言ってますね、たぶん。
A:そうですよね。毎日痛いって聞いてると、向こうもきっと、「あ、また言ってるな」って、きっとそういう感じになっちゃってるのかもしれないですね。
エミリー:そうなんですよ。
A:何かこう旦那さんの方でいろいろ調べてくれたり、その、治療について提案だったりっていうのはないですか?
エミリー:うーん、それはまったくないですね。まったくないです。ゼロですね。
A:ゼロですか。じゃあちょっと、やっぱり一番身近な人に理解してもらえないっていうのは、ちょっとだいぶつらいですですよね。
エミリー:そうなんですね。きついんです、だいぶ。
A:うーん、どうなんでしょう、その医療費なんかがけっこうやっぱりかさむと思うんですけれども。
エミリー:そうですね。すごい使いましたね。何百万とか使ってるような気がします。
A:そうですよね。
エミリー:うーん。そうです。
A:そういったのも、全部自分でっていう感じなんでしょうか?
エミリー:自分で、はい、自分で出してます。
A:だいぶつらいですよね。
エミリー:だいぶつらいですね。なんか人生の一番いいときなのに、なんかそういう痛みのせいで、まあ顔が腫れたりとかもして、まあ常に顎に振り回される毎日みたいな感じで。うーん。
A:そうですよね。お休みがあればいいんでしょうけど、きっとお休みがなくずっと痛い状態だと思うので、
エミリー:そうなんですよ。
A:で、これまあ仮の話なんですけれども、もしこの痛みがなかったら、まあモデルさんずっと続けたかったっていうお話は聞いてるんですけど、そのほかやりたかったことだったり、
エミリー:はい、そうですね、ありますね。
A:どうしても痛みがあることで諦めてしまったことだったりっていうの、おそらくたくさんあると思うんですよね、20年なので。そういうお話を聞けたらな、と思うんですけれども。
エミリー:はい、そうですね。私、フランスが好きなので、なのでフランスに留学したかったんですよ。
A:ああ、フランス留学ですか。
エミリー:年単位でしたかったんですけど、結局この痛みがあるせいで病院にも通わなくちゃいけないし、薬もそんなにね、もう3年分も持って行くなんていうのはどう考えても不可能ですし、もちろん出してもくれないだろうし、そんな薬を。で、あとやっぱお金ですよね。お金がやっぱり治療費の方にすごいかかってしまって、とてもじゃないけどその留学の方にお金のほうにお金を回す余裕がなく。いっぱい働けるような健康な体もないので。
A:そうですよね。
エミリー:うーん。もう留学は、長期留学はあきらめました。
A:長期留学ってなったら、だいぶ、数百万どうしてもかかってしまいますもんね。
エミリー:そうなんですよ。うーん。その間(かん)まったく治療しずに過ごすっていうのはかなり不安というか、なんですよ。
A:難しい話ですよね。そうですよね。やっぱり治療費がちょっと痛いですよね、かなり。
エミリー:すごい痛いですね。結局フランスには少しだけ行ったんですけど、それでもやっぱり苦労があって。スーツケースの半分は薬。痛みどめと、なんかそういう神経をよくする薬とかそういうのでもう満タンになっちゃって。短期でちょっと行っただけなんですけど、それがもう大変でしたね。あと薬の、全部の薬をなんか英語に訳して、それを、その紙を持って行って、聞かれたとき空港で、聞かれたときに答えないといけないので、それを持ってとか、そういう苦労もありました。
A:ああ、ちょっとそれを聞いただけでも。そうか薬、そうですよね、持って行かないといけないですもんね。[00:40:11]
エミリー:うん、そうなんですよ。で、やっぱりいるときでも、向こうにいるときでも、やっぱり痛いので、すごく。
A:何かしらの痛みどめは絶対に持って行かないと。
エミリー:絶対に、はい、そうなんですよ。うん。大量の薬っていうのが。
A:そうですよね。向こうで医療機関にかかったり、っていうことはなかったですか?
エミリー:この症状ではかかったことはないですね。
A:ま、かかってもちょっと言葉の問題とかいろいろあるから、難しいのは難しいですよね。
エミリー:そうなんですよ。お金の問題とかも、うん。
A:そうですよね。日本にいるときのようにはいかないですよね。
エミリー:そうなんですよ。
A:うーん。まあエミリーさんの場合はそうしてこう、まあちょっとお話を聞いてると、フランスがお好きだったりっていうの、いろいろあると思うんですけれども、じゃあ、何となくフランス人のお友だちとかもいるのかなーなんて。
エミリー:そうですね。友だちはいますけど。
A:たとえばこう、まわりのその知人だったりお友だちだったりっていう方は、そのエミリーさんの今の抱えている病気については知っているんですかね?
エミリー:友だち、そうですね、半分ぐらいの友だちは知ってますけど、でも言ってない人もいます。
A:それはどうして言わないんですか?
エミリー:なんか理解してくれなさそうな人だから(笑)。
A:ふーん(笑)。そうですよね、まあ人によりますもんね、病気の対応っていうのは。
エミリー:人によって。
A:そうですよね。理解得られなかったらそれはそれで悲しいですもんね。
エミリー:うん。そうなんですよー。
A:今のその、まあ半分くらいの知人の方はお話ししてるっておっしゃってましたけど、みなさんその、どうですかね、エミリーさんの痛みとかそのつらさに対しての理解だったりっていうのはあるんでしょうか?
エミリー:理解。一部の人は理解してくれます。
A:なるほど、一部の人は、
エミリー:うん、一部の人は。
A:でももう一方、一部の人は理解してくれない。
エミリー:は、まあ理解してないというか、忘れるみたいですね。私がこういう病気ですごく痛いっていうことをやっぱり普段は忘れてるみたいで。私が「痛いなー」ってちょっと言えば、「ああ、そう言えばそうだったね」みたいな感じでですね。
A:そうですね。痛みって、まあよく考えなくても、
エミリー:そんなずっとあるっておも…、
A:そうですよね、目に見えないですし。
エミリー:そうなんですよ。何かで測れるわけじゃないから、なんか速度計とかあるわけじゃないので、なんかそういうね、痛みの度合いの。うーん。口で私が「痛いんです」って言わない限りはわからないじゃないですか。
A:確かに普通に会ってて、この人が痛いかどうかっていうのはまったくわかんないですもんね。
エミリー:わからないから。でちょっと私がなんか浮かない顔というかしていたので、しているときがやっぱりあるみたいで、そういうときに「どうしたの?」って聞かれたときは「痛いです」って答えるようにしてはいますけど。
A:そういう部分でも痛みっていうのはつらいですよね。まったく目に見えないからこそ知人にもわかってもらえない、医者にもちょっとわかってもらえないっていうところはあるの、そうですよね、ありますよね。
エミリー:つらいですね。何か測るメーターみたいなものがあればいいんですけど。そんなものないので。
A:ほんとですよね。数値化できたらすごくいいですよね、なんか。
エミリー:うーん、そうなんですよね。
A:確かに目に見えないものは、ほんとにちょっとつらいですよねえ。
エミリー:うーん、かなり、つらいですね。うーん。やっぱりこれをまたその、フランスとかに行ったとしても、この友だちになった人とかにもこの痛みをいったいどうやって伝えたらいいのかもわからなくて、もう難しくて。なんかややこしいじゃないですか、病歴とか、なんかその、
A:ややこしいですね、確かに。
エミリー:「どんだけ、病院にこれだけ行って」とか、「手術したけど、でも悪化して」とか、うん。
A:そうですよね。
エミリー:うーん。なが…、なんかすごい長い話ですし。
A:普通のたぶん、一般的なって言い方変ですけど、健康な人からすると、「あれ? どうしてそんな何十年も痛いの?」って、きっとなりますよね。「あなた病院行ってるんでしょ、治療してるんでしょ。なのにどうして痛いの? 手術したのになんで痛いの?」っていう疑問を投げかけられて、きっと終わりですよね。
エミリー:そうなんです。うん。
A:きっと普通に一般的な、健康な人からすると、手術して痛みが残るとか、手術して麻痺が残るなんて、
エミリー:考えもしないですよね。
A:考えもしないですよね。「どうしてそんなに病院転々としてるの? あなたおかしいんじゃない?」みたいなこと言う人もきっといますよね。
エミリー:そう、いました、いました。「精神的なものから来る痛みなんじゃないか」って言われたことがあって、それはすごい嫌だったんですよ。「絶対に違う」って思ってたんで、「そんなわけはない」っていう。うん。[00:45:17]
A:精神的なところから来る痛みっていう、そういうことを言うかたっていうのは、ちょっとほんとに、まったく自分がきっと痛い思いとかってしたことないんでしょうね。
エミリー:ね。なんか緊張してお腹が痛くなるとかそういうふうだったらわかるんですけど、緊張、なんかそのストレスで顎、ピンポイントで顎だけ痛くなるって、ちょっと普通に考えてもおかしいと思うんですよね。
A:そうですよね。おかしいですよね。
エミリー:うん、おかしいですよ。
A:もう術後からその痛みが増えて、麻痺も起こっているわけですからね。
エミリー:うんうんうん。だから「絶対精神的なものではない」って私は思ってますけど。
A:はい。精神的なものって言ったかたは医者とかではないんですか? 医師からは言われたことはないですか?
エミリー:医者です、医者です。ありますよ。
A:医者から言われたんですか?
エミリー:そうなんです。
A:それは何科のお医者さんに言われたんですか?
エミリー:それは確かA大学病院のときの2番目の口腔外科の主治医というか。その私を診てくれていた人が再生歯科に移動してしまったので、次に一応2、3回その人に診てもらったんですけど、その、次の人に。その人がそういう傾向の人で。うん、そうですね。
A:「あなたは精神的なものから来てる痛みなんだよ」みたいな感じをはっきり言われたんですか?
エミリー:うん、そうですね。なので何か精神に効くような、何かこう頭の、頭に効いてくるようななんか強い麻酔薬みたいななんか、のを投与されて、それですごいふらつきがやっぱあって。ふらふらして、ちょっと病院で倒れてというか、
A:えー!
エミリー:ってしまったので、ちょっと横にならせてもらってから帰ったんですけど。でも、そのお薬を飲み続けるのはちょっと不安すぎたので、ことわって、で「どうしよう?」ってなったので、B大学病院のほうに行きました、という経緯ですね。
A:そういう経緯もあったんですね。
エミリー:そうなんです。
A:今まですっごいたくさんの医者とか医療従事者と関わってきたと思うんですけれども、そういった傷ついた経緯っていうのはこの、先ほどおっしゃった「精神的なもの」って言ったかたと、あとは手術を担当された人、その二人ぐらいですか?
エミリー:手術を、そうですね、手術をするだけして、そうですね、「もうお手上げです。」って言われました。
A:ああ、そうなんですね。
エミリー:うん。
A:うーん。「お手上げ」っていう言葉で片付けてほしくないですよね。全身麻酔で手術して、って、
エミリー:「手術後は診てくれないんだー」と思いましたね。
A:そんなバカな話ないですよね。
エミリー:そう、聞いたことないですよね。
A:手術後のフォローアップ、絶対フォローアップはあるはずですよね。
エミリー:うーん。そうなんですよ。
A:ほんとにじゃあ、ほんとに放り投げられたんですね。
エミリー:そうですね。
A:ああ。ちなみにそのC大学病院で術後入院されたっておっしゃってましたけど、入院中は別に、普通に入院生活を送られていたんですか?
エミリー:入院生活は、まあすっごい痛かったんですけど、切ったばっかだったんで。まあ普通には過ごせましたね、痛かったですけどね。食べ物は食べれなくて、全然、うん。液体を飲んでました。
A:ああ、栄養はもう飲み物からって感じ。
エミリー:飲み物から、はい。栄養剤的な飲み物っていうんですか、うん、を飲んでましたね。
A:入院中はまあ普通に治療してもらったけれど、その後退院して、痛みがずっと残ってるっていうような訴えをしたら、「もううちでは診れないよ、お手上げだ」っていうように言われたってことですか?
エミリー:そうです。で、データも渡されて、あの、MRとかの。「これを持ってどこか行きなさい」みたいな感じで(笑)。
A:えー。ちょっとそれは鬱病になってしまいますよね。
エミリー:そうなんですよ。鬱病になりますよね。
A:なりますよねー。
エミリー:うん、なります。ほんっとに。もう先が見えなくて、「いったい、私は一生このまま痛いのか?」っていう。うーん。[00:50:01]
A:要は手術の段階でも、発症からもう10年経ってますよね。
エミリー:そうですね。経ってますね。
A:10年ぐらいは経ってますよね、そうですよね。そのときはもうご結婚されてましたか?
エミリー:してましたね、はい。手術のときは、してました。
A:そのときは旦那さんとかっていうのは、どういう感じで?
エミリー:うーん。あんまり口でものを言わない人なので、なんか、何だろう、ちょっと感情がちょっと薄い、何て言えばいいんですかね、無表情(笑)。無表情、無感情な感じの人なので、まあ心配してたと思うんですけど、ちょっと何考えてるかわかんなかったですね。
A:あー、なるほど。
エミリー:うーん。まあ「痛いなー」って言っても、うーん、なんか、「うん、うん」みたいな、「そっかー」ぐらいで、反応は。
A:ふーん。なんか痛みがちょっと手術後増してしまって、麻痺も出てしまって、後遺症出てしまってってなっても、なおそういう特に変わりはないっていう感じですか?
エミリー:特に変わりはないですね。「何でだろうねー」みたいな感じで言うぐらいで。基本的には病気のことは一人で、今までもずっと、何とかしてますね。
A:今後もそれは変わらず。
エミリー:うーん、変わらないと思います。あ、でも今は、実家の母がまあY県(D大学病院がある県)なので、Yに住んでいるので、少し、うん、話は聞いてくれたりしますね。
A:誰かかれかちょっと、そうですよね、身近な人が、まあ寄り添うって言い方、まあ合ってるかわからないけど、寄り添ってもらわないとちょっと精神的に、
エミリー:まあ心配はすごいしてくれてます。
A:そうですよね。やっぱり心が持たないですよね。
エミリー:そうなんですよ。やっぱり理解、いきなり顎が痛いって言われても、「え?」
って。一番嫌だったのはなんか「顎関節症じゃないの?」って言われるのがすごい嫌で。絶対違うのに。
A:顎となると顎関節症って、確かにテレビとかでもすぐね、そうですよね。
エミリー:そう、顎イコール、そうなんですよ。うーん。「顎関節症なの?」って何も事情知らない子に言われて、「違うよ」って。でまた一から説明して、みたいな。
A:大変ですよね、一つ一つ説明して。しかもそれで説明して1回で理解してもらえるかって言ったら、そんなことないですもんね、きっと。
エミリー:うーん。そうなんです。うん。
A:そうですよね。ちょっと鬱のことも少しお聞きしたいんですが、その鬱病になってからじゃあだいぶ、
エミリー:経ちますね。
A:20年ぐらい経ちますよね。
エミリー:20年ぐらい。うん。
A:じゃあその鬱病の度合いっていうのは? 度合いっていうのはちょっと違うかもしれないですけれど。
エミリー:度合い。けっこう重症でしたね。
A:重症っていうのは、
エミリー:寝たきり。寝たきり。まあ痛いのもあったんですけど、痛いのも手伝って、寝たきりでしたね。
A:それはもう何にもしたくないという、
エミリー:何もやる気が出ないのと、もう「どうしよう」っていうなんか絶望感と、うん、何で、なんか、何でかわかんないんですけど、今までできてたことが全然できなくなってしまって。ま、できてたことって言っても洗濯とかですけど、洗濯とかやるのもすごいしんどくなって、で、できなくなっちゃって。で寝たきり生活が続きましたね、ずっと。
A:ああ、じゃあほんとに重い症状が、まあ痛みっていうのもちろんありますけど、
エミリー:そうですね、重かったですね。
A:ああ。前までは痛みがありつつも、洗濯だったり家事が何とかできてたことが、
エミリー:何とか、はい、できました。手術後にできなくなりましたね。
A:症状が加わってしまったことによって、どんどんできることがなくなっていったっていう感じなんですかね?
エミリー:そうです。うーん。そうなんですよ。
A:その期間っていうのはだいたいどれぐらい、その重い状態っていうのはどれぐらい続いたんですか?
エミリー:うーん、2、3年ですね。
A:長いですね。
エミリー:長いですね。
A:2,3年続いたんですね。
エミリー:はい。
A:それに対しての、その2、3年の間(かん)やった治療だったりっていうのはどういったものがあるんですか?
エミリー:うーん。このときは結局、麻酔科に回されたので、C大学病院の麻酔科で話を聞いてもらいつつ薬を、まあ痛みどめですよね、強い痛みどめで、麻薬とかのを飲んでやり過ごすっていう感じでしたね、毎日何とか。
A:じゃ、特に何かその抗鬱剤だったりっていうのは、まだこの時期には試してない感じのときなんですか?
エミリー:あ、そのときは試してました、抗鬱剤は試してました。けど、もちろん抗鬱剤は痛みには効かないので、私の痛みには。効くのもあるらしいんですけど、効く痛みもあるらしいんですけど、私のにはまったく意味がなくて、うーん、効く薬もなく。[00:55:24]
A:じゃあこの2、3年の間、ほんとに寝たきりだったその2、3年を経て、ちょっとずつその鬱の症状は良くなっていったんでしょうか?
エミリー:うーん。波があって。
A:やっぱり波あるんですね。
エミリー:波がありますね。絶望的な気分になると、ほんとに「ああ、もう」、なんか廃人のようでしたね。
A:うーん。よく言いますもんね。もうなんか、
エミリー:うん、もう***(00:55:57)ないし、
A:「消えてしまいたい」とかってなるって言いますもんね。
エミリー:そうですね。なんか鬱病だけの人でも、なんかお風呂入れなくなったりとか。
A:言いますよね。
エミリー:うん。何もできなくなるんで、さらに痛いので、よけいにできなくて。
A:そうですよね。
エミリー:うん。そうなんです。
A:痛みが手伝うとよけい…、でもたぶんこの鬱の症状っていうのは痛みがたぶんきっかけになっているので、その痛みが落ち着かないとその鬱の症状も落ち着かないっていう状態なんでしょうね、きっと。
エミリー:だと思います。
A:うーん。今なお鬱の症状とは戦ってらっしゃる?
エミリー:はい。
A:あ、そうなんですね。
エミリー:はい。
A:今はでも、その術後2、3年のときみたいに、寝たきりとかにはならずっていう感じにはなってるんですか?
エミリー:そうですね。鬱の方はいい先生が見つかりまして。
A:あ、そうなんですね。
エミリー:そうですね。そこに変わってからは、まあわりと寝たきりではなくなりましたけど。ほんとは寝たいんですけど(笑)、「なるべく起きてるように」っていう話で。うん。あ、でもいろいろ、
A:それはきっと「活動したほうがいいよ」っていうことを言われてる?
エミリー:そうですね。日光を浴びるとか、なんか体をちょっと動かすとかしたほうがいいって言われてるんで。よけい悪化するらしいので、寝たきりだと。
A:ああ、やっぱりそうなんですね。
エミリー:うーん。あ、でも一応先生のことは信じてやっていますけど。
A:少しずつはよくなっていってるかな、という?
エミリー:かなー? どうかなー? うーん。でも、波がありますね、やっぱり。日によって、「ああ今日はだめだー」っていうときと。
A:やっぱりそれは、ずっと痛みが強かったりすると、鬱症状もきっと強くなりますよね。
エミリー:そうですね。そう、それと不眠になるんですよ、痛いので。眠りたいんですけど、眠れないですね、痛くて。寝れない。
A:そうですよねー。
エミリー:なりますね。うーん。
A:確かに普通に肩痛いとか、どこか痛いっていうだけでも、ちょっと眠りに支障をきたしますもんね。
エミリー:うーん、そうなんですよ。うーん。だから睡眠薬は手放せない。
A:睡眠薬はやっぱり睡眠のほうにも効きますか?
エミリー:そうですね、まあ効きが悪いですけど。
A:はい、まあでも痛みにも何となく効いてる気もするし、
エミリー:何となく効いてる気もするし、まあ何とか寝れてますね。
A:寝れてる。ああ、よかったですね。ちょっと眠れないってやっぱり、
エミリー:まあでもきついですね。でも飲まないとまったく寝れないですよ。まったく一睡もできないです。
A:えー、一睡もできないんですか? ゼロ?
エミリー:うん。ありましたね、そういうとき。ゼロ、ゼロ。
A:徹夜ってことですか?
エミリー:徹夜、徹夜、うん。何とか寝れても30分とか1時間とか。
A:ああ、それはちょっとなんか、
エミリー:寝てるというよりは気絶してるに近いみたいな(笑)。
A:そうですよね。体をちょっと悪くしちゃいそうですよね、そういう状態が続いてしまうと。
エミリー:で、悪循環でまた痛い、痛くなるんで、ひどく、痛みがひどくなるんですよね、寝ないと。
A:ああ、睡眠不足だったりすると、そういうのありますよね。
エミリー:寝不足だと。うーん。
A:健康な状態でも睡眠不足だったら、「ああ、ちょっとなんか首が痛いな」っていうのありますもんね。よけいですよね。
エミリー:そうなんですよ。よけいですね。[01:00:04]
A:今その通ってらっしゃる病院っていうのは、その顎の疼痛、下顎骨骨髄炎の方でY県のほうと、鬱病のほうの心療内科?
エミリー:はい、心療内科に通ってますね。それはXの病院ですけど。
A:Xで。でもちょっとY県に通うってだいぶ遠いですよね。
エミリー:だいぶ遠いですね。
A:そうですよね。でも、やっぱりその近隣じゃちょっと見つけられなかったっていうことなんでしょうか。
エミリー:そうですね。
A:ああ。大学病院たくさんあるような気はしますけどね。
エミリー:うーん。
A:やっぱりでもなかなか、あちこち回っていると、そうもうまく見つけられないんですね、病院って。
エミリー:そうですねー。
A:そうですよね。もう、ではエミリーさんとしてはD大学病院、そこで、
エミリー:D大学病院ですね。
A:この先もちょっとしっかり診てもらおうっていう感じですか?
エミリー:うーん、そうですね。最後の病院にしたいですね。最後の病院というかね、この病気に関してはですけど。うんうん。
A:そうですよね。どうにかして痛みから脱したいですよね。
エミリー:解放されたいですよね。
A:そうですよね。この20年間、
エミリー:うん、死ぬ…、また、ね、死ぬまで。うーん。
A:そうですよね。20年間、その、楽な、何て言うんでしょうね、
エミリー:楽な日ですか?
A:そうです。痛みがちょっと楽な期間だったり、そういうのはないんですか? たとえばこの季節が楽だよーとか、この季節がつらいよーとか。
エミリー:夏ですね。冬はすごくつらくて、夏はまあなんか精神的にもっていうのもあって、何だろ、ちょっと楽になるような気がしますけど、気がしてるだけだと思いますけど。
A:なんか日が昇るの早かったり、なんか冬はちょっと暗くなるのが、
エミリー:そうですね、あと日光も浴びれるし、そう。冬は寒いとよけいに痛くなる気がして、なんか。
A:ああ。でも気圧で痛みが出るっていうのは、よくなんか腰痛のかたから聞いたりしますね。
エミリー:そうなんです。あと天気が悪くて雨降ってるとやっぱ痛いですね、すごく。
A:ああ、やっぱりそういうのあるんですね。
エミリー:そうですね、雨とか雪とか。なんか嵐になったりすると、もう「ああ、すごい痛いな」ってなりますね。
A:なんか近年あるゲリラ雷雨とかでも、じゃあ相当、
エミリー:そうですね、うん、左右されるというか。天候に左右される痛みですね。でも毎日晴れるわけにもいかず、ねえ、天気のほうも。
A:そうですね。毎日どっちかって言うと、日本の天気だと曇ってるというか、あんまりよろしくない天気のほうが多いですもんね。
エミリー:そうなんですよ、そう。だから夏が好きなんですけど。
A:ああ、そうですよね。やっぱり少し晴れててほしいという、うーん、なるほど。どうなんでしょう? 気圧ってなるとたとえば、何となく思いつきなんですけれども、ハワイとかなんかすごく天気いいイメージじゃないですか(笑)。
エミリー:そうですね。
A:ああいうところだったら、痛み寛解したりするんですかね?
エミリー:うーん、多少はよくなるような気がしてましたけど。あ、ちょっと旅行に行ったときなんですけど、それは。
A:あ、そうなんですね。
エミリー:はい。でも、気がしてるだけなんで、はっきりよくなってるかどうかはわかんないですね。
A:長期でもしかしたら行ってみたら、何かわかるかもしれないですよね。何か月っていう単位だったら、もしかしたら日本の気候と比べて、もしかしたらハワイ楽だとかっていうのはあるのかもしれないですよね。
エミリー:うーん、そうですね。うーん。
A:どうなんでしょう? フランスの気候って、ちょっとわからないんですけれども。
エミリー:日本よりましだと思います、ましというか、日本よりは、うん。
A:なんかイメージはそうですよね、よさそう。
エミリー:日本よりはまあ多少楽になるような。まあたぶんテンションとかも上がってるんで、よけいそういうのがある、手伝ってるのかもしれないですけど。うん。ま、乾いてるじゃないですか、空気が。
A:そうですよね。なんかじめっとしてないですよね。
エミリー:それはすごい良くて、うん。それはすごい良くて、顎には。なんか雨が降ると湿気とかですごい、湿気がすごいじゃないですか。
A:そうですよね。痛み増しそうですよね。なんか***(01:04:29)だけでも。
エミリー:梅雨時とか、だから大変で。
A:ああ。フランス、梅雨とかきっとないですよね。日本独特な、これそうですよね。梅雨、台風ってそうですよね。
エミリー:そうなんですよ。うーん。うんうんうん。
A:じゃあせっかくの夏が来ても、この梅雨だったり台風だったりで台無しっていう感覚もあるっていう感じですかね?
エミリー:台無しですね。ありますね、ゲリラ豪雨で台無しとか。
A:そうですよね。
エミリー:てことは、結局楽なときはないっていう、
A:結論になってますよね。
エミリー:うーん、そうなんですね。[01:05:04]
A:でもやっぱりこの20年間、じゃあほぼ楽だった期間っていうのはエミリーさんの中では思い出せない感じで、ずっともう何十年も痛いっていう?
エミリー:ないです。ないですね。はい。痛いです。
A:何とかちょっとここから脱したいですよね。
エミリー:うん。
A:あとちょっとこれまだ聞いてなかったんですけども、エミリーさん、ご出産って、
エミリー:あ、出産はしました。えっと、2年9か月前に。
A:ああ、つい最近ですね。
エミリー:はい、約3年前。うん、しましたね。
A:何となく、こうイメージなんですけれども、赤ちゃんお腹にまあ妊娠しているときだと、ちょっと薬が飲めないんじゃないか? とかっていう、そういうご苦労っていうかあったんじゃないかと。
エミリー:そうですね、すごい苦労しました。なんか、何でかわからないんですけど、妊娠したらものすっごい顎が痛くなって、もうちょっとありえないぐらいの痛みで。だけど薬も飲めないじゃないですか。もう耐えるしかなくって、もう。でしかも、出産が普通の産院ではできなくて。
A:あ、それはどういう理由?
エミリー:断られて。私の病気、その顎の骨髄炎のことがあって、「この病気を持ってます」って言ったら、「うちでは診れません」ってまた産婦人科のほうに言われて、で、「大学病院で産んでください」って言われまして。で大学病院に行こう…、大学病院の前に医療センターに行ったんですよ。医療センター行ったんですけど、それでもそこでも「だめだ」って言われて、しょうがなくそこから大学病院紹介してもらって、それはD大学病院だったんですけど、やっとそこで、
A:あ、それが、はい。
エミリー:そうなんですよ。でやっとそこで診てもらえることになって、何とか通えましたね、産婦人科。
A:ああ。もうあれですよね、10か月間、じゃあすっごい痛みと、でも薬飲めないつらさの二つを味わって。
エミリー:すごかったですね。もう体験したくないほどの痛み。
A:想像を絶しますね。
エミリー:うーん。
A:薬っていうのは全く飲めなくなるものなんですかね? やっぱり。
エミリー:まったくではないんですけど、やっぱり強い麻薬は飲めないので。
A:そうですよね。
エミリー:うーん、ですね。なんか一般の人、一般の人って言うか、まあ健康な人でも風邪薬すら飲まないって言うじゃないですか。
A:言いますよね。まったくお腹にいる間は何も飲まないっていう人、たくさんいますよね。
エミリー:そう、そうそう、飲んでも漢方程度みたいな、そう。なんで、もうちょっと地獄でしたね、妊娠中は。
A:ああ、ちょっと普通にしてても痛いのに、妊娠したらより痛くなるっていうのはちょっとびっくりですよね?
エミリー:より、ほんっとに痛くなりましたね。あんなに痛いことはもう、なんか、ないぞっていうぐらい痛かったですね。また寝たきりで、また寝たきりに戻って、そこで。
A:ああ、そうなんですね。
エミリー:うん。痛すぎて、寝る以外なくって。もういろんな人に「痛いよー」ってなんかメールしたり、もう電話したり、なんか気を紛らわそうとして、あれやこれやしてましたけど、すっごいつらかったですね。
A:その期間、また寝たきりになってしまったってことなんですけれども、やっぱご主人の支えがないとちょっと難しいですよね。
エミリー:そうですよねー。まあ妊娠中はけっこうやってくれました、家事とか。
A:あ、そうなんですね。
エミリー:うん、はい。
A:じゃないと、ちょっと難しいですもんね。それだけ痛くて寝たきりになってしまってってなると。
エミリー:無理なんで。はい、そうなんです。でさらにつわりとかもあるじゃないですか。痛いうえに気持ち悪くて。でけっこう吐くと、なんか痛くなるじゃないですか、なんかこの顔っていうか、ね。
A:あ、まあここ使いますからね。顎、そうですよね、使いますもんね。
エミリー:口、口がそう、でまたすごい痛くなって。そういうのに反応するから痛みがひどくなって、もう地獄でしたね10か月。
A:ああ、それはちょっともう聞いてるだけで、もうこっちまで痛くなってくるような(笑)、そんなお話ですね。
エミリー:(笑)
A:で、まあ出産後は元の痛みに戻ったって感じなんですかね? やっぱり。
エミリー:そうですね、元の痛みに戻ったんですけど、あとまあ薬を飲めるようになったので、もう出産したしゅ…、瞬間ではないですけど、その日にもう薬を飲み始めましたね、痛みどめだとか何だとかを。うーん。[01:10:04]
A:飲まないでやるのってちょっと不可能ですよね? お話聞いてても。
エミリー:不可能ですね。うーん。
A:そうですよね。もしも、たとえばですけど、旦那さんが二人目ほしいなんて言い出したらどうなさいますか?
エミリー:うーん。いや、断りますね。
A:やっぱりそうですよね。
エミリー:うーん。もうあの痛みはちょっと勘弁してほしいので、はい、無理ですね。無理です、ほんとに。
A:何かこう痛みに対して対策というか、痛みから逃れられるすべがあるんだったら大丈夫なんでしょうけど、ないですもんね? お話聞いてると。
エミリー:そうですね。ない、ないですよねー。うーん。
A:もうただただ我慢するしかないっていう状態ですもんね。
エミリー:そうですね。しかも二人目ってなったら上の子がいるじゃないですか。上のこの面倒見なきゃいけないから、寝たきりになれないんですよね。
A:ああ、そうですよねー。まだ上の子も小さいですからね。
エミリー:小さいですから、うん、なんかそのこともあって、そのこともあってと言うか、この病気のことがあったんで、出産時期っていうのをやっぱりすごい悩んで。「いつ子どもを産めるんだろうな」みたいな、「産めるのか? はたして」っていう感じでずっと来てて、でもうちょっと一応決断したというか、決断してまあ産むって決めたんですけど、やっぱすごく痛かったので。うーん。ちょっと想像より痛かったですね。
A:えー。もう10か月それをちょっと耐えるってなったら、自分だったらちょっと難しいかな、とかって思っちゃいましたけど(笑)。
エミリー:(笑) そうですね。
A:ただ我慢するって、ちょっともうほんとに難しいですよね。
エミリー:難しいですね。
A:でもこう、お腹に赤ちゃんがいるから安静にしてなきゃいけないわけじゃないですか。安静にしなきゃいけないとか、変なことできないですよね。
エミリー:変なことできないですね。
A:***(01:12:00)からって言って、わーってなんか暴れたりできるわけじゃないだろうし。
エミリー:うーん。もうとにかく布団の中でね、じーっと耐えるのみっていう、うーん。つらいですね、妊娠は。
A:その妊娠、出産をきっかけに、D大学病院のほうで、
エミリー:そうです。そうですそうです、そうなんです。
A:あ、なるほどなるほど。ああ、そうなんですね。でもよい先生に出会えて、それはほんとによかったですよね。
エミリー:はい、それはすごいよかったですね。
A:じゃちょっと遠方とはいえ、やっぱりその医師がその痛みに対しての理解あるのとないのとじゃやっぱり全然ちょっと違いますもんね、精神的にも。
エミリー:うーん、だいぶ違いますね。
A:そうですよね。「この人に相談したら、もしかしたらいろいろ考えてくれるかもしれない」という医師が一人いるだけでも違いますよね、気持ちがほんとに。
エミリー:そうなんですよ、その麻酔科に回すってこともしなかったし、なんかね、「もうお手上げ」ってそういうのもなかったので、今でもちゃんと診てくれるって言ってますから。
A:その「麻酔科に回す」っていう言葉が先ほどからちょっと何回か出てるんですけれども、どうなんです? その麻酔科に回されることって多いんですかね?
エミリー:多いですね。でもすごい嫌なんですよ、それすごく。だって原因取り除いてないのに、痛みがあるから麻酔科で何とかして、みたいな感じじゃないですか。
A:とりあえず対処療法ですよね、薬でどうにかってね。
エミリー:ほんとに、「じゃあ一生薬飲み続けるのか? モルヒネを」みたいな、ちょっと疑問ですよね。
A:そうですよね。なんかお話を聞いてると、ちょっと口腔外科、まあ歯科のそこの先生たちは、けっこう何か自分の手に余るというか、困ったら麻酔科っていうことを言いだすのかな? なんてちょっと今聞いてて思ったんですけども。
エミリー:そう、そんな感じですね。
A:ああ、やっぱりそういうところあるんですね。
エミリー:はい。
A:たぶんあれですよね、エミリーさんもその麻酔科っていう言葉がきっと何度も聞いてるから、「あ、また麻酔科か」ってきっと、
エミリー:そうですねー。「またか」ってなりますね。うん。
A:でその行くたびに、きっと何か強い薬だったりっていうのが増えていって、って感じなんですよね?
エミリー:そうですね。
A:なので、今はじゃあ麻酔科ではなくて口腔外科できちんと診てもらえてるので、まあそこに関しては、
エミリー:はい、今は口腔外科で、そこは安心かなーと思いますけど。うーん。
A:安心かなっていう感じですよね。今後ほんとにこれはもう、絶対それは思ってると思うんですけれども、絶対痛みから脱したいわけじゃないですか。
エミリー:うんうんうんうん。
A:痛みから脱するために今後やろうと思っていることって、まあ手術もちろんあると思うんですけど、そのほかになにかありますか? ちょっと難しい質問かもしれないんですけれど。
エミリー:うーん。もう1回抗生物質を飲んでみるとか? [01:15:03]
A:ああ、なるほど。たとえばあれですよね、抗生剤と言ってもいろんな種類あるから、
エミリー:うん。いろいろ試してみるとか。
A:そうですよね。試してみたいという気持ちはありますよね。
エミリー:手術をすることによって血流がよくなるらしいので、薬の成分が行きわたるらしいんですよ、骨のほうに。
A:ああ、なるほど、はい。
エミリー:なんで、もう1回抗生物質とかを飲んで薬を行きわたらせて、どうなるのかなーっていう感じですけど。まあでも今手術もいつに、いつやれるかどうかっていうの、もうさっぱりわからないので、コロナのせいで。
A:そうですねえ。骨に穴を開けるってなると、そこでまたなんか素人考えだと、麻痺とかっていうのはまた新たに出たりしないのかなっていう、ちょっと不安ありますよね。
エミリー:ちょっと不安ですね。あります、あります。不安ですね。不安です、かなり。
A:不安ですよね。神経損傷しちゃったりするとまたちょっと厄介なことになるじゃないですか。
エミリー:そうですね。
A:そうですよね。そういうのやっぱり怖いですもんね。
エミリー:怖いですね。うーん。「でも何もしないわけにはいかないし、でも」みたいな。「でも何かなったらやだし、でも」って、その繰り返しですね。
A:そうですよね。なんか聞いてると、やること全部やってきてますもんね。
エミリー:そうですね。
A:治療、手術、ブロック注射だったりっていうのも全部やってきて、今があるっていう感じですもんね。
エミリー:そうなんですよ。
A:でもまあその中で効果があったものっていうのは、何一つなくっていう。まあ***(01:16:39)言うと、現代の医療では、とりあえずまだ解決するすべはないというか、そういう感じですよね?
エミリー:そうですね。うーん。そうですね、はい。そうなんです。で、なんか知名度が低い病気なので、それもなんか、何だろ、ね、なんかあんまり理解されない原因というか。
A:骨髄炎だけ取り上げると、なんか骨髄炎ってまあちょこちょこ聞くじゃないですか。足の指の骨髄炎になったとか何か。でも確かに顎の骨の骨髄炎ってなると、あんまりその一般的には知られてないっていうのは確かにある。
エミリー:うん。知られてないし、
A:なんか想像するとすっごい痛そうだなっていうのはあるんですけど、確かに知られてないのはありますよね。
エミリー:うーん、そうなんですよ。で、説明するのもすごいもう厄介だし。うーん、ああ。
A:最初はあれですよね、ほんとに虫歯の痛みで病院、歯科に行ってるわけですよね?
エミリー:歯科に行って治療をしたんですけど、なんか治療ができきれなかったというか、ちょっと残ってたんですかねえ、虫歯が。虫歯が、ちょっとわからないですけど、それで歯髄炎とかなったりして、そっから進行して、で骨髄まで来ちゃってっていう感じだと思うんですけど。
A:うーん、なかなか難治***(01:18:11)になっちゃった。
エミリー:なっちゃいましたね。
A:ほんとに最初は他の虫歯の歯の痛みと変わらなかったんですか? 全然同じ痛み?
エミリー:そうですね、最初は変わらなくて、治療をして、歯、治療した後にこの痛みになりましたね。
A:一軒目で虫歯の治療をしてから、痛みが出た。
エミリー:歯医者で、一軒目、それからもうこの痛みになりました、今のこの顎の痛みになって。でも、「歯は大丈夫、大丈夫、何にもなってないよ」っていうふうに言われるんですけど、「いやいや、でもこんなに痛いんだから、何もないわけないでしょ」って。あとあれですね、「親知らずのせいじゃないか?」っていう、それ疑われて1回。で親知らず抜いたんですけど、まったく良くならず、ただ親知らずを抜いただけっていう(笑)。うーん。
A:でも、治療しない方がじゃあもしかしたら痛くなかったかもしれないっていう状況なんですかね。
エミリー:歯医者、違うもっといい歯医者に行ってれば。いい歯医者というか、ね。
A:そうですよね。
エミリー:うん。ちょっとそこの歯医者を選んだのが間違いだった。
A:確かに。その治療っていうのは、ほんとにただの虫歯治療だったんですか? 削ったり要は、
エミリー:ただの虫歯治療とか、削ったり、あと根っこの、根っこの処置、ですね。
A:ああ、はい。何か薬入れたりするやつですよね? 根っこに。
エミリー:薬入れたり、ぐりぐり針みたいなのを刺して何かやるやつですね。
A:ああ、ありますよね。はい。そのあとからじゃあ痛くなってしまったという?
エミリー:痛くなりましたね。塞いでから痛くなりましたね。その、蓋をしてっていうんですか、歯の。うーん。
A:なんかこのイメージですけど、歯の中の神経って細いじゃないですか。その中で何かいろいろやるんだから、なんか痛みが起こってもおかしくないのかなとは思ったりもしますけど。でも怖いですよね。普通の歯科治療で虫歯の治療をしただけなのに、そんな痛みで、しかもそこから20年って。もう人生がほんとに、
エミリー:そう、まさか20年もね、いくとは。[01:20:14]
A:そうですよね。思わないですよね。ただの、
エミリー:思わないですね。しかもまだこれからもまだ続くっていう。
A:そうですよね、ただの虫歯だと思いますもんね、最初の頃なんてね。
エミリー:思いますよね。うーん。変なこと言う人がいて、なんか「筋肉がこっていますね」とかわけのわかんないこと言う歯医者がいて(笑)、「そんなわけないでしょ!」って思いました。
A:要は「顎のまわりの筋肉が固いから、痛い」みたいなこと言い出したってこと?
エミリー:そう。こと言い出した歯医者もいた、いたんですよ、まあいろいろ回ってたときに。「絶対違うだろ」と思いながら、何かピップエレキバンみたいなのを持ってきて、「これを貼ったらよくなるんじゃないか」とか言うんで、「そんなわけないでしょ」とは思いながらも一応やってみたんですけど、やっぱり全然よくならず。
A:よくはならず。なんか筋肉の痛みと、その骨の中の痛みって絶対違いますよね?
エミリー:違いますよね。なんかものすごい鈍痛というか、まあ中に何か悪いのがいて、中からなんか内部からちょっと破壊されるような痛みなんですよ。あの筋肉痛のような痛みでは全然なくて。
A:ないですよね。きっと話を聞いているとそうですよね。筋肉の、なんか顎周りの筋肉が痛いのだったら、なんかそれはそれで、なんか絶対感覚違うだろうなって何となく思いました。
エミリー:そうなんです。うん。
A:違いますよね。
エミリー:そう。で結局1年も、だから放置してたわけで、病気を。その1年を有効に使っていたら、もしかしたら今は楽だったかもしれないですよね。
A:でも、わからないですよね、歯だし。これ歯じゃなくて、もしかして内臓だったら、なんかとんとん拍子って言い方おかしいですけども、もっと早く大きい病院にたどり着いてたかもしれないけど、結局「しょせん歯」っていうふうに思っちゃうじゃないですか、人って。
エミリー:そうなんですよ、「しょせん歯」とか「顎」とかなんか、うん、思っちゃう、思われるし、なんかたとえば、うーん、すごい有名な病気とかだったらすぐ理解してもらえますよね、人には。「えー、大変だね」みたいな感じで。
A:そうですよね、「大変だね」ってなりますよね。
エミリー:けど、骨髄炎って言って、「え、何それ?」から始まるから、理解してもらえないし、歯科の人もまさか、「まさか骨髄炎だとは」っていう感じだったんで、最後、最後見つけた人も。うーん。
A:そうですよね。骨髄炎ってなっちゃってたら、たぶん普通の歯科じゃ太刀打ちできないじゃないですか。大きい病院でちゃんと精密な検査して、ってね、もちろんそういう手順を踏んでらっしゃいますけど、そういうふうになっちゃいますもんね。ちょっと普通の一般歯科じゃ、「うちじゃあ無理」ってなっちゃいますもんね。
エミリー:そうー。であれやこれやと私も民間療法を試したんですけど、やっぱりよくならず。
A:え、たとえばどういういった?
エミリー:たとえばびわの葉、びわの葉茶とかを飲んだり(笑)、びわの葉をなんか、顎にひっつけたりして(笑)、くっつけたりして、なんか「よくなれ、よくなれ」みたいな感じで痛みが…、何かで、何かで読んだんですよね、びわの葉が痛みに効果があるって。
A:なんか雑誌とかに載ってる民間療法の一つですよね。
エミリー:そう、そうです。なんで、それにすがってというか、試したり。まああと水ですね、水。いい水を飲めば多少良くなるんじゃないかとか思って、なんか。水素水とかなんかあるじゃないですか。
A:ああ、水素水、ありますね。病気に、難病に効くとかって言われて。
エミリー:うん。とか、どこどこの温泉の。そう。とか、なんかいろんな種類の水があるスーパーに通ってあれやこれや水飲んでたんですけど、まあそう変わるわけもなく。
A:(笑) そうですよね。
エミリー:うん。はい。あとサプリメントとかも飲みましたね。DHAだったかな?
A:ああ、DHA、はい。
エミリー:うん。とかが効くんじゃないかって言う人がいたんで、身近に。なんか、「どうかわかんないけど試してみるわ」って試したんですけど、まあやっぱり効くわけもなく。
A:うーん、そうですよね。劇的には効かなそうですよね。なんか健康にはよさそうだけど。
エミリー:そう。民間療法は、そう、ちょっと無駄に終わった感じがあるんで。民間療法やって。
A:ああ、ほんといいろいろなこと試してきたんですね、やっぱり。
エミリー:うん、試しましたね。あ、なんか電気ショックみたいなのも(笑)。なんか麻酔科で、2番目に行った病院の麻酔科で、電気療法みたいななんかこうビリビリさせる電気をくっつけて顔に、何か刺激を送るみたいな、そういう療法もありましたけど。[01:25:09]
A:えー、それどうなんですか?
エミリー:それはもうちょっと、効かない、効かなかったですよね。まあすごい一生懸命やってくれてた、
A:なんか痛みがより増しそう。
エミリー:そう、一生懸命やってくれてたからそういうこともやったんだろうけど、先生は。まあでも効果はなかったですね。
A:ほんとにいろんなこと試してらっしゃるんですね。
エミリー:そうなんですよー。漢方薬もたくさん飲んだし、うん、血流をよくするとか言って。そういう漢方、血流よくする漢方ってあるじゃないですか。何か血のめぐりがどうのとかって言いますよね、なんかあっちのほうって。あっちのほうというか、漢方の部類は。
A:言いますね、血のめぐり。?(お)血が悪いとかね。***(01:25:59)とか言いますね。
エミリー:そうー、言いますよね。だから、そう、なので、
A:冷えがどうとかね。
エミリー:そう、冷え。冷えはなんか「一番原因かもしれない」とか言われて、そういう冷えをとるような漢方だとか、もうあれこれ飲んだんですけど、まあ効果はなく、残念ながら。
A:ああ、じゃあほんとに、もうあらゆること試してもまったく効果がない。民間療法もあらゆることを試すっていう感じで。
エミリー:うーん、そうですね。
A:で、今は特に民間療法とかはやってないんですね?
エミリー:もう今は効かないってわかってるんで、やってないですね。
A:そうですよね(笑)。それだけ試してると、もう「やってもしょうがないかな」ってなりますよね。
エミリー:そうですね。
A:ちょっと先ほどコロナの話出たんですけど、もうちょっと最後のほう、コロナのことを聞きたくてですね。まあちょっと先ほど手術が延期になってしまったっていうお話があるんですけれども、今ちょっと世界的状況でコロナウイルス感染症が流行ってますけれども、なんかそのエミリーさんにとって、まあ先ほどの手術の話でもう一度でもいいんですけど、大変なことっていうのを教えていただきたいんですが。
エミリー:大変なことはやっぱり、普通に風邪をひいたりインフルエンザになっただけでも顎の痛みがものすごい増すので。すごく痛くなるんですよ、ちょっと3倍ぐらい痛くなるのかな、いつもよりは痛くなるので。もしコロナになってしまったらどのぐらい痛いんだろう? っていうこの恐怖がありますね。
A:確かに。咳出たり熱出たりってなるとちょっと厳しいですよね。
エミリー:厳しいです。でもかと言ってまたこれ、また有名な持病じゃないから、たとえばなんか持病ある人には、こういう病気持ってる人にはなんか早くワクチンを投与がどうのこうのとか言ってるじゃないですか。「その中に私は入れるのか?」っていうこう謎。「この病気は認めてもらえるのか?」っていう。
A:そうですよね、もうもともと知名度低い、
エミリー:糖尿病とかだとね、ある病気はね、「あ、糖尿なんだね、じゃあ危ないね」ってなりますけど、「骨髄炎なんです」って言って、「え、骨髄炎? それって何?」から始まるから、認めてもらえるのが、
A:そうですよね。しかも顎の骨髄炎って言って、「へー、顎の骨髄炎?」っていう感じで終わっちゃうかもしれないですよね。
エミリー:「え、顎? え、顎?」みたいな。そうなんですよ。そう、だからそういうのはすごい不安ですね。
A:そうですよね。痛みが増幅するって、自分の中ではけっこう確信めいたものあるわけじゃないですか。こう咳をしたら困るだとか。
エミリー:ありますね。もう絶対そうですよ。絶対痛くなるので。
A:そうなりますよね。そういうのって、きっとまわりっていうか、わかってもらえない、それこそ理解してもらえないですよね?
エミリー:わかってもらえない。はい、理解してもらえないですね。それがすごいつらいです。
A:そうですよね。優先どうのこうのしてもらえるわけでもなさそうですもんね。
エミリー:そうなんですよ。うーん。もっと有名な病気だったら。うーん。
A:そうですよね。でやはり手術がこのコロナの状況で延期になってしまって、まあ「ちょっと病院にはまだ来ないでくれ」と言われてしまったことって大きい。その二つはやっぱり、じゃあかなり大きい感じですよね?
エミリー:そうですね。まあでもね、手術するかしないかもっと考える時間が増えたのは、そこだけはよかったかなとは思うんですけど。
A:そうですね、そこだけはちょっとじっくり、
エミリー:前向きに考えると、ですけどね。
A:まあ、そうですね。あとリスクと、メリットとデメリットを、そこはちょっと天秤にかけて、ほんとにゆっくり考えたいところではありますよね。
エミリー:そうなんですよ。うーん。
A:あと、逆にじゃあ、あんまりないとは思うんですけれども、こういう状況でよかったことってありますか?
エミリー:よかったこと、うーん、まあマスクとかみんなしてるから、自分もですけど、普通のか…、あと消毒とかもするじゃないですか。で、普通の風邪にはかかりにくくなりました。[01:30:05]
A:確かにそうですよね。冬の時期ってみんなだいたい風邪引いたりインフルエンザになったりしますけど、意外と今そっちは少ないかもしれないですよね(笑)、普段***(01:30:16)、
エミリー:うーん、そういうのはよかっ…、まあよかったというかね、前向きに考えるとよかったかなあと。
A:うん、そうですね。でもまあ言ってしまえば、つらい大変なことのほうが多いから、一刻も早く落ち着いてほしいっていうのが、たぶんでも、きっと心情ですよね?
エミリー:そうですね。そう、やっぱり自分がなったときにどれだけ痛くなるのかっていうのを考えるとすごい恐ろしいので。うーん。ちょっと、想像がつかない。
A:そうですよね。なんかお話聞いてると、やっぱりこうエミリーさんのその支障というか、やっぱり痛くなるか痛くならないのかって、当たり前だけどすごい大きいことだと思っていて。やっぱりこういうことをしたら痛くなるとか、こういうまあたとえば天気にしてもですよね。
エミリー:うーん、そうですね、ありますよ。何か食べると、物を食べるじゃないですか普通に、食べると刺激ですごく痛くなります。
A:ああ。でも食べないわけにいかないじゃないですか。
エミリー:そう、食べないわけにいかないし、食べるのも好きだし、食べてる最中は意外といいんですけど、食べた後なんですよ、問題は。食べた後にものすごい痛くなって、っていうパターンが多いですね。
A:じゃあたとえば三食毎日摂るじゃないですか。ま、食べてる時いいとして、三食後、必ず痛みが毎日襲ってくるという感覚?
エミリー:そうですね。食べたあとはやっぱ痛いですね。
A:ストレスがちょっとすごいですね、食べたあと絶対痛みが来るって。
エミリー:ストレスがこう、そう。あと集中力がまったくなくなってしまって。痛みに気を取られてしまうので、何かに集中するっていうことができなくなってしまって。
A:ああ、なるほど。確かに、痛いとちょっと集中なんてしてられないですよね。なんかたとえばちょっと勉強しようって思ってもはかどらないですよね。お料理とかもちょっと難しいかもしれないですよね。
エミリー:はかどらないですよね。うーん。そうなんですよ。集中力がなくなった。
A:どうなんでしょう、ふと思ったんですけど、熱をもったりすると痛くなるっていうのはあるんですかね? お風呂の中で痛いとか、たとえば。
エミリー:ああ。いや、お風呂の中は意外と楽にはなるんですけど、でも結局、ほんとに、ちょっとは温かくなるから、
A:あ、血流がよくなって、
エミリー:お風呂に入ってれば血流がよくなるから、ちょっと「よくなったかなあ」って気もするんですけど、でもやっぱりそれはまあまやかしというか、結局、気がしてただけで、やっぱり戻ってきたら「痛いわー」って。部屋に戻ると「痛い痛い」ってなりますよね。
A:まあそうですよね。じゃあ日常生活でほんとに痛みが増幅する動作っていうのはやっぱり咀嚼、食べるっていうこと。
エミリー:食べる。食べるのはやっぱり一番の刺激になってますよね。
A:たとえばどうなんでしょう、今日ちょっと長時間お話聞いてるんですけれども、こうやってたとえばお話終わったあと、痛みが増すってこととかもあるんでしょうか?
エミリー:しびれがね、けっこうひどくなりますね。
A:ああ、やっぱり長時間お話ししていると、しびれは増幅してくるんですね。
エミリー:しびれはひどいです。違和感ですかね、違和感。顎の違和感っていうの、すごいこう伝えてもなかなか分かってもらえないんですよね、違和感って言っても。
A:そうですね、難しいですね、違和感。
エミリー:「顎に違和感がある」って、なかなかないじゃないですか、普通に、普通の人は。
A:ないですね、ないです。
エミリー:うーん。ですねえ。
A:やっぱりこう動かしたりすることが、違和感だったり、麻痺が強くなるだったり、痛みにつながるんですかね。かといって顎なんて、顎の関節動かさないことなんて難しいですよね。常になんか、
エミリー:難しいですよね、なんか歯磨きとかね。
A:そうですよね。歯磨きもそうだし、何かものを飲むときとかでも使いますもんね、どうしても顎の関節って。
エミリー:そうなんですよ。やっぱさわるとすごく痛いので、歯磨きのときはすごく痛いのを我慢してやってる感じで。
A:ああ、磨かないといけないですもんね。
エミリー:磨かないわけにいかないし、これ以上骨髄炎が増えてしまったら困るじゃないですか。ねえ、また虫歯からなってって。うんうん。だから頑張るんですけど、ま、痛いです、でも。うん。[01:34:59]
A:エミリーさんの場合はその一か所以外は、たとえば他の虫歯がまた骨髄炎ぽい…、
エミリー:右とかですか?
A:そういうことはないですか? 大丈夫ですか?
エミリー:は、ないですね。この左下だけですね。うん。
A:ちょっと、ほんとにでも今後も予防には気を付けていかないと、もしかしたらそのやっぱり歯科治療きっかけで、わからないですけど、また今後何かあったら怖いですもんね、やっぱり。
エミリー:そうなんですよね。
A:そうですよね。そこはやっぱり予防ってなったら、ちょっと歯磨きしかないですもんね。虫歯にならないように、なんて言って。たぶんこれって普通に、まあ顎骨骨髄炎を知らない人からすると、「え?」ってきっと思われるような内容ですよね。
エミリー:そうですね。なんか世の中の人のほとんどが、たぶん顎骨骨髄炎って知らないと思うので。うん。私も知らなかったし。
A:「たかだか虫歯でしょ」ってみんな思いますよね。
エミリー:そうそうそう。思われちゃうから。
A:「虫歯なんて歯医者行って削れば治るでしょ」って、きっとみんな思いますよね。
エミリー:そうそう。甘く、甘く見てるじゃないですけど、なんか。
A:見てますよね。実際みんなそうだと思います。自分もそうですし、普通に生きていたらみんなそうだと思います。そうですよね。
エミリー:そうなんですよ。
A:今日いろいろお話を聞いて、まあそろそろ、いろいろお話を聞いて、
エミリー:あ、もう一つ思い出したことがあって、
A:はい。
エミリー:そういえば一度だけ、Z県の大学病院行きました。E大学病院行って、これは骨髄炎の名医がいるっていうのを私の母親がネットで見つけまして、それで診てもらおうっていうことになって、みんなで神戸に行ったんですよ、車で行って。
A:はい。また遠いですよね。
エミリー:またすごい遠かったんですけど、行って。で一応、その人がやってる治療っていうのは、何かゾメタだったかな? とかいう骨のこう、がんの人が骨に転移してしまったときに使う骨に効果がある薬らしいんですけど、骨の抗がん剤みたいな効果のある薬。簡単に言うとそういう感じの薬なんですけど、それを1回点滴して、
A:ふーん、点滴治療なんですね。
エミリー:そうなんですよ。して、で様子見っていうことになったんですけど、副作用がものすごくって、体中が痛くなるっていう副作用におちいって、なんか雑巾でぎゅーっと絞られてるみたいな、なんか妙な痛みでしたね、ほんとに。
A:え、それはその点滴を打ったことによる副作用に間違いない?
エミリー:そうですね、副作用でした。間違いないですね。
A:えー。
エミリー:でまあそれは、あと発熱があるって言ってたかな。なのでちょっと発熱したのかな、なんですけど。でも結局、効かなかったんで、それも。うん。無駄に終わったというか。
A:そんな強い副作用になったにもかかわらず、効果は出なかったってことですか?
エミリー:効果は出なかったので、「もうやっぱりうちでもちょっと診れないわ」って言われちゃったんで。結局また最後にね、2回目行ったときに。
A:ああ、そういう経緯もあったんですね。
エミリー:はい。
A:じゃあほんとに、あっちこっちの県またいで、もういろんな病院に行ってらっしゃいますよね。
エミリー:そうですね。うーん。
A:でもどうですか、今後もしもまたその、名医の話じゃないですけれども、「骨髄炎にこの治療法効くらしいよ」なんて、「この病院がいいらしいよ」っていうお話がもしもエミリーさんの耳に届いたら、また試したいとかって思いますかね? まあひょっとしたらわからないかも、
エミリー:思いますね。思いますね、うん、うん。
A:思いますか、やっぱり。そうですよね。わらをもすがりたいっていう気持ちはありますよね、きっと。
エミリー:そうですそうです。あります、ありますね。うん。
A:じゃ、もしもちょっと私のほうでも、今後何か情報を、もしもそういった下顎骨骨髄炎への情報がありましたら、すぐエミリーさんにお伝えしたいと思います。
エミリー:お願いします。
A:はい。ほんとに今日は長いことありがとうございました。インタビューに答えていただいてありがとうございました。
エミリー:はい。ありがとうございました。
A:ではまた連絡差し上げますので、そのときはよろしくお願いいたします。
エミリー:はい。ありがとうございます。
A:ありがとうございました。失礼いたします。
エミリー:はい、失礼しまーす。
A:失礼いたします。
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*頁作成:中井 良平