私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて行動しています。
新型コロナウイルス感染状況が深刻な中、しょうがいしゃの命、そして、福祉や医療で働く人たちの命のため、以下のことを要請します。
4月1日、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」(以下、専門家会議)は、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を発表しました。その「(3)医療崩壊に備えた市民との認識共有」の中で、「諸外国の医療現場で起きている厳しい事態を踏まえれば、様々な将来の可能性も想定し、人工呼吸器など限られた医療資源の活用のあり方について、市民にも認識を共有して行くことが必要と考える。」と記述しています。報道によれば、「人工呼吸器などは数に限りがあるため、使用の有無など患者の事前の意思表示について議論する必要性に言及した。」(毎日新聞4月2日)意味だとされています。すなわち、事前の意思表示を使って、治療の選別=命の選別を行うことがあることについて、市民への了解を要請しているのです。
4月22日に発表された専門家会議の同文章では、こうした主張に対して「優生思想による判断が行われかねない」という批判が起こっていることを認識しつつ、「人工呼吸器や人工心肺装置など、限られた集中治療の活用について、今後、一部の医療機関では治療の優先度をつける必要に迫られる局面も想定されうる。」としつつ、「学会が中心となって、緊急事態に限った倫理的な判断を多様な立場の人々の意見を取り入れて、更に議論を進めるべきである。」と、命の選別の基準作りを呼び掛けています。
私たちは、このような命の選別・切り捨てを助長する主張に強く反対します。政府の新型コロナウイルス感染対策の中心にある専門家会議からこのような主張がなされることに、強い危機感をもっています。
すべての人の命を救うため、人工呼吸器など必要な医療物資の生産に全力を挙げるべきこの時に、このような主張を行うことは、市民の必死の努力に水を差す行為であり、断じて容認できません。
医療機関はもちろん、福祉事業所にも行き渡らせるようにしてください。とりわけ、ホームヘルパーを派遣する事業所、グループホームや入所施設については、必須です。さらに、個人としても必要量がありますので、それをも上乗せして生産・流通できる体制を作り上げてください。
そして、必要量を供給できるように、自治体に一定量が保管されるようにしてください。
都道府県は、福祉事業所の数および職員数を把握しています。市区町村は、基準該当事業所、および、地域生活支援関連事業所との数と職員数を把握しています。これらの数字を集計して、必要な生産量を決定してください。
報道によれば、政府の考える必要量と医療機関や福祉事業所が必要としている数量には、大きな隔たりがあると報じられています。医療機関でのマスクの必要量を、政府は1億枚と試算したのに対して、日本医師会は4億枚と試算しています。そのため、医療や福祉の現場からは、怒りと悲痛な叫びが上がっています。
医療機関や福祉事業所から請求をオンラインで集めるシステムを作って日々の充足状態を把握し、必要量を公表し、生産の増加を図ってください。