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「いまのまま働き続ければ自殺者もでます」――介護現場からの報告

白崎 朝子(介護福祉士・ライター) 2021/01/14

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last update: 20210202


■本文

白崎 朝子氏のメールより

 北海道で相談職として働くAさん(40代)の勤務先の母体は医療法人の病院。同法人の老人施設では、昨年末にクラスターが発生し、50人以上の感染者が出たため、 DMATが入った。現在、なんとか収束に向かっている。
 昨年末の12月は通常どおり賞与はでたが、職員全体に、「2021年以降、賞与減額か、もしくは3月の決算手当てが出せそうにない」とアナウンスがあった。コロナ禍がこれ以上長期化すると、給与面への影響はありそうだという。
 勤務先が医療法人だからか、消毒液や感染予防物資は潤沢に準備されてる。ただしマスクは支給ではなく自己購入だという。
 老人施設のクラスター発生時、職員の確保策として、同法人で経営している施設や母体病院から介護職員を派遣できた為、もともとの施設の職員は、現場仕事に専念でき、応援職員20名は、徹底的に消毒をしたり、補助的な仕事を担った。だが結果的に職員も20名以上が感染した。
 ただ、職員の感染者がピークの時には、初めに感染した職員が職場に復帰できる時期だった事や、そのタイミングで応援職員が派遣できたことが幸いし、人員確保は何とかなったという。
 老人施設の職員と応援の介護職員に、特別手当手とホテル代が出たが、1日2000円という微々たる額。年末年始は、泊まり込みやホテル住まいとなり、辛い日々を過ごして、1ヶ月が経過。職員たちの疲弊は凄まじい。
 しかし、まだ渦中を抜け出しておらず、収束しなければ、現場を担っている職員から詳細を聞けない状態だという。医療職は全員感染。一時は厳しい状態だったが、DMATが活躍したとのこと。
 Aさんは、「このままだと介護職員たちの心折れなどが多発するのではないかと危惧している。3月に離職者がでると思います」と懸念している。
 北海道は、11月中旬から自粛強化期間となったが、毎日感染者数が200人前後で推移し、この数字はクリスマス時期に80人台にまで減ったが、同時期、すすきので接待を伴う飲食店に出していた22時までの時短営業要請を解除した。この中途半端な対策で、年明け1月10日あたりからまた100人〜200人の3桁へと感染者が増えている。
 1月14日、北海道は緊急事態宣言の発令要請を国にするかどうかの検討に入ったとの報道があった。Aさんは、観光や経済の事を気にするあまり、対応が遅すぎて頼りにならないと感じている。
 以下、Aさんの言葉をそのまま転送する。彼女の言葉は介護現場の仲間たち、みんなの叫びだと私は思う。私の仲間たちの切なる叫びを聴いてください!
 「北海道は旭川のクラスター報道が最高潮だった時から、手をこまねいて、自衛隊が入るまで事態を拗らせたし、その後も受け入れ可能病床数が逼迫している現状です。
 行政はメッセージを出すことだけが仕事なのか。この年末年始も、すすきのの接待を伴う飲食店の営業時短要請を解除しました。感染は対策をしても0にできないし、高齢者の集団生活の場ではクラスター化も仕方がないかもしれません。しかし、政治的な対策は0か100かのような振り幅で国民を混乱させています。年単位の対策が示されれば、自営業者も年単位で生活や身の振り方を考えるだろうし、生活困窮者への対応も付け焼き刃では用をなさないことが予想できるため、長期的な経済支援をするしかないという流れになり、それはすべき事です。
 誰も英断しないことで、自粛ムードも緩み、GOTOフィーバーで一部の人だけが恩恵を受け、結果的に今この事態となっています。医療介護の現場職、そして私たち福祉相談職も、緊急事態だろうが、自粛強化期間だろうが、 GOTO キャンペーンなど関係なく、自粛の生活をして約1年になります。
 家族の健康や自分の健康に代えられない事態なので、誰に強制されなくても仕方ないと思っています。でも、せめて現場職は1ヶ月働いたら2週間休む、など休息を入れながら働けるような体制にしないと、長期的にいまのまま働き続ければ自殺者もでます。
 そこだけは、強く訴えたいです」。

2021年1月14日 北海道の介護現場からの報告


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立岩 真也


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*作成:安田 智博
UP: 20210202 REV:
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