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「新型コロナウイルス感染に関する要請書」(加藤勝信 厚生労働大臣あて)

「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会 2020年5月12日

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last update: 20200512


■本文

厚生労働大臣  加藤勝信殿

新型コロナウイルス感染に関する要請書

「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会
連絡先:〒166-0004 杉並区阿佐谷南3丁目9番2号 新光ハイツ1階
魔法陣(就労継続支援B型事業所)気付
 電話:090−6923−2600

新型コロナウイルス感染への取り組み、お疲れ様です。

私たちは、障害者権利条約(以下、権利条約)の具現化のため、2011年8月にしょうがいしゃの代表も関わって作られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めて行動しています。

新型コロナウイルス感染状況が深刻な中、しょうがいしゃの命、そして、福祉や医療で働く人たちの命のため、以下のことを要請します。


(1)PCR検査の強化を図り、希望者全員に適切なタイミングで検査を受けられるようにしてください。

私たちの仲間には、様々な持病のある方がおり、適切な診断が行われなければ、命にかかわります。にも拘わらず、ある脳性麻痺の仲間は、発熱からPCR検査を受けるまで、6日間かかりました。発熱し咳が出るなどして、二日目に保健所の紹介による病院を訪れたにもかかわらず、2回の診療ではインフルエンザの検査さえ受けられずに、6日目にしてようやく、PCR検査を受けることができました。そして、検査の結果が判るまで、さらに3日間かかり、陰性であることが判りました。

この方は、重度訪問介護を受けています。この方の介助にかかわる事業所では、多数のしょうがいしゃの介助を行っており、その中には、人工呼吸器を常時使用している方など、新型コロナウイルス感染が重症化する確率の高い方もいらっしゃいます。また、介助者への感染は、介助体制を崩壊させ、介助者の命とともに、介助を受けられなくなったしょうがいしゃの命をも危険にさらします。

検査に基づく対応が直ちに求められていたにも関わらず、このような放置状態が続いたことについて、厚労省として重大な事態である、と認識していただきたいと思います。このようなことを繰り返さないために、以下の質問にお答えください。


@この方は、1回目の診療でレントゲンを、2回目の診療でCTスキャンを取っているのですが、なぜPCR検査をすぐに実行しなかったのでしょうか。PCR検査の対象を絞り込みすぎているとの指摘もありますが、考えられることをお答えください。

A発熱6日目に検体採取を行った際に、「検査結果が出るまで4・5日かかる」と言われました。体制によっては数時間で結果が出るはずの検査がこれほど時間がかかってしまうのは、どうしてなのでしょうか。

B希望する全員に、スムーズな検査を行うべきだと考えます。そのためには、何が必要なのか、具体的にお答えください。例えば、
などの観点でお答えください。


(2)医療機関と福祉事業者に、感染防護のための装備や消毒液を行き渡らせてください。

(3)介助の必要なしょうがいしゃが、新型コロナウイルスに感染した、あるいは、感染の恐れがある場合の介助を保障してください

@感染や感染の恐れのあるしょうがいしゃを介助するヘルパーに、サージカルマスク、防護服、ゴーグル、フェイスシールド、手袋、消毒液などが行き渡るようにしてください。

Aヘルパーをはじめ、福祉関係で働く者は、感染防護装備の着脱など、装備の扱いに慣れていません。こうした装備の使用方法について、厚労省のホームページで、動画などを用いて、使用方法を周知するようにしてください。

B感染し、入院した場合の介助を保障してください。この場合にも、感染防止の装備を保障してください。

C入院の際の介助について、制度的に保障されている場合でも、医療機関のスタッフの無理解からもめることがあります。医師会、看護師会を通じて、適切な対応がなされるように周知してください。医師会や看護師会としょうがいしゃ団体との打ち合わせの機会も作ってください。

D新型コロナウイルス感染、あるいは、感染の恐れのあるしょうがいしゃの介助にあたるヘルパーには、医療者と同等の感染の危険があるので、手当など報酬の増額を行ってください。


(4)現在もヘルパー不足が深刻な状態にありますが、新型コロナウイルス感染により、介助をできないヘルパーが出てくる可能性があると考えられます。全国には、かつてヘルパーとして働いた経験のある方々がいらっしゃいます。こうした人々に呼びかけ、緊急にヘルパー不足に陥った自治体や事業所に紹介できるシステムを作ってください。


(5)精神科病院における新型コロナウイルス感染の危険性を除去してください
 精神科病院では、ベッド間の仕切りも不十分なまま、「3密」状態が作られています。このままでは、大きなクラスター発生の可能性があります。


@退院を強力に促進し、過密状態を解消してください。

Aしょうがいじ施設や高齢者施設については、感染防止のために政策的に個室化が進められています。精神科病院でも、個室化を進めてください。

B入院患者が新型コロナウイルスに感染した場合に、適切な医療を受けられるようにしてください。
 精神科病院では、入院患者が他の診療科を受けることが必要な場合でも、これを抑制する傾向があります。PCR検査から人工呼吸器の使用など、精神科病院では十分な診療ができない場合が多いと考えます。こうした場合、適切な診療機関につなぐよう、指導してください。


(6)精神科病院や入所施設では、感染防止の観点から面会を大きく制限しています。このままでは、家族、知人との関係がますます失われ、精神的にもストレスを抱え込むことになります。
 最低限、テレビ電話、パソコンやスマートホンを通した面会を保障するようにしてください。
 電話を禁止されている人についても、こうした形の面会を認めさせるようにしてください。


(7)しょうがいしゃ入所施設における大規模クラスターが報じられています。こうした感染を防ぐ観点からも、入所施設、精神科病院などにおいて、多数のしょうがいしゃを集めて隔離する政策を止めてください。

(8)医療費助成制度の対象外とされている難病者の方の医療費の減免を行ってください。
 医療費助成制度の対象外とされている難病者は、就労が困難な中で、毎月多くの医療費負担に苦しんできました。現在の「新型インフルエンザ等特別措置法」下の自粛の中で、経済的な苦しさは一層増しています。薬を中断すれば直ちに命に関わり、危機的な状況に陥ります。
 こうした難病者が確実に医療を受けられるように、以下の緊急対策を講じてください。


@経済的困窮の中で、所持金が尽き、保険料支払いもできず、医療を受けられない人たちが出てくると思われます。こうした中には、薬の服用や医療を中断すれば、数日で死に至る人たちもいます。リーマンショックの時には、このような状況の下で、命を落とした1型糖尿病の人もいました。
 保険証や現金を所持していなくても、その人の訴えや他の身分証明を活用して、医療機関で診察を受けたり薬を入手できるようにしてください。

Aインスリン製剤が生命維持に必須な1型糖尿病やステロイド製剤を長期間服用している方など、薬を中断すれば数日で死亡する疾患を持つ人がいることについて、全国の福祉事務所、保健所、医療機関に通知してください。そして、医療の中断が起こらないように対応するようにしてください。

B厚生労働省は、4月14日の事務連絡「新型コロナウイルス感染症に対応したがん患者・透析患者・障害児者・妊産婦・小児に係る医療提供体制について」を発出していますが、難病患者が新型コロナウイルスに感染した場合にも、適切な入院も含めた医療を受けられるようにしてください、こうした入院の場合でも、従来からの難病の保健医療を続けられるようにしてください。


(9)以上の質問と要請につきまして、話し合いの場をもってください。新型コロナウイルス感染の関係上、一部の話し合い参加者は、インターネット回線を介しての参加も認めてください。


■原文

「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会 2020/05/12 「新型コロナウイルス感染に関する要請書」(加藤勝信 厚生労働大臣あて) [PDF]




*作成:岩ア 弘泰
UP: 20200512 REV:
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