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「政府は、緊急事態の全面解除にあたり高齢者の命と介護従事者の安全を守ってください『新型コロナ関連介護労働ホットライン』報告」

下町ユニオン運営委員長 山本 裕子・ケアワーカーズユニオン運営委員長 間庭 尚之 2020/05/24

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last update: 20200525


■本文

白崎 朝子氏のメールより



2020年5月24日
報道関係各位


下町ユニオン運営委員長 山本 裕子
ケアワーカーズユニオン運営委員長 間庭 尚之
江東区亀戸7−8−9松甚ビル2F
担当者:加瀬(事務局長)
電話03−3638−3369
E-mail shtmch@ybb.ne.jp

政府は、緊急事態の全面解除にあたり高齢者の命と介護従事者の安全を守ってください
『新型コロナ関連介護労働ホットライン』報告

 日頃からのご活動に心から敬意を表します。
 5月22日・23日、『新型コロナ関連介護労働ホットライン』を行いました。北海道から広島まで全国各地からコロナ禍で懸命に介護現場を支えている介護従事者の方から45件の相談が寄せられました。その多くは、マスクや消毒液など感染防護の物資が不足している、自分や家族に感染する不安や重症化しやすい感染弱者の利用者や入所者に感染させてしまうのではないかという恐怖、感染対策をしっかりしてほしいなど現場の切実な訴えでした。
 緊急事態宣言が全面的に解除されようとしています。社会が動き出して行くことで感染リスクが高まるのではないかという大きな不安を介護従事者は抱いています。特に高齢者施設では集団感染が多発しています。コロナで亡くなった人の7人に1人が高齢者施設です。
 WHOは新型コロナ感染対策の規制を緩和するにあたり高齢者施設への対策を要件の一つに挙げています。介護労働ホットラインを受けて現場の要望としてユニオンでは二度目になりますが、緊急事態宣言を解除するにあたり高齢者の命と介護従事者の安全対策、安心して働ける環境整備を求めて政府に対して緊急要請書を提出し下記の5項目について要請しました。
 
1.すべての高齢者施設について、感染予防の専門家による直接指導を行うこと。
2.マスク、消毒剤、防護服等の支給を行う体制を早急に整え優先的に支給すること。
3.すべての職員がいつでもPCR検査、抗原検査、抗体検査を受けられるようにすること。
4.集団感染が発生した場合は、自治体が対策本部を立ち上げて対処し、国が支援をすること。
5.介護従事者が安心して働ける環境整備(感染対策費、特別手当、宿泊費、感染時の補償)について支援すること。

 寄せられた相談の一部を紹介いたします。

「利用者に移してしまうのではないかと不安。まさに三蜜状態で生活介助している。」(介護福祉士・グループホーム/大阪)

「自分が入所者に移してしまうのではないかと不安。」(介護福祉士・老人保健施設/神奈川)

「熱が出ている入所者の食事介護は、誰かがやらないといけないがガウンなど支給されず不安だ。」(特別養護老人ホーム・看護師/千葉)

「ショートステイは出入りが激しいので感染が怖い。ハイリスクの利用者さんが多いので、緊張します。」(ショートステイ・介護福祉士/東京)

「自分や他の利用者さんへの感染が怖い」(デイサービス・看護師/東京)

「4月中旬からずっと職場に訴えているのに、感染対策をしてもらえず困っている」(デイサービス・ホームヘルパー/千葉)

「『移動』が制限出来ない在宅訪問ヘルパーは、もし自らが感染したらどれだけ周りに感染を広げてしまうか解らないので不安はとても大きい。利用者が熱発しても訪問を拒否する事が出来ない為、サービスは提供する」(訪問介護・その他/神奈川)

「高齢者相手だから感染のリスクが高い。働いている人が不安だ。緊急事態宣言を解除された後が心配だ。 危険手当を出すことにしたが、給与を上げてと言われている。」(特別養護老人ホーム・経営者家族/千葉)

「介護は身体的接触が避けられないので感染が不安だ」(グループホーム・介護助手/神奈川)

「マスクを自腹で用意している」(訪問介護・ホームヘルパー/東京)

「5月初めは消毒液とマスクはほとんどなかった」(ショートステイ・介護福祉士/東京)

「マスクの配布を施設に指導してほしい」(デイサービス・看護師/東京)

「マスクと消毒用エタノールは大分改善されて来たが、今月に入り使い捨て手袋の確保が困難に。 マスクは洗濯で数回利用したり布で自作する事で、エタノールは次亜塩素やアクセルなど他の物を使う事が出来るが、 身体介護用は使い捨てゴム手袋は使い回しが出来ず、代替えや自作は無理。マスクより深刻」(訪問介護・その他/神奈川)

「入所者が感染した場合、病院に入院するまで、私たちは介護するので、その際の感染が心配なのでPCR検査をしてほしい。 自分も60代なので、感染が怖い。辞めることもできない。」(介護福祉士・老人保健施設/神奈川)

「利用者さんの家族が発熱した場合の対応が難しい。検査をやってほしい。」(訪問介護・ホームヘルパー/東京)

「自分が感染していた場合、利用者さんや家族への感染が怖いのでPCR検査してほしい」(訪問介護・その他/神奈川)

「老健で集団感染が起きているのだから、高齢者施設の職員全員のPCR検査を実施するべきだ。」(北海道)

「高齢の親や子どもへの感染が心配なので、自分だけアパートを借りている」 (特別養護老人ホーム・看護師/千葉)

「マスクの配布を施設に指導してほしい」(派遣社員/東京)

「介護の現場の大変さを厚労省はわかっているのでしょうか? 職員は一日に3回、熱のある利用者は1時間に1回、検温しているのですよ!」(ショートステイ・介護福祉士/東京)

「経営者は関係ないと思っている様子なので、感染対策をしっかりするよう行政から指導してほしい。」(特別養護老人ホーム・看護師/千葉)

「事業所単位では要望が出しにくいので、ユニオンから行政に訴えてほしい」(グループホーム・介護助手/神奈川)

「なにかあったらどうしようと思いながら、その時々の出来事に対応する。今日も何事もなかったと思う時間にはアタマがパンパンになる。最近は眉毛の下が慢性的に疲れている。眼精疲労だと思う。ストレスでいっぱい。(デイサービス・介護福祉士/東京)

「施設でクラスターが発生してすべての職員と関係者がPCR検査を受けた。陽性者だけでなく陰性でも2週間の自宅待機となり介護をやる人がいなくなり他施設から応援でなんとか現場はまわっている。法人任せで行政からの具体的な支援がない、補償もない。国や自治体から支援と補償をしてほしい。」(特別養護老人ホーム・介護職員/東京)

「施設の管理者が危機感がなく、いつ集団感染が起きてもおかしくない。心配でたまらない。介護のスタッフも感染予防の知識があまりない。行政から感染症予防の専門家を派遣して直接指導してほしい。」(老人保健施設・看護師)

「自分が最初の感染者になって入所者に感染させてクラスターが発生させてしまうのではと考えると怖くて仕方がない。家に帰っても強迫観念で外出はほとんどしていない。医者からはうつ症状だと言われた。」(老人保健施設・看護師)

「自分も感染が怖いが重症化しやすい入所者に感染させてしまったらと不安で仕方がない。緊急事態が解除されたら電車もラッシュになるので感染リスクが高くなるので怖い。ずっとこのようなストレスの中で働かなければと考えるとせめて特別手当を支給してほしい。」(特別養護老人ホーム・介護福祉士)

「無症状の人もいるので、いつ誰が感染するかわからない。とにかく検査をやってほしい。」(特別養護老人ホーム・介護職員)

「事業所の対応があまりにも各自に任されている点が疑問です。もっと根拠のある徹底した指導、または、感染した時の相談窓口や検査を率先して用意してくれるなど現場の不安感を取り除いく対策がほしいです。」(訪問介護・ホームヘルパー/東京)

「家族から介護の現場で働くことを反対されている。子どもが呼吸器が悪いので、通勤途中での感染も心配。 補償も危険手当もない。勤務日数を減らして安心して働ける職場になってほしい。行政も考えてくれると良い。」 (デイサービス・介護福祉士/東京)

「高齢者の体調や都合により、訪問介護のキャンセルが続き、収入が減った。生活が不安。」(訪問介護・ホームヘルパー/東京)

「介護施設で勤務。かろうじてコロナは出ていない。 これまで以上に神経を使い、感染対策を強化している。マスクやアルコールがなかなか入荷しない、自分で高額なマスクを購入している。2月から現在まで職員一同疲れ果てて精神的にも追い詰められている状況。感染防止の為に 親、娘達 孫達にも会えてない。いつ会えるのか 親にも会いたいと言われ でも会いに行けない。この気持ちをわかってもらえますでしょうか。精神的に堪えているが、自分を保てなくなってきている。どれだけ神経をすり減らして感染予防対策をしているのか わかって欲しい。まだ出ていない介護施設にも精神的苦痛の代償として支援給付金をいただきたい。介護従事者としての願い」(介護施設・介護職員)


以上


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